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カカの天下  作者: ルシカ
158/917

カカの天下158「トメの一人遊び」

 トメです。


 今日も今日とて暑い中で仕事を終え、家に帰ってまいりました。暑いといっても僕の仕事場はクーラー効いてるんだけどね。帰りの道のりが暑いのよ。


 見たところカカは家にいない様子。


「ただいまー」


 誰もいなくても挨拶はしておく。これが正しい習慣というものである。虚しいけど。


 自分の部屋で着替え、いつものように居間でごろんと転がる。


 明日はスイカ割り大会だなー、場所が場所だけにどんなことが起こるか楽しみだ……などと考えながらゴロゴロ転がっていると――


「あれ、なんだこれ」


 ふと目に留まったダンボール。


 居間の隅に置いてあったそれは『愛媛みかん』とでっかく書かれている、どこにでもありそうなダンボールだ。


 はて、朝はあんなの無かったよな。


 誰かが買ってきたのか愛媛みかん。しかしなぜに今の時期にみかん?


 と、そのとき。


 『愛媛みかん』のダンボールがずり、と動いた。


 ……見間違いじゃないよな。


「……幽霊さんですか?」


 なんとなく丁寧に呼びかけてみるが返事はない。


 その代わりと言ってはなんだが『愛媛みかん』のダンボールが再び動いた。


 ずり、ずり……と茶色の身体(?)を引きずっている。


「あの……『愛媛みかん』さん。お出かけですか?」


 とことん丁寧に呼びかけてみるが返事は無い。


 なんだろうこれは。怪奇現象だろうか。


 僕の脳裏にテレビ番組でよくあるテロップ(字幕のこと)が浮かんだ。


 『愛媛みかんは生きていた!?』


 ……なんか違うな。


 『愛媛ばんざい! GOGO愛媛!!』


 ……とことん違うな。


「……ん?」


 なんとなく違和感を見つけた僕はゴロゴロモードから立ち上がり、ダンボールを持ち上げてみた。


 思いのほか軽々と持ち上がる『愛媛みかん』のダンボール。


 そして足元を見てみると……


「なんだ、総理大臣か」


 別にダンボールの中に総理大臣の生首が入っていたわけじゃないよ?


 ……こわっ! 自分で言っててなんだけどこわっ!! なんだそのイヤガラセにも程がある郵便物!? もし漫画だったら逆に僕の首がジャンプするくらいショッキングだぞ!!!


 すー、はー。失礼、取り乱しました。


 なにはともあれ、そこにはセイジ食堂で飼われているネコ、総理大臣(カカ命名)が座っていた。


「さてはカカにでもやられたな」


 多分僕を驚かせようと仕込んでおいたのだろう。この総理大臣というネコ、結構頭がいいのである。「待て」と言われれば待つし、「やれ」と言われれば指差した人物に襲い掛かるのだ。まさにネコの中の総理大臣! や、えらいって意味で。


「しかしこんなダンボールどこにあったんだ」


 ニャ、と台所を指差す総理大臣。


 そこに視線をやると、他にもダンボールが転がっていた。ハサミやのりが転がっているところを見ると、カカたちが工作でもしていたのだろう。


 ……なんで台所でしてたのか気になるが。


「しかしおまえすごいなー、本当に話わかるみたいだ。末は博士か大臣か!?」


 頭がいい子供によく使う言葉を言ってみる。


 すると――「あたしゃすでに大臣ですよ」と言わんばかりに「ニャ」とネコパンチでツッコミを入れてくるではないか!?


「おまえすごいにゃー!」


 にゃ、と答えてくれる大臣。


「しかし暇だにゃー」


 にゃ、と頷いてくれる大臣。


「……カカ、まだかにゃー」


 寂しい僕と一緒にいてくれる大臣。


「あー、でもおまえ近くいると暑いわ。あっちいけ」


 なんかガッカリした大臣。


 カカまだかなーと思いつつ。


 僕はしばらく大臣で遊んだ。


 たまにはトメ一人もいいものだなぁ、と思って書きました。

 え、女の子いないとダメですか? 次回は出ますので我慢してください(笑

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