カカの天下163「暑い熱い勉強会」
「はぁ、やだなぁ」
「つべこべ言わない! やると言ったらやるのっ」
「まぁまぁカカちゃん、みんなでやるのも楽しいと思うよー?」
めんどうだなぁ、とため息の絶えないカカです。
今日はサエちゃんとサユカン、いつものメンバーが揃っているのですが……いつもと一つだけ違う点が。
楽しくないのです。
というか、楽しくないものが目の前にあるのです。
それは……我らが天敵、夏休みの宿題!
「今日は勉強会なのっ、カカすけもやるのっ」
「もう……サユカン、私がトメ兄と水着買いに行ったからって、そんな冷たくすることないでしょ」
「それは関係ないのっ」
「そのわりにはサユカちゃん、スイカ割り大会終わってから機嫌悪いよねー」
「関係ないったらないのっ! あんな恥ずかしい思いしてまで勝てなかったからやりきれないとか、そういうんじゃないもん!」
この子は本当に正直だぁ。将来大丈夫かな。私的には可愛いからいいけど。
「まぁまぁサユカン、例のことはバッチシだから機嫌直して」
「む……ほんとはわたし自身が」
「そこをあえて私がいくからドッキリ狙えるんじゃん」
「なんのこと? カカちゃんサユカちゃん」
「んー、サエちゃんにも内緒だね」
「サエすけにもいずれわかることよっ」
サエちゃんに隠し事はあまりしたくないけど、どうせすぐにわかる話だし、よしとしよう。
「さっ、それはそれとして宿題するよカカすけサエすけ」
「サユカちゃんてほんと、そういうとこマジメだよねー」
「ほんとほんと、マジメマジメ。やれやれ」
「マジメで悪いか!?」
「「悪いに決まってる」」
「誰が決めたの!?」
「「テンカ先生」」
「先生よりわたしの方がえらいっ!!」
お、おお……なんかヒートアップしすぎたせいか、すごいこと言ったサユカン。
サユカンも自分で「何言ってんだろわたし」みたいな顔してる……これも可愛い。
「とにかく始めるわよっ。各自でドリルやって、わからないところは得意な人に教えてもらおう。カカすけは何が得意?」
「ケンカ」
「そんなドリルないわっ! というかあってたまるかっ! サエすけは何が得意?」
「笑顔かなー」
「笑顔のドリルってなに!? 小学生は笑顔も習わなきゃならないのかっ!?」
どうなる21世紀。
「はぁ……もういいや。適当にやって、適当にできそうな人に聞こう。次の日曜日にはトメさんに海連れてってもらうし、まだまだ遊ぶ予定がいっぱいなんだから。さっさと宿題終わらせるわよっ」
というわけで、数十分が経過。
「ねぇサユカン」
「なにカカすけ。なにかわかんないことあった?」
「うん。ドリルって男のロマンって言うじゃん。だから男子だけにやらせてればいいと思わない?」
「それドリル違いだから」
数分経過。
「ねぇ、サユカちゃん」
「なにサエすけ。どこかわかんない?」
「トメお兄さんのどこが好きなの?」
「そこはわかんなくていい」
数分経過。
「ねぇサユカン」
「……なによカカすけ。何がわからないの」
「なんで宿題なんかしなきゃなんないの?」
「わたしに聞くなっ、先生に聞け」
「テンカ先生はしなくていいとか言うし」
「……ほんとに先生かあの人」
数分経過。
「ねぇ、サユカちゃん」
「……なによサエすけ」
「私たちって、なんで生きてるんだろう?」
「知るかあああっ! なに、そんな問題がドリルに書いてあるの!? そんな重い問題が書いてあるわけ……」
怒鳴りながらサエちゃんからドリルを奪うサユカン。
「あるし! なにこの『あなたは何のために生きていますか?』っていう問題!? いったい何のドリルよっ」
叫びながらドリルの背表紙を見るとそこには……『人生ドリル』と書いてあった。
「……サエすけ、なにこれ」
「さっき本屋さんで買ったの」
「君、やる気ないでしょ」
「こんな暑いのにやる気なんかあるわけないでしょー」
にっこりと、いつもの笑みでキッパリ言うサエちゃん。黒いこと言うのに可愛いから困ったもんだ。
「ほんっとにもう、みんな暑さにやられすぎよ、カカすけもやる気ないしっ」
「というかさ、サユカンなんでそんなテンション高いの」
「暑いからよっ!」
あんたもやられとるがな。
結局、宿題はほとんど進まなかった。
ま、勉強会というか宿題会ですが細かいことは気にせず^^響き重視っ。
夏休みの宿題って面倒でしたけど、今となってはいい思い出……でもないかな? 大したことしてないし。
自由研究とか、もっとおもしろいことすればよかった……