カカの天下172「疲れた人での遊び方」
「おはよー。カカちゃん」
「おはよー……勝手に上がってきていいよー……」
「サエすけ……おはよ」
どうも、超ぐったりカカです。
「おじゃましまーす……あれ、死んでる」
「生きてるわよっ」
そう言いながらもサユカンは私の隣に寝転がったままピクリとも動かない。どうもトメ兄と仲直りしたあとにはしゃぎすぎたせいで、全身筋肉痛のようなのだ。
「サユカちゃん、この辺から魂が飛び出てるよ」
「んなわけあるか」
「でもお腹の辺りから白いのが」
「それは下着っ!」
「だらしないよー」
「……ごめんなさい」
「カカちゃんもこの辺から赤い魂がー」
「サエちゃん、それ洗濯カゴから飛び出てる赤いハンカチだよ。私の魂はなぜそんなところから飛び出すの?」
「洗濯されたのかとー」
「……洗濯しなきゃなんないの? 私の魂」
「したほうがいいよー」
「……覚えとく」
なんかもう限りなくグダグダです。
そう、私とサユカちゃんは昨日の海ではしゃぎすぎたので疲れが抜けきってないのです。身体おもひ。
「サエちゃんは元気だねぇ」
「あまり泳がなかったからねー。あ、カカちゃん。昨日は海に連れてってくれてありがとー」
「ん」
連れて行ったのはトメ兄とお姉だけど、私の一家に対しての礼儀ということだろう。サエちゃんはわざわざ深々とお辞儀してくれた。
礼儀正しいなぁもう。そういうとこ大好き。
「カカすけ。なにその……にへらっとした顔」
「ほっといて」
「サユカちゃんもごちそうさまー」
「へ? なんでわたしにはごちそうさま?」
「おかげさまでおいしかったよ」
「だから何が!?」
サエちゃん、さてはサユカちゃんをダシにしてなんか食べたな。色んな意味でおいしいところをもっていく……そういうところもどうしようもなく好き。
「あ、そうそう。さっきテンカ先生に会ったんだけどー、明日トメさんと飲むんだって」
「なにぃーたたたたた!」
驚きのあまり立ち上がろうとして失敗したサユカンは、筋肉痛に悶え苦しんでる。
「そうそう、なんとかしなきゃね、サユカちゃん……」
「な、なんで手をわきわきさせながら近づいてくんのサエすけ」
「わき? ふふー、わきわき」
「へ、ちょっと、ほんとに脇をーってあはははっははははいたたたた!!」
いきなり脇をくすぐり始めたサエちゃん。笑いと痛みの嵐でサユカちゃんの顔はすごいことになってる。楽しそう。
「はははっ、ははっはあたたったた!」
「サユカちゃんが壊れたー」
「壊してるのはきみぃひははははったたた!」
「あはは、たーのすぃー♪」
ドタバタと逃げ回るサユカンと、それをわきわき追うサエちゃん。
「んー、明日かぁ。どうする?」
「もちろん後をつけるよー」
「ん、やっぱそうだね」
「はぁ……はぁ、ははははぁ……はぁ、はぁ……ちょと、にゃんでカカしゅけわたしのにげみちふしゃいでるの?」
「それはね、わきわきするため」
「ふふー、サユカちゃーん、わきわき」
「ちょと、おねがい、本気でやめ、やめ、やめてええええええええええ!!」
明日のことは明日考えよう。
とりあえず今は目先の面白いものに飛びつくのだ。
やー、たーのすぃー♪
次回はトメたちの飲み会話。また前後編となりそうです。
うーん……最近は続き物が連続してるので、こういう単発話が恋しいです。カカラジの後はしばらく単発を続けようかと思います!