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カカの天下  作者: ルシカ
154/917

カカの天下154「ものども喜べっ! 夏休みだ」

「さて、明日からてめぇらは夏休みだ」


 ふふふカカです。


 ただいまテンカ先生が言ったとおり、今日はもう終業式も終わって残すはこのHRだけ。


 これが終われば夏休み開始なのだ! めでたいっ! 酒もってこーい!


「ダメ」


 ……わかってるよノリだよ冗談だよ、だから睨まないでよテレパシートメ兄もとい父親。どこにいるかわかんないけど。


「夏休みは魔物だ。暑い暑いとだらけているとすぐに過ぎ去り、宿題という悪魔が顔を見せる」


 テンカ先生は女性にしては鋭すぎる眼光でクラスを見渡す。その迫力に私たちは息を飲んだ。


「だから……いいかてめぇらっ! 油断するなっ! 気を緩めた瞬間に夏休みは消えていると思え!」


「「さー、いえっさー!」」


 テンカ先生の勢いに押され、いまクラスが一つになっていた。さー!


「暑さなんざ吹き飛ばせっ、気合をいれろっ、てめぇらはガキだ! おらおらどうしたガキなら無駄にやかましい声で返事しやがれっ!!」


「「さー、いえっさー!!」」


「西革三等兵!」


「西川です、さー!」


「貴様の仕事はなんだ!?」


「えっと……べ、勉強です、さー!」


「ちっがぁぁう! 貴様は世の中をなめている。勉強なんていうつまらないことで人生経験がつめると思うのか? 罰として腕立て100回!」


「できません、さー!」


「威勢よく情けないことを言うなっ、じゃあ倒れるまでやれっ」


「さー、いえっさー!」


 なんだろこのノリ。


 楽しすぎる。


「カカ二等兵!」


「さー、いえっさー!」


「ではわかりやすく貴様に聞こう。ガキの仕事とはなんだ!?」


「遊ぶことであります、さー!」


「そのとおり! 貴様はこれから番長少尉に昇格だ!」


「なんか嫌です、さー!」


「いいかてめぇら! 子供っていうのは遊ぶもんだっ、遊びつくすもんだ! その中で人間性を育み、歪んだ社会での楽しみ方を覚えていく。それができないやつは……堕落する! 引きこもる! ニートになる! 聞こえているのかガキども!」


「「さー、いえっさー!」」


「だらけるな、遊べっ。引きこもるな、遊べっ。それができた者こそ、明るく楽しく朗らかに老後も安心になってゆくのだ!」


「「さー、いえっさー!」」


「腹黒一等兵!」


「サエです、さー!」


「貴様の夏休みの一番の楽しみはなんだ!?」


「友達で遊ぶことであります!」


 ……あれ、いま『で』って言った?


「腹黒の名にふさわしい解答だ! 貴様はこれから裏番長中尉に昇格だ!」


「嫌ですー、さー」


「さて!」


 あ、無視した。


「てめぇらはこれから何をする!!」


「「遊ぶ! 遊ぶ! 遊ぶ!」」


「てめぇらの楽しみはなんだ!?」


「「海! 山! 花火!」」


「てめぇらが期待するものはなんだ!?」


「「恋! 告白! その向こう!」」


「てめぇらの捨てるものはなんだ!?」


「「だらけ! 勉強! 宿題!」」


「てめぇらは学生じゃねぇ。ガキだ! 余計なことは考えず、ガキの本分をまっとうしやがれっ!!」


「Yes! Yes! Yes!」


「いざゆかん戦場へ! 解散!!」


「ありがとうございましたぁ!」


 うん、あれだ。


 この教室、カンペキに洗脳されてるね。


 楽しすぎ。




 放課後。


「……ね、カカすけ。なんかさっき戦争の声聞こえなかった?」


「気のせいだよ」


「さ、カカちゃん、サユカちゃん。夏休みだよー」


「うん、いっぱい遊ぶわよ、カカすけサエすけ」


「「さー、いえっさー!」」


「……なにそれ」


 夏休みのはじまりはじまり。


 というわけでカカ達の夏休みスタートです! さー!

 小学校の夏休み……なつかしぃなぁ。さー!

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