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カカの天下  作者: ルシカ
178/917

カカの天下178「サユカちゃんの反撃」

「ただいまー」


「おかえりートメ兄」


「おかえりなさいっ、トメさん!」


 買い物からおかえりました、トメです。


 出迎えてくれる(見た目だけは)可愛い僕の妹たち。


「あれ、今日はサエちゃんがいないのか」


「うん、お墓参りだって」


「今日は親戚に会わなきゃなんないのー、ってすんごく嫌そうな顔してましたよっ!」


 へぇー、サエちゃんが嫌な顔、ねぇ。


「なんか想像つかないなぁ。サエちゃんっていつもニコニコしてるイメージあるから」


「そうだね、私も滅多に見ないよあの顔は」


「なんていうかですねっ、いつものニコニコ顔の、口の片方がすごい釣りあがってた感じです」


「んー、いまいちわかんないなぁ」


「ほら、怪談とかであるじゃん。あの……口先女!」


 妖怪なのか、口先女。たしかに恐ろしいもんではあるが。


「口裂け女か」


「それそれ。サエちゃんの口の半分だけがその女みたいに裂けた感じだった」


 人間、表情を作ろうとすると片側だけが引きつったりして不自然になるというし、サエちゃんもいつもの笑顔を浮かべようとして浮かべきれなかったんだなぁ、きっと。


「そんなに嫌なのか、親戚と話すの」


「サエすけの家はいろいろありますから」


「そうなのか?」


「そうなの?」


 サユカちゃんは「まずっ」と口を押さえる。聞いたらダメなことだったのかな。


「そそ、そうなのよっ、そりゃーもう幽霊がいっぱい出まくってその退治にすごく忙しいみたいでっ」


 ……まじで?


 あのサエちゃんちだからなぁ……なんか冗談には思えん。 


「久々に家に帰るとさ、こう、一枚たりなーいって言いながら皿洗いしてる幽霊とか、あと、見えにくい汚れを掃除してるろくろ首とか、えっと、暑いからって砂の代わりに水まいてる砂かけババァとかいるらしいわよっ!」


 なにそのお手伝い妖怪集団。


 ちょっとほしいじゃないか。


「そっか……じゃサエちゃん、忙しいよね」


「あれ? カカすけ。君なんでテーブルにもぐりこんでるの」


「こいつ、そういうのダメなんだよ」


 それを聞いた瞬間、サユカちゃんの口がにんまりと裂けた。おお、もうちょい裂ければ口先女、じゃなかった口裂け女デビューだぞ。


「カカすけちゃーん、どうしたのかなっ?」


「ん、いや? 別に……」


「あ、テーブルの上にろくろ首が乗ってるっ」


 ゴン!


 テーブルの下に潜っていたカカが思いっきり頭をぶつけた。


「……落ちた? ろくろ首」


 おお、驚いたんじゃなくて攻撃だったのか。


「ええ、落ちたわよっ」


 落ちたんだ……


「その代わりにお皿を数えてる女の人が……一枚たりなーいって」


「昨日トメ兄用のお皿割ったのばれた!?」


 あんだとこらぁ。


「あははっ、そんなのいるわけないでしょ。いやー、いつもいじめられてるからいい気分だわー」


「うぅ、なんだよぅ……そっちこそ、えっと、いまごろ砂かけババァがサユカちゃんちのベッドに砂まいてるんだからねっ」


 地味に嫌だなそれ。


「そんなわけないでしょっ、だって砂かけババァなら、あんたの服の中にいるじゃない。ほら、胸元に」


 どんだけ小さいのさ、そのババァ。


「…………」


「サユカちゃん、やりすぎ。カカ、真っ白になっちゃったじゃないか」


「あ、あはは……すいません。日頃の恨みが」


「まったく……カカ、おーい! カカ」


「……は! いや、寝てないよ?」


 聞いてないよ。


「服の中に砂かけババァなんかいないよ」


「そ、そうだよね!」


「おまえの髪の中にいるんだよ。ほら、右耳のあたり」


 カカは完全に石化した。


「……あの、トメさん?」


「ほら、日頃の恨みなら僕も負けてないし」


「そ、そうですかっ」


 今日はそんな感じでカカで遊んだ。


お盆によりカカの戦闘力が低下してます。

誰かカカに少しずつ元気をわけてくれ!(他人まかせ

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