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カカの天下  作者: ルシカ
129/917

カカの天下129「名探偵カカの事件簿2」

「事件だ……!」


 ども、トメです。


 バーン! と壁を叩きながら居間へ乱入してきた妹のカカは、なにやら景気の悪い顔でそんなことを言いました。


「あ、また便秘か。それはすごい事件だな」


「それはトメ兄でしょ!」


「人聞きの悪いこと言うな」


「だってもう三日出てないでしょ」


「なんで知ってる!?」


 カカはムカツク微笑を浮かべてちっちっち、と不器用に指を振る。


「この名探偵カカに知らないことはないのだよ」


「あっそ……んで、どうしたって?」


「サエちゃんとサユカちゃんと遊んでる間に、私のおせんべいがなくなったんだよ!」


 おまえほんとせんべい好きだな。


「へぇ、で、犯人は誰なんだ?」


「それをこれから調べるの」


「名探偵に知らないことはないんじゃないのか?」


「トメ兄、世の中は臨機応変にいかなきゃ」


「……ああ言えばこう言う」


「そう言うからこう言うの。出直しなさい」


 コノヤロウ。


 お、カカの部屋で遊んでたサエちゃんやサユカちゃんも出てきた。


「君らも大変だね」


「楽しいですよー」


「いつものことですしねっ」


 いい友達だなぁ。


「で、僕に何の用なわけ?」


「事情聴取にきたの。犯人はトメ兄?」


「いや。僕はいま、しょっぱいのよりチョコとか食べたい気分なんだ」


「あ、私もですー。気が合いますねートメお兄さん♪」


 にこーっと可愛らしい笑顔で賛同してくれるサエちゃん。


「トメ兄、死刑!」


「サエすけ、処刑!」


 ……なんでこいつらこんな怒ってるんだ。


「冗談冗談、そんなに怒らないでよサユカちゃん。で、カカちゃんはなんで怒ったの?」


 それはあなたにふぉーりんらぶだからですよサエちゃん。


「へ? いやその……ともかくっ」


 ごまかしたな。


「私のせんべいを食べた犯人はこの中にいるっ」


「そうか? 気まぐれに忍び込んだ姉が食べてったっていう線もあると思うが」


「や、姉は今日デートだから」


 ……ほわっつ?


「ちょ、ちょちょちょちょっと待てっ!? あの姉がデートだと? 相手は何星人だ? 火星人か? いや、冥王星人が一番しっくりくる」


「それはどうでもいいからっ! 一人ずつ証言を聞いてくよ」


 や、相当気になる話題なんだけどなぁ……


「まずサエちゃん」


「私、ずっとカカちゃんと一緒にいたよねー」


「うんうん、これからもずっと一緒にいようねー♪ 次いこう」


 ぬるっ。ぬるすぎっ!


「サユカちゃんは?」


「わたしも基本的に一緒にいたじゃない。トイレ何回か行ったけど」


「サユカちゃんってトイレ近いよね。糖尿病?」


「はぁ!? ちょ、んなわけないでしょ!!」


 実際は最近の小学生で糖尿病の人とか増えてきているらしいので、お子さんがいる家庭は気をつけましょう。


「トメ兄は?」


「僕はずっと居間で雑誌読んでたけど」


「しょぼい生活」


「やかましいわっ! 大体さ、せんべいってどこにあったんだよ」


「台所の上の戸棚」


 ……あれ?


「それ。おまえ昨日の夕方食べてなかったか?」


「いや、私が食べたのは、せんべいじゃなくて、クッキー……ぁ」 


 あ? いま小さく「あ」って言ったぞ。


「確かに犯人はこの中にいたみたいだな……しかも超中心に」


「うん、トメ兄を犯人だっ!」


「はいぃ!? なんで僕!? しかも『を』ってなんだよ普通は『〜が犯人』って言うだろ!」


「うるさいなっ! 事件の犯人を決めるのは証拠でも警察でもなくて探偵なんだよ!」


「はっきり言うにも程があるだろその真理! ていうか犯人はおまえだろがっ!」


 ぎゃーぎゃーと騒ぐ僕らを見て、


「ああいうお兄さんいると楽しそうだよね」


「うん……でもわたしはお兄さんよりも」


「んん? なにがほしいのサユカちゃん?」


「やっ、お兄さんじゃなくてこ、こ、こいび……いやなんでもないっ」


「どっちにしろトメさんがほしいのねー」


「サエすけそれ言うなあああああ!」


 なにやら二人も騒いでいたけど、カカがうるさくて聞こえなかった。


「事件は犯人が捕まるんじゃないっ、探偵の気に食わないヤツが捕まるんだっ!」


「だからそういうことハッキリ言うなああああ!!」 


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