カカの天下188「絵日記はこんなもん」
○月×日 天気 晴れ
夏休みが始まりました。
トメ兄が「僕にもよこせ」と言ってきました。
無理だし。
○月×日 天気 曇り
プールに行ってきました。
サユカンが泳げないらしいのでいじめました。
とても楽しかったです。
○月×日 天気 晴れのような曇りのような
スイカを割りました。
私の手が血の色に染まりました。
ふふ、おいし。
○月×日 天気 晴れだけどみんなの心は曇り
海にいきました。
なんかいろいろありました。
息がつまりそう、と思ってたら水の中でほんとに息がつまりました。ぱたり。
○月×日 天気 私の心はどしゃぶり
なんか皆が私をいじめます。
幽霊なんかいないのです。
いないのです。
いないのです!
ちきしょー。
○月×日 天気 普通に外が雨
今日はトメ兄の仕事している工場を見学しました。
見学の目玉だったじいさんはいませんでした。
ぽく、ぽく、ぽく、ちーん。
○月×日 天気 雷
今日は空がゴロゴロなってます。
トメ兄のお腹もゴロゴロなってました。
○月×日 天気 雪
今日は夏なのに雪がふりました。
しかも私の家の上限定です。
きっと姉が風邪をひいたからだと思います。あまりのありえなさに世界がびっくりしたのでしょう。
○月×日 天気 晴れときどき豚
今日の夕飯は豚肉です。
食材が空から降ってきて嬉しいなーとトメ兄が喜んでました。
姉は降ってくる豚を次々と生で食べてました。
○月×日 天気 晴れときどきアレ
アレでした。
○月×日 晴れときどきミサイル
姉が外国から飛んできたミサイルを食べてました。
姉はみんなのヒーローです。
「こんなとこかなっ」
「なぁカカ」
「なに?」
「嘘書くなや」
「えー、トメ兄のお腹ゴロゴロはほんとじゃん」
「やかましい!」
「でもお姉が風邪ひいたのはびっくりしたね」
「あれ、単なる二日酔いだぞ」
「そなの?」
「姉が風邪なんかひくわけないだろ。あいつ自身が地球のウィルスみたいなもんなんだから」
「うー、書き直す?」
「ほんとに姉が風邪なんかひいたら確かに雪ぐらい降りそうだし、別にいいんじゃないか?」
「そか」
「や、違う! よくない! 嘘はよくない!」
「宿題を出さないのは?」
「もっとよくない!」
「じゃこれ出す」
「……ちっ、好きにしろ。僕は知らん」
○月×日 天気 私の気持ちも晴れやか
トメ兄がこんな変な日記を提出してもいいと
「まてやコラ」
「いやん」
絵日記で一番大切なもの、それは天気です!
天気さえ合っていれば、多少話を作ってもばれません!
無理か。




