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カカの天下  作者: ルシカ
155/917

カカの天下155「ブルァボウ! ぷしゅー」

「ただいまー!」


 暑さに向かってケンカを売る気で声を張り上げたトメです。


 今日からカカたちは夏休みということで、学校で相当に気合を入れられたらしく朝からやたら元気だった。だから僕も負けじと元気を出して仕事を頑張ってきたわけだ。


 ふっ、汗が滴るいい男だぜ。


 妹に元気で負けてるわけにはいかないもんなっ。


 半ばヤケ気味に意気揚々としながら玄関に靴を放り、居間を覗いた。


 そこには相変わらずの三人組が夏だというのに元気よく、


「……んぁ? とめ、にぃ」


 元気、よく……


「トメお兄さん、おかえりなさいまふぁ〜……」


 元気……


「……すー……すー」


 元気なっ!!!


「なんでおまえらそろって死んでんの」


 今日は朝から三人そろって超がつくほど元気だったはずなのに、僕が会社に行ってる間に三人ともしなびたニンジンみたいになっていた。


「……や、あのね、今日ね、プールいったのね」


「いったんですよ〜」


「……んむ……すー」


 サユカちゃん気持ちよさそーに寝てるなー。


「そしたらね、えっと……レディーファイトッ! ってなって」


「競争始めたんですよ〜」


 カカとサエちゃんがごろごろしたまま目は線のままで解説を始める。


「で、バシャバシャー」


「泳ぎまして」


「バッシャバッシャババシャツ〜!」


「泳ぎまくりまして〜」


「ババババババババ」


「泳ぎまして×ひゃく〜」


「ばひゅー……どるるるる」


「ガス欠になりまして」


「ひゅー、すとん」


「墜落しまして」


「ぷしゅー」


「というわけです」


 ……最後のぷしゅーが何なのかいまいちわからなかったが、大体わかった。


 要は初っ端から元気出しすぎて疲れたんだな。


「ま、確かに泳いだあとって眠くなるもんな」


「そうそう、サユカちゃんなんか帰ってきてすぐ死んじゃったんですよー」


 死んだ言うな。


「うん……でも楽しかったよ。女の子の水着姿とかブルァボゥだったし」


「カカ、オヤジくさいぞ」


 にしてもブルァボゥって巻き舌効いてていい発音だな。


「だって男子の水着姿を見たっておもしろくないでしょ」


 それはそうだが……ガキなんだから泳ぎだけ楽しめよ。 


「とにかく、僕は夕飯の買い物してくるけど……」


「アイス、イチゴのね」


「ポッキーお願いします」


 当然のごとく注文してくるなお子様どもめ。


「……一緒にいく、とか可愛いこと言うやついないの?」


 と、そのとき。


 今まで寝ていたサユカちゃんの目がくわっと開いた。


「ふぁい!!」


 なにやらアクロバットな感じに身体を捻りながら立ち上がったサユカちゃんは、綺麗に一回転してからズバッと手を上げた。


「わたし、いきまふ!!」


 寝起きのせいか口が回ってない。しかしなんでそんな勢いよく……


「おお! イベントだよサエちゃん!!」


「作戦会議だね、カカちゃん!!」


 続いてシュバッとバシュッと立ち上がるカカとサエちゃん。なんだおまえら元気じゃねぇか。


「一緒にお買い物だよサユカン」


「よく言ったねサユカちゃん。起きてたの?」


「夢の中で聞こえた」


「「愛だ……!」」


 なんだコイツラ。


「トメ兄、ちょっと待ってて!」


「……三分間待ってやる」


 どこかで聞いたセリフで答えると、三人はドタバタとカカの部屋へと移動した。


 ……なんなんだかな、いったい。


 はい、続きます。

 にしてもこの話のタイトルすごいなぁ(自分でつけたくせに

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