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カカの天下  作者: ルシカ
112/917

カカの天下112「趣味は何でしょ」

「トメ兄の趣味ってなに?」


「なんだ、いきなり」


 こんちわ、トメです。


 夕食時のこと。妹のカカがそんなことを聞いてきました。


「トメ兄って私たちといること多いじゃん。自分の趣味とかないのかなーと」


「そうだなぁ……ぶっちゃけ、それが趣味と言えなくもないか」


「小学生が趣味なの?」


「そういう言い方やめなさい。誤解されるから」


「小さい子が趣味なの?」


「それもだめ」


「妹が趣味なの?」


「そうじゃなくて!」


「ほんとに?」


 そう言えないこともこともないかもしれないが!!


 僕は自作のミートボールをもごもご頬張りながら反論する。


「おまえらのコント見るのが趣味かもなーってこと!」


「なに言ってるの。それを言うなら、私たち『と』コント『する』のが、でしょ。なにせツッコミなんだから」


「あ、じゃあ趣味はツッコミってことになるのか」


「妹に突っ込むのが趣味なの?」


「だからなぜにそういう危なげな言い方をするのだねキミは」


「何が危ないのかな」


「おまえの教育と、その他もろもろに危ない」


「そっか……妹にモロに突っ込む危ない趣味なんだね」


「なぁ、なんで着々と僕が逮捕されそうな文章が出来上がってるわけ?」


 わざとやってないのが不思議なくらいにデンジャラス。


「トメ兄が逮捕になったら困るよ!」


「稼ぎがなくなるからか」


「私の評判落ちるじゃん」


「なんでおまえはそう自分のことばかり言うかね」


「じゃトメ兄は自分より私のこと優先したりする?」


「当たり前じゃないか」


「おー、ほんとに? じゃあトメ兄のミートボール一つちょうだい」


「む……まぁ、いいけど」


 言ってしまった手前仕方ない……くそー、結構おいしくできたのになぁ。


「ん、ありがと。むぐむぐ……さすが妹が趣味なだけあるね」


「うぐっ、そ、そういや料理も趣味って言えるかも!」


「この程度で?」


「なんでミートボールあげたのにここまでボロクソに言われなきゃならないんだ……」


「たった一つじゃね。もう一つくれたら評価アップするかもよ」


「それは嫌だ。結構おいしくできたし」


「大したことないよ。だから一つちょうだい」


「なんだかんだ言ってカカだって気に入ったんだろ、このミートボール!」


「そんなことないよ」


「とか言いつつ箸を伸ばしてくるな!」


「む、箸を箸で叩くなんてお行儀悪いよ」


「どっちがだよ。僕は育ち盛りだからもっと食べないといけないのだ!」


「トメ兄もう大人でしょ! これ以上どこが育つのさ!?」


「心が育つんだよ!」


 喚きあいながらミートボールを奪い合う僕ら。


 箸と箸を剣をあわせるかのように受け、弾く。


「く、おぬし、なかなかやるな」


「うぬの剣も侮りがたし、よかろう、我が必殺技をくらえ!」


 僕はびしっ! と箸をカカに突きつけた。


「カカは今月に入って体重が一キロ増えた!」


「え、ほ、ほんとに!?」


「本当だ!」


 でまかせだ!


「む、むぅ……」


「というわけでこれは諦めろ」


 さすがはたくましすぎても一応女の子。体重の話題を出したら一撃勝利。


 ま、この後お風呂場で体重を量ったカカに「嘘つき」と文句を言われたりするのだろうけど、それはそれでまた口論を楽しむとしよう。


 ……あれ、やっぱ僕の趣味って、妹?


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