カカの天下165「テーマはもちろん? そのいち」
「作品発表会!」
「……はぁ」
どうも、トメです。
帰ってきた途端、妹のカカにパンパカパーンなポーズをとられ、僕はポカンとしてます。ポカパカパーンです。
「トメ兄、なんでそんなマヌケな顔してるの」
「……いや、帰ってきた途端パンパカパーンされたらそりゃ呆気にとられるさ」
「パンパカパーン!」
「や、だからワケわからんて」
「だから発表会なんだって」
「だから何を」
「夏休みの宿題の工作だよ! そんなこともわからないの?」
「今の流れでわかるやつはいないぞ」
と、夏休みの工作と聞いて思い浮かぶことがあった。先日の移動する『愛媛みかん』さんのことだ。
「もしかしてあれか。こないだ台所に散らかってたダンボールのやつか」
「そうそう。紙粘土とダンボールを合わせて貯金箱をつくったの」
ほう、ダンボールと紙粘土か。それはおもしろそうだ。
台所を使ったのも紙粘土なら納得がいく。水場が近くにあるとやりやすいんだよな、あれ。
「さーさ、トメ兄。どうぞこちらへ」
というわけで、僕は居間へと案内され、テーブルの前に座らされた。
目の前には新聞紙をかぶった物体X。
「ではでは、オープンしまーす。こちらがカカ氏の作品です!」
カカ氏って自分で言うなよ。カカシに聞こえるぞ。
なにはともあれ謎の物体Xの正体が暴かれた。
「これは……ほわっつ?」
謎の物体の正体は……見る限り謎のままだった。
「貯金箱だよ。テーマがあるんだけど、なんだと思う?」
何って……ナニコレ。
解説すると、紙粘土で作られた球体から、はさみで切られただろう細長いダンボールがぴょん、ぴょん、とはみ出ている感じ。紙粘土の球体には所々ボツボツした部分がある。
「身近にあるものだよ」
「わかった、カカだ!」
「どこがさ」
「謎な部分が」
「違うよ、トメ兄だよ!!」
ちょっと待てや!
「それこそどこがだ!?」
「紙粘土の部分が茶碗に盛られたご飯で、ダンボールの部分が「なんでやねん」っていうツッコミの手だよ!」
「カカにとっての僕はご飯とツッコミでしかないのか!?」
「当たり前でしょ! 他に何があるの!?」
……否定できねぇ。
「というわけで、これは夏休みの宿題だからね。壊さないでよ」
「わかったわかった……じゃ、おまえがカカシになって壊されないように見張ってろ。ってあれ、総理大臣だ」
『愛媛みかん』の噂をすればなんとやら。近所のセイジ食堂で飼われているネコが、いつのまにか居間の隅に座っていた。
「どこから入り込んできたんだろ」
「私がこないだ大臣専用の出入り口作ったから、そこからじゃないかな」
「作ったって、どこに」
「トメ兄の部屋」
「どこだよ!?」
早急に探さねば……ヘタに出入り口なんか作られたら、総理大臣だけじゃなくて他のネコとかヘビとか姉とか入り込んでくるかもしれない。
「あ」
「ん? どした」
見るとカカは放心したようにある一点を見つめていた。
その視線をたどると、そこには……総理大臣のネコパンチにやられたカカの貯金箱の無残な姿が。
あーあ、カカシあったのに意味なかったか。
「と、トメ兄が死んだああああああああ!」
待ちんしゃい、そこの小娘。
「あぁ……トメ兄が……割れた」
「僕が割れたとか言うなっ、なんか怖いから!」
「はぁ……トメ兄また作り直しかぁ」
「だから、さも僕のことみたいに言うのやめてくれる?」
僕の抗議を微塵も聞いていないカカは、突然ポン、と何か思いついたかのように手を打った。
「そうだ、どうせ同じトメ兄なんだし」
壊れた貯金箱の口部分を拾ったカカは、そのプラスチックの口を……座っている僕の口に押し込んだ。
「よし、トメ貯金箱リターンズ完成! これを提出すれば」
「プッ!」
「わ、きたなっ!」
ま、せいぜい頑張って作り直せばいいさ。
僕以外の材料使ってな。
一応続きものです。書くのはもう少し後ですが。
と言っても大した伏線はありませんけどね(笑)まだ作品を発表してない子たちがいるってだけで。
ちなみに、今回の話でやりたかったことは……
プッ!
これだけです(ぇ