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カカの天下  作者: ルシカ
166/917

カカの天下166「本物の鬼は誰だ」

「カカちゃんが鬼だー!」


「にげろーっ!」


 ども、サエちゃんとサユカンに逃げられてる鬼のカカです。


 あ、本物の鬼じゃないよ? 鬼ごっこの鬼ね。


 今日も今日とて暑いけど、元気な子供な私たちは近所の空き地で鬼ごっこして遊んでいます。


「赤鬼だー」


「赤って言うなー! タッチ!」


 サエちゃんが鬼だ。


「逃げろー、サエちゃんが鬼だー」


「黒鬼だっ!」


「黒いって言うなー……えっほ、えっほ」


 基本的に運動神経のないサエちゃんだけど、私と遊ぶようになってからはだんだんと走るのが速くなってきた。


「うわぁ!? サエすけ! ボール投げるなっ、危ないでしょ!」


「はい、タッチ」


 そして足りない部分は頭脳でカバー。サエちゃんがどこからか取り出したボールの襲撃でサユカンが怯んだ隙に、見事タッチ。


「サユカンが鬼だー!」


「色鬼だー!」


「ちょっと待て! なんかわたしのだけ違くないか!? なにその新種っぽい妖怪!」


「そんなに喚きたてて……サユカン、私になんかようかい?」


「カカちゃん、おやじだねー」


 う、うるさいなっ、トメ兄の真似しただけだよ!


 そんな感じで楽しく遊んでいたんだけと……ふと、空き地の入り口からこっちを覗き込んでいる顔に気がついた。


「あれ、お姉。どしたの」


「やっ、カカちゃん! ちょっといいかな」


 一旦鬼ごっこは中断。サエちゃんとサユカちゃんも一緒に、姉のもとへ集まった。


「ちょっと怪しい人を探してるんだけどさ、見てないかな」


「目の前にいる」


「ん、ああ。あたし……の瞳に映ってるカカちゃんのことか。ダメだよー自分のことそんな風に言っちゃ」


「ダメだよー、自分がどういう風に見られてるのかちゃんと自覚しないと」


 あっはっは、と和やかに笑う私と姉。


「ほんと仲のいい姉妹だねー」


「サエすけにはそう見えるのっ?」


「やだなーサユカちゃん。私たちだって似たような会話してるじゃないのー」


「……そういえばそっか」


 外野の会話は置いといて、私は話を戻そうと思う。早く色鬼ごっこの続きしたい。


「で、なんでその怪しい人を探してるの? というか誰それ」


「シュー君が護送中にうっかり逃がした殺人犯」


「あの警官は何をやってるの!?」


「仕事してるんだよ、犯人を追っかけるっていう。自分で作った仕事だけどねーあっはっは」


 笑い事じゃないしっ!


「それで、あたしが例によって手伝ってるってわけ。あんたたち見なかった? この暑いのに革ジャン着て、帽子かぶってグラサンしててマスクしてて息が荒い男」


「わっかりやすい姿してるねー。でもそんなの見てないよ」


「わたしも気づかなかったです」


「私見たよー」


 ほらね、そんな怪しい人近くにきたらわかるだろうし、ここら辺には来てないんだと思うーって見たのサエちゃ!?


「そこの土管の中に隠れてる」


 しかも近っ! 


「へぇー……土管の中に隠れるなんてどんなスーパーなマリオさんなんでしょうねー……くっくっく」


 私たちの会話を聞いていたのか、土管の中にいた男はあっさりと姿を現した。


「帽子だけはマリオっぽいね」


「やかましい! このガキどもが……せっかくこっそり隠れたのにバラしやがって!」


 男は興奮しているのか、ハァハァと教育に悪そうな荒い息で私たちを睨む。


 そしてそれと対峙するのは、不敵な笑みを浮かべている無駄に頼もしい我が姉。


「俺ぁなぁ、五人も殺してるんだ! 今さら一人や二人、増えたところで構やしねぇんだぜ?」


「たったそれだけでいばるな! あたしなんか――」


「張り合うなバカ姉!!」


 スパーン! とトメ兄直伝のツッコミを放つ。あんた一体何人……いや、聞くのはやめとこう。こあい。


「と、とにかくてめぇら、おとなしきゅごべ!?」


 急に奇声をあげてうずくまる男。


 ま、急でもないんだけどね。


「おー、カカちゃん腕あげたね。師匠として鼻が高いわ」


「あげたのは脚だけど」


 解説しよう! 私と姉が漫才をやってる隙に、サエちゃんが地面に転がってたボールをさりげなくこちらに蹴ってよこした。そしてそれをシュート! 男の弱点にデッドボール! というわけだ。


 この技もうカンペキ。見た目は子供の頭脳は大人な名探偵のキックも目じゃないね。




 そして犯人は後から駆けつけたシュー君(役立たず)によって無事逮捕され、姉の監視のもと、きちんとしかるべきところへ送られましたとさ。


 そして私たちの色鬼は……


「タッチ!」


「あぁん♪」


「変な声出すな!」


「だって色鬼ごっこだし」


 こんな感じで楽しく続きましたとさ。


 果たして姉の職業ってなんなんでしょうねぇ。

 父と同じくらい謎かもしれません、って作者の私が言っててどうするんですかね^^;

 暑いときこそ走りまわるのが子供です。

 そして暑かろうが寒かろうが走らないのが大人です。

 悲しいですねぇ(ぇ

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