カカの天下152「トメ式勉強法」
こんばんは、トメです。
夜も更けて、そろそろ寝ようかーと思ったとき。カカの部屋の明かりがついていることに気がつきました。いつもならもう寝てる時間なのに……
「おーい、まだ起きてるのか」
「ん、トメ兄」
な、なんと!
カカが勉強している!!
「似合わなっ」
「保護者としてその意見はどうなのトメ兄」
失格だな。あっはっは。
「や、だってカカとノートと鉛筆っていう組み合わせがおかしい」
「それがおかしかったら私、学生やってけないんだけど。なんだったら似合うのさ」
「んー、血のついた木刀?」
「なんでどいつもこいつも私と血を結びつけるかな。喧嘩上等」
レディー、ファイト!
ってなりそうだったけど近所迷惑になるなぁ、と二人で目で会話して止めておいた。
「明後日からテストだから、一応ね」
「そっか、夏休み前のテストかぁ。おまえ考えも行動も変だけど、そういうことはきっちりやるよな。身体も鍛えてるし。いい子いい子」
「まかせて」
「変ていうの否定しないのか」
「否定できるわけないでしょ」
この歳でここまで開きなおるやつも珍しい。
「でもねー、なかなかうまくいかなくて」
「そりゃな、カカってどうみても頭いいキャラには見えないし」
「トメ兄はいいよね、ツッコミだから」
「……は?」
「ツッコミの人って成績いい人多そうじゃん」
そ、そう、なのか? 統計とってみないとわからんが……
「だって人をボケ扱いするんだよ? 頭よくなくてどうすんの」
そう言われてみれば、たしかに……うまいこと言うね。
「トメ兄はどんな勉強してたの?」
「僕か? ひたすら読むだけ」
「読む? それだけ?」
「ああ。もちろん範囲内のワークとか問題集は一度全部やるけど、あとはそれを読みまくるだけ」
「そんなので覚えられるの?」
「成績は上位だったぞ、自慢だけど」
「トメ兄、似合わないよ。頭いいキャラが」
「おまえさっきツッコミは頭よさそうって言ってなかったか」
「それはそれ。でもトメ兄はなんか……良くもなく悪くもなくって成績が一番トメ兄っぽい」
「成績優秀で悪かったな。だいたいな、テストなんてコツをつかめば簡単なんだよ。要は暗記すればいいんだから」
「暗記って、算数も?」
「そ。解き方を暗記するんだよ。いいか」
僕は妹にテスト暗記法を伝授してやった。内容はこうだ。
人間は寝ているうちに記憶の整理をする。夢を見たりするときの状態だ。この睡眠を利用することを前提にして勉強をする。
どういうことかというと……寝ている間に脳が記憶の整理をするおかげで、直前にやった勉強の内容の記憶も強くなる。つまり、勉強している最中に覚えていなくても、寝た後に覚えていればいいのだ。
寝る前に範囲内の全ての内容をうろ覚えの状態にしておく。そのためにいちいち書いたりしていては間に合わない。だから読む。寝る前の一、二時間でいいから範囲内のものをひたすら読むのだ。そしてしっかり寝る。
一部を確実に覚えるより、全体をうろ覚えに。不確実に思えるかもしれないが、やってみると割と覚えているものだ。
暗記ものはこれでいい。算数や計算関係はまた別のやり方もあるけど、その話はまた別の機会にしよう。
「要は、ワークとかやることやったらあとは読みまくれと」
「そうそ、まぁ、向き不向きもあるだろうけど僕はそれでやってた」
「へー。で、オチは?」
「ねぇよ。たまにはマジメな話してもいいだろ」
「ちぇ。ま、いっか。それでやってみよう」
「おう、範囲内のことは小さいことも見逃すなよ。先生って100点とか取られたくないからイジワルな問題一つくらい入れるもんだし」
「うん、わかった。ところでトメ兄」
「なんだ」
「私のテスト範囲わかる?」
「……それ、僕がわかったらすごくないか」
「うん、ほめてあげるよ?」
「いらんわ!」
結局、その日はワークだけやって寝たらしい。
ああ、それにしても勉強か。たまに懐かしくなるんだよなぁ。
小学生のころは、まだ楽しかったからなぁ。問題も簡単で。
……小学生という存在自体は簡単じゃないけどな。うちの妹とか。
今回は笑い控えめです〜
そして、ぶっちゃけこれ私の勉強法でした。余計なことやるよりこの単純なやり方のほうが点取れたんですよね〜。ひたすら読み読み。