カカの天下119「違いのわかる妹」
「トメ兄、ちょと教えてほしいんだけど」
「なんだカカ」
こんちわ、カカです。
ふとした疑問が浮かんだので、お風呂場で頭をもっしゃもっしゃ洗っているトメ兄に質問タイムです。
「トメ兄さ、太った?」
「人のセクシーな背中を見てなんたる言い草だ。ていうか戸を閉めろ」
トメ兄は私に背を向けて頭を洗っている形。うーん、お尻のあたりがセクシーかな?
あれ、そういえばセクシーってなに。セクハラの親戚かな。
「でさ、セクハラトメ兄」
「セクハラしとるのはおまえじゃ、たわけ」
「やっぱちょっと太ったよ」
「……まじで?」
頭をもっしゃもっしゃする手を止め、深刻そうに尋ねてくるトメ兄。薄々自分でも感づいていたのかもしれない。
トメ兄はお風呂からあがり、ビールを飲もうとして……やめた。
私は廊下から覗いてにやりと笑った。
トメ兄は悔しそうな顔をしてた。
朝。ごはんを作っている最中のトメ兄。
卵焼きに砂糖を入れようとして……やめた。
私はわざと物音をたててこっちを振り向かせた。
にやりと笑ってやった。
トメ兄は口をひくひくさせた。
夕方。夕食の買い物に付き合った。
トメ兄は自分のお菓子はいらないというので、その分私のをこれでもかと買い物籠に入れてやった。
にやりと笑ってやった。
トメ兄は目元をぴくぴくさせた。
家に帰ってから。夕飯もあまり食べなかったトメ兄の目の前でチョコバーを食べてやった。
それはもうにやにやしながら食べてやった。
トメ兄は私の肩をもみもみした。痛い。
翌日、私は朝からおかわり三杯もしてやった。
ひたすらニヤニヤしながら食べてやった。
トメ兄は私の頭をぶんぶんさせた。目が回る。
そんなやりとりがしばらく続いて……
「どうトメ兄、やせた?」
「んー……体重は減ったんだけど……どうだろ」
私はトメ兄のお尻を触った。
「うん、やせた」
「なぜわかる」
「お尻のわかる女だから」
「……なんというか、ツッコミ辛いなぁそのボケ」
「本気だよ? 私が何人のお尻を触ってきたと思ってるの」
「クラス全員とか?」
「学校全員だよ」
「変質者かおまえはっ!?」
「トメ兄、冗談にいちいち腹立ててるからお腹出るんだよ?」
「関係ないわっ」
まぁ、実際お尻がやせたのはわかったけどね。
でも、お尻やせるってことはお尻の運動したのかなトメ兄。
なにしたんだろ。