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カカの天下  作者: ルシカ
180/917

カカの天下180「作書感想文」

「読書感想文が書けない」


「へぇ」


 どうも、パクパクトメです。


 ただいま夕飯を妹のカカとつついてるところです。パクパク。


「というか本が読めないの」


「なぜに」


「遊ぶのに忙しくて」


 なんて正直な理由だ。


「だからさ、いっそ手っ取り早く自分で本つくって、その感想書こうかなって」


「ほぅ、それはそれでいい勉強になるかもな」


 子供に本を読ませようとする主旨からは外れるだろうが、教養になることは間違いない。


「じゃ、作るよー。昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました」


「カカってさ、おじいさんとおばあさん好きだよな」


 なんか物語の話するときは必ずおじいさんとおばあさんが出てくる気がする。


「おじいさんは言いました。『ばあさんや……』えっと……」


 なんて言おうか迷ったんだろう。カカは続きを作るきっかけを探そうと部屋の中を見渡す。


 お、見つけたみたいだ。


 目に留めたのは……ゴミ箱?


「おじいさんは言いました。『ばあさんや、このゴミめ!』と」


 いきなりケンカですか。


「おばあさんは言い返しました。えっと」


 カカは手元の夕飯に目を留めた。


「ん、おばあさんは『じいさんや、このハンバーグめ!』と言い返しました」


 食べるんですか、おばあさん。


「そんな感じでおじいさんとおばあさんはケンカをはじめます」


 なんだかね、毎回おじいさんとおばあさん使うけど……好きなのかわからん扱いばっかりするな、カカ。


 将来が心配だ。僕がおじいさんになったら何されることやら。


 僕の心配をよそに、カカの視線は台所へ移動する。 


「そんなある日、おばあさんが包丁を持ってスキップしていると」


 こえーよばーさん。


「総理大臣に話しかけられました」


 ……なぜに? あ、いつのまにかネコの総理大臣が足元に。そういや僕の部屋に作ったとかいうコイツ専用の出入り口まだ見つけてなかった。


「総理大臣は言いました、『にゃー』」


 や、それ物語としてどうよ。


「おばあさんは言い返しました。『にゃにゃー』」


 なんか頭が可哀想な人の会話みたいだぞ。


「というわけで、二人は協力しておじいさんを倒そうという結論にいたりました」


 展開はやっ!


「おばあさんと総理大臣は……えっと、うん。聖なるティッシュと、天使のイスに、悪魔のテーブルを集めて魔王じーさんに挑みました」


 いつのまに魔王になったんだじーさん。


 そしてなんだその生活感あふれる三種の神器。


「襲い掛かってくるおじいさん。おばあさんは天使のイスで殴りつけました」


 それ武器なの!?


「さらに総理大臣も悪魔のテーブルで殴りつけます」


 それも武器なの!?


「おじいさんは見事倒されました」


 ……そりゃイスとテーブルで殴られれば……


 ところで聖なるティッシュは何に使われたんだ? ああ、じいさんの顔にのせるのか。


「そして二人はタイホされて、誰もいなくなりましたとさ。めでたしめでたし」


「相変わらずめでたくないな、おい」


「ん、そうかな。それじゃ……」


 カカは手元に目を留める。


「おばあさんは総理大臣に食べられ」


「その物語の総理大臣は一体ナニモノなんだよ!?」


 こうして、カカの『とにかく目に付いたもの合体物語』は終わった。


 ……いったいどんな読書感想文ができるか楽しみだ。


これならテンカ先生の合格間違いなし!

他の先生がどう思うかは…不明ですね。

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