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カカの天下  作者: ルシカ
144/917

カカの天下144「健全にゃー」

 こんにちは、トメです。


 今日は仕事も買い物も終わり、夕飯の支度を始めるまでのんびり居間でお茶なんぞをすすっています。


「ただいまにゃー」


「おかえりー」


 例によってサエちゃんやサユカちゃんと遊んできたカカが帰ってきたようだ。


 最近のカカは昔に比べてずいぶんとおとなしくなった。いや、性格自体は明るくなった感じがするが、突拍子もないことをする率が少なくなった気がする。


 もちろん今でも変な妹には変わりないけど、サエちゃんが友達になってからだんだんとやることがソフトになってきた気がする。騒がしくはなったが、変な性格もいい方向に変わってきたみたいだ。


 僕はそんなことをしみじみ思いながら、帰ってきたカカを出迎えた。


「なぁ、カカ」


「にゃ?」


「なんでネコの耳が頭から生えてるんだ?」


「サエちゃんが似合うって、くれたにゃ」


「……その格好のまま、外を歩いてきたのか」


 やっぱ変だこいつ。


「うん、そだにゃ。あ、何度か近所の人に『カカちゃん、それ、なぁに』って聞かれたけど、サエちゃんがくれたからって理由は恥ずかしかったから『トメ兄の趣味』って言ってごまかしといたからにゃ」


「ちょと待てそれじゃあ僕のご近所の評価はどうなった!?」


 妹にネコ耳をつけさせる変態兄貴……まずい、まずすぎる!!


「じゃ、私は着替えてくるにゃ」


「ちょと待てこらぁ!!」


 怒りのままに思わずカカの制服の袖を引っ張ったそのとき、ピンポーンという音が。


「けほっ」


「……話があるから、ちょっと待ってろ」 


 ちょっと強く引っ張りすぎたか。反省しつつ玄関に出てみると、そこにはご近所の奥様方が……


「あの、トメさん? ちょっとお聞きしたいのですけど」


「は、はい? なんでしょうか」


 皆さんの生ゴミを見るような視線が辛い……


「変な噂を聞いたんですけど……お宅のカカちゃんに、その変なこととか、してませんよね? あ、疑ってるわけじゃないんですけど!」


 疑ってないならその腐った目はやめてほしいのですが。


「そりゃもちろん変なことはしてませんよ! 僕はいたって健全な」


 と、そのとき。


「トメ兄」


 僕が遅いので気になったのか、後ろに現れたカカはこんなことを言った。


「おしおき、まだかにゃ?」


 さっき僕が引っ張ったせいで着崩れた制服のままで。 


 あぁ、神様よ。


 なんて間が悪いんだブッコロスゾ。


「健全な……なんですかトメさん」


「健全な『ロリコン』ですか?」


「健全な『おしおき』ですか?」


「健全な『制服』ですか?」


「健全な『妹』ですか?」


「健全な『ネコ耳』ですか?」


「健全な『にゃ』ですか?」


「健全な『ヘンタイ』ですか?」


 このおばちゃん達こわいよママン! 


 なんで壊れたカセットテープみたいな寒気のする声で合唱するの!?


 不健全なキーワードの嵐に僕が埋め尽くされていく……


 前言撤回。


 やっぱカカのトラブルメーカーぶりは変わらない。


 見た目は変わってもレベルは一緒。危険値は常にMAXになる可能性大なのだ。


 ……とりあえず、このご近所の方々の誤解を解かねば。


 うぅ、この人間のクズ以下を見るような視線に、耐えられそうにないんだけど。


「がんばるにゃ、トメ兄」


「そだにゃ……このあとのおまえの説教を楽しみにがんばるにゃ」


「にゃんですとー」


 ご近所の奥様は恐ろしい。


 え、この誤解を解くのにかかった時間は何時間か?


 HAHAHA!


 20日かかりましたがなにか?


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