カカの天下147「ハンカチ合戦」
「今日はどこかよってくー?」
「わたしは特に用事はないけど」
「あ、私は商店街よりたい」
よってけよってけカカです。
今日も今日とてサエちゃんとサユカンと学校帰りの私です。仲良きことはかしましきかな。あれ、なんか違ったっけ。
「カカすけ、何か買いたいもんでもあるの?」
「うん、ハンカチ買いたいの。昨日、ダメにしちゃったから」
「カカちゃんのことだから、間違って食べちゃったんでしょー」
「あはは、カカすけらしいバカだねっ」
「食べたのはトメ兄だよ」
……お二人さん、しばし絶句。ハトが豆鉄砲くらってクルッポー。
「トメお兄さん、いつからツッコミからボケに転職したの?」
「トメさんがやると……そんなことでも可愛く思えるのはなんでだろう……」
そらあんたからすりゃトメ兄関係ならなんでもいいからでしょう。
「いやね、昨日の夕飯どきにさ、台所にぐつぐつ煮だっている鍋があったのね」
トメ兄の主食がハンカチとか思われてもこま……らないけど、まぁ一応説明しておこう。
「それで私、急にあったかいおしぼりが恋しくなって」
「ほんと急だな」
「カカちゃんらしいねー」
「それで、その鍋にハンカチいれればおしぼりになるかと思ったんだけど……それ、お湯じゃなくて料理だったのね。それでハンカチの甘辛煮のできあがり」
それで取り出すのも面倒だったんで放っておいたら、夕飯のときに見事トメ兄が食べてしまったというわけだ。もちろん吐き出したけど。
ちなみに真っ先に私が疑われたけど、姉のせいにしておいたのでOKだぜぃ。
「トメさん……わたしのハンカチも食べてくれるかなぁ」
「サユカちゃんって、トメお兄さんのこととなるとポジティブにも程があるねー」
「ポジティブっていうか、エキサイティングっていうか、恋はもーもーというか。モーモー。牛肉コロッケ食べたいな」
「それを言うなら盲目だ」
「む、この声はテレパシートメ兄!?」
弾かれたように辺り見回す、が、やはりその姿は見つけられない。
「くそぅ……いつか、いつか必ず!」
「トメさん……ふへ」
「ねーねー、カカちゃんもサユカちゃんも変な世界いってないで戻ってきてよー。私さびしー」
と、そんなこんなで商店街の雑貨屋さんについた。
「さて、どんなハンカチがいいかな……そだ。サエちゃんサユカン。私に似合いそうなの選んでみて」
「りょかいっ」
「まかせてー」
そして数分後、二人が持ってきたハンカチは、
「なんで二人とも赤色?」
二人は顔を見合わせて、シュッシュ、とボクシングの真似をしながら同時に言った。
「「血の色」」
「おまえらそこになおれ」
説教中。
終了。
「じゃ、今度はサエちゃんに似合うハンカチ選んでみようか」
そして数分後、私とサユカンが持ってきたハンカチは、
「なんで二人とも黒色なのー?」
私とサユカンは顔を見合わせて、胸をさすりながら同時に言った。
「「サエちゃんの心の色」」
「おまえらそこになおれー♪」
とことん説教中。
やっと終了。
「じゃ、今度はサユカンに似合うハンカチを選んでみようか」
そして数分後、私とサエちゃんが持ってきたハンカチは、
「……なんで二人とも、も、桃色?」
私とサエちゃんは顔を見合わせて、同時に笑った。
「「にへへへへ♪」」
「君ら、そこになおりやがれ」
それはもう説教中。
なにはともあれ終了。
「で、結局何色のハンカチ買ったのさカカすけ」
「無難に白色」
「それがあと何日で赤く染まるか、楽しみだねー」
「や、これ武器じゃないんだけど……」
「それを拳にまいて殴るんじゃないの?」
「……あんたら、私をなんだと思ってるの」
二人は顔を見合わせて、同時に言った。
「「とにかく血の色」」
「とにかくそこになおれ」
もういいだろうってくらい説教中。
いいかげんに本当に終了。
ともあれ、お買い物は楽しいなぁ。
ティッシュとハンカチは大人になってからでも、いや、大人だからこそ持ち歩きましょう。意外と役に立ちますよねー。