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カカの天下  作者: ルシカ
159/917

カカの天下159「スイカ割り大会! 割り編」

「さぁ始まりました第一回スイカ割り選手権! 解説はあたし、相変わらず姉としか呼ばれてないけど一応本名はカツコです!」


「なんだかわからないまま解説の助手になってしまったトメでーす」


 ども、今言ったとおりのトメです。


 姉がもってきたスイカを割ろう! とサエちゃんサユカちゃんに声をかけたはいいのですが……なんか大事になってきました。


 どう大事かって? 


 それはね……


「店壊すんじゃねぇぞ」


 まず、会場がなぜか近所のセイジ食堂で、お客さんがそこそこいるということ。つまりはこのスイカ割り選手権の観客だね。


 そして……さらにおかしな点がある。


「赤コーナー! 人呼んでまっかな暴れネコ! というか周りを血で赤くする暴れん坊! カカ選手!」


「それ、どっちかっていうとお姉だにゃ」


 「にゃ」という語尾からもわかるように(?)カカがネコの着ぐるみを着ているのだ。


 前のようにネコミミだけじゃなく、全身もこもこタイプの着ぐるみだ。コスプレというより仮装って感じがする。あと、別に赤いネコの着ぐるみというわけじゃない。白ネコの着ぐるみだ。


 コスプレと仮装。あんま違いないだろうっていうツッコミはなしね。


「黒コーナー! 人呼んで黒い心の狡猾ガエル! とにかく心がまっくろけ! サエ選手!」


「ふふ、どーもですけろ♪」


 サエちゃんはカエルの着ぐるみを着ている。この間カカが着てたやつだ。サエちゃんが考案したらしい商店街のマスコット、デンジャーケロリン……


「けろ♪」


 デンジャーというわりには間の抜けた顔をしているカエル、その着ぐるみの口から顔を出しているサエちゃんは、楽しそうに踊りながら微笑んでいる。


 すいません、正直めっちゃ可愛いです、ハイ。


 周囲の見物人も「萌えー!」とか叫んでます。意味はよくわかりません。


「桃コーナー! 人呼んで頭は桃色片想い! いやぁー、青春ってほんっとーにいいもんですね、サユカ選手!」


「なにワケわかんないことしみじみ言ってるんですかっ!!」


 サユカちゃんはカカと同じタイプのネコの着ぐるみ、ただし三毛猫バージョンだ。


「こら桃コーナー! 語尾は!?」


「……すいません、にゃ」


 ひたすら恥ずかしそうに俯きながら「にゃ」と言う、もこもこネコ姿のサユカちゃん。


 その恥らう姿といったらもう……野次馬どもまで「かぁいいにゃ〜」と言ってしまうくらいだっ!


「さぁ皆様、ここに集いし戦士たちが繰り広げるスイカ割りバトル、いよいよ開催です!」


 どこから調達したのかわからないマイクを振り上げて宣言する姉。ほんと楽しそうだこの人。


「さ、各自スイカを割るために武器を構えてもらいます」


 そしてファンシーな三人はその凶器を取り出す。


 カカは木刀(ちょっと赤い)。


 サエちゃんはメリケンサック(人を殴るときに指にはめる鉄のやつ。バリバリ凶器)。


 サユカちゃんはおたま(超普通のおたま)。


 えーっと……ツッコミどころはどこかな?


 全部だね♪ じゃ一気にいこう。


「ちょと待てカカその木刀いまだに赤いドロい液ついてるぞせめて洗えよ! サエちゃんなんでメリケンでサックなのそんなのどこから持ってきたの!? ああでも指に光るその鋼鉄の輝きが妙に似合ってる!  サユカちゃんそのおたまでスイカ割れるの? 割れるとかじゃないんだよ割るんだよって? ああそうですかスイマセン!」


「助手のトメ君、ツッコミタイム終わった?」


「ん、すっきりした。続けていいよ」


 なぜか周囲に巻き起こる「いいツッコミだったぞー」という拍手。照れる。


「よし! では始めるとしよう! 三人にはあたしの合図で同時に駆け出してもらい、テーブルの上にあるスイカを割ってもらいます! 先に割ったほうが勝ち! さぁ三人とも、下がって」


 姉の指示により、三人はスイカの置かれたテーブルから少し距離をとって並んで立たされる。


「さ、早く割ったほうが勝ちですよー、三人とも構えて!」


 姉の指示で思い思いに武器を構える三人。


「ちなみに一番先に割った人には、一番大きいスイカがもらえるのはもちろん、副賞もあります」


 なにそれ。僕は聞いてないぞ。


「副賞は……我が弟、トメです。好きにしていいよ♪」


 その瞬間、三人の顔が悪魔っぽくなった。


「よーい、どん!」


 姉の合図で、三人は――


 一斉に武器を投げた。


 スパァーン!! と気持ちよすぎる音と共に破裂するスイカ。


 なんで三人ともそんなマジなの?


 なんで三人ともそんな気合いれて投げてんの?


 なんで三人ともハァハァ息荒いの!?


 僕に何させる気!? なんかメチャクチャ怖すぎるんですけど!!! 


「うーん……すごい! 投げた武器が三つとも同時にスイカに当たったよ」


 今のが見えたのか……すごすぎるぞ姉。


「じゃ、トメは三人のものということで」


「「「はーい♪」」」


「待たんかい!!」


 なんで三人とも目がギラギラしてるの!?


「さ、今度は食べよーの巻だね」


 なんでさらに次回にまで続くの!?


 というわけで次回はトメを、じゃなかったスイカを食べる話です。

 ……別にトメでもいいんですけどねっ(←鬼

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