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カカの天下  作者: ルシカ
141/917

カカの天下141「犯罪者に返り討ち」

「ただいまー」


「おー、おかえりー」


 お晩どすえ、トメです。


 居間でごろごろ雑誌を読んでいると、カカが帰ってきました。学校からまっすぐ帰ってきたにしては遅めの時刻。たぶん寄り道でもしてきたのでしょう。


 と、カカが帰ってきた直後にピンポーンという音が。


「誰か来たみたいだね」


「ん、出るよ。おまえは部屋行ってな」


 玄関で靴を脱いだばかりだったカカとすれ違う。


 ん? 今なんか変なものが見えたような。


 ピンポーン!


「はいはい」


 とりあえずそれは置いといて玄関に出る。


「どちら様ですかーって、あらシュー君。お久しぶり」


「どうも!」


 ビシッと敬礼を決めたその人は、ご近所の平和を守っているつもりの警官、シュー君だ。


「何か用ですか?」


「ええ、実はですね、お宅に」


「なったんですか?」


「……は?」


「オタクになったんですか? それなら近所のサカイさんととても仲良くできると」


「違います! お宅に窃盗の嫌疑がかけられてるんです!」


 むぅ、冗談にそんなムキにならなくても。


 って、窃盗?


「犯人は姉です」


「……言い切りますね」


「だってそういう生物ですし」


「それはそうですが」


 あんたも迷いないじゃん。


「今回は違います。実はお宅のカカちゃんが」


「カカもオタクになったのか」


「そのネタはそれくらいで……」


「呼んだ?」


 シュー君と遊んでいると、廊下からカカが顔を出した。まだ部屋に戻っていなかったらしく、今すれ違った格好のままだ。


 その、肩に木刀を担いだ格好のまま。


「ときに妹。その木刀はなに?」


「武器」


「……なんのさ」


「ケン――」


「まぁいいや!」


 カ、と警官の前で言わせるのもなんだったので遮っておく。


「それで……その木刀の先にぶら下がってるのは?」


 カカは気づいていなかったらしく、小首を傾げて後ろ、肩に担いだ木刀の先を見る。


 そこにぶら下がっていたのは……


「ぶ、ブラウニー?」


「誰だよ!? そうじゃなくて、それブラジャーじゃんか!!」


 そう、木刀の先にあるのは紛れもなく、それなりにカップがワンダホーなブラジャー!


 しかも黒い! 黒いとね、なんかこう……ね!?


「ええ、実はデパートとか、通行人の皆様から、値札のついたブラジャーを堂々と盗んでいったツワモノがいると通報がありまして……」


「あー、デパートで歩いてたら引っかかっちゃったんだね。気づかなかった」


 誰か教えてやれよ!


「きっと周りの人も教えづらかったんでしょうね……」


 まぁ、知らない子供に「お嬢ちゃん、ブラジャー下がってるよ?」なんて声かける勇気がある人はなかなかいないか……


「ともかく、それは僕がデパートに返しておきますんで」


 そう言ってカカから受け取ったブラジャーを、シュー君はポケットへ……


「ねぇシュー。それやばくない?」


「え、なにがかな、カカちゃん」


「警官がポケットにブラジャーいれるの」


 ……言われてみれば、今どきの犯罪のにおいが。


「じゃ、じゃあどうしろと」


 困惑するシュー君に、にやりと笑うカカ。


「つけてけ」


「えぇ!?」


「つけろ」


「いや、それは……」


「つけないと下着ドロボウとして通報するぞ!!」


「はい!!」


 よわいなー警官。


「じゃ、女装趣味の変態として通報を」


「そんなぁ!!」


 そんな感じでしばらくカカのおもちゃになったあと、シュー君は帰っていった。


 ビニール袋に入れるという案を僕が教えてあげたおかげだ。


 ……あの姉妹におもちゃにされるなんて、難儀な人だなぁ。


 ビニール袋をすぐに提案しないで見物してた僕も同罪か。


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