カカの天下185「想ひでの遊び」
おはようございます、カカです。
今日は日曜日にも関わらず、なぜかトメ兄は会社に行ってます。働きすぎだよ日本人、テレビでそう言ってたのをなんとなく思い出します。
「今日ってサユカちゃんも用事あっていないんだよねー」
「うん……私ら二人だけだね」
サエちゃんと二人だけ?
二人きり?
チャンス!!
……なんのチャンスなんだろ。なんとなく言ってみたけど。
「とりあえずいつもの通りカカちゃんち来たけどー、なにしようねー」
「どしよっか……あ。久々にアレやらない?」
私は机の引き出しにしまっていたそれらを取り出した。
元々はサエちゃんのものだけど、たくさんあるそうなのでうちにも分けてもらっていたのだ。
そう、アレとは……私とサエちゃんのスイートメモリー、ビーズ遊びだ!
「いいねー。最近サユカちゃんと遊ぶようになってからやってなかったよねー」
「サユカンこういうの苦手そうだからね」
「でもサユカちゃんって意外と可愛い女の子だから、こういうの好きそー」
「ん……そだね、今度誘ってみよっか」
本当はサエちゃんとだけの遊びにしたいなーとか思ってたんだけど……今じゃサユカンも立派な私の親友だ。仲間はずれにすることもないよね。
「じゃ、いいもの作ってサユカンに見せびらかそうか」
「いいねー、じゃ、ビーズをわけよー」
小箱に入ったビーズを机の上にばらまき、適当に私とサエちゃんの使う分を分ける。
「……なんで私のとこに赤いビーズばっか分けるの」
「じゃーカカちゃんはなんで私のところに黒っぽい色のばっかりー」
「イメージカラーって大事だよね」
「うんうん、カカちゃんが血色でー」
「サエちゃんが混沌色」
ぴたり、と一瞬だけ空気が止まる。
「サエちゃん、血って色じゃないよ?」
「カカちゃんこそ混沌色ってなにー? いつの間に黒色からなんでもありっぽい色にレベルアップしてるのー?」
「サエちゃんを表すには黒色じゃ足りない気がしててさ、最近」
「私もねー、カカちゃんを表すには赤色じゃ足りない気がしてたのー」
「おそろいだね」
「ねー♪」
仲良く微笑みあう私達。うーん親友だ。
さて、ビーズをヒモで適当につなげていこう。これと、これと、これと……
「カカちゃん、なにつくるのー?」
「りんごでも作ろうかなーと。で、ランドセルにつけるキーホルダーにするの」
「いいねー。私はネックレスだよー。作ってサユカちゃんにあげるのー」
「あ、そっか。見せびらかすだけってのもなんだし、あげちゃったほうが……」
あげる、ネックレス、サユカン……
「きゅぴーん! いいこと思いついた」
「カカちゃん、そのきゅぴーんってなに?」
「いいこと思いついた音」
口で言ってみた。
「きゅっぴぃぃぃん! のほうがいいと思うよー」
きゅぴーんな感じのポーズ付きで訂正してくれるサエちゃん。かっこいー。
「ね、サエちゃん。サユカンにネックレスあげるんだよね! じゃネックレスの真ん中部分は私が作っていい?」
「いいよー。何つくるの?」
「胸に下げるので血の色って言ったら一つしかないっしょ!」
「しんぞー?」
「心臓のネックレスって嫌すぎだよ!! 違うよハートだよ!」
「あははー、似たようなものでしょー」
「全然違うよっ。それでね……」
そして翌日。
「これ、なに……?」
「私達からのプレゼントだよー」
「サユカンのために作ったの。たまにやるんだ、こういうビーズ遊び。今度はサユカンもやろうね」
「え、ああ、うん……そだね」
「さぁ、サユカちゃんそれつけてみてー」
「え、で、でもっ」
「さぁさぁ、私達の友情の証を受け取ってよ」
「ゆ、友情……いや、でもっ」
なぜかネックレスをつけるのを頑なに拒むサユカン。
「うんうん、友情の証にそれつけてそこらへんを散歩してきてよーサユカちゃん」
「で、できるかあああああっ!!」
なんでそんなに嫌がるかなぁ。
赤いビーズで作ったでっかいハートのネックレス。可愛いと思うけど。
ハートの真ん中に入ってるトメの写真なんか特にいい味出してるのに……
結局、サユカンはそれをつけることはなかった。
しっかり持ち帰ったけどね。
きっと今頃は部屋に飾って拝んでいるに違いない。
カカとサエちゃん、二人だとまったりしますねぇ。
数ある組み合わせ(?)の中で一番ほのぼのする気がします。
ゆったり会話しますからねー。働きすぎな日本人には必要です、ゆったりゆったり。