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カカの天下  作者: ルシカ
105/917

カカの天下105「カカ達のお祭り、中編」

「祭りだ!」


 というわけです。トメです。


 今日は僕らが住む街のお祭りです。特に大きい街ではないにしても、さすがにこの日はそこかしこに出店がひしめき、賑やかな喧騒に満ちています。


 今の僕は妹のカカと一緒に、友達のサエちゃんとサユカちゃんを待っているところです。


「姉とサカイさん、残念だったね……」


「用事があるってんだから仕方ないだろ」


「あれ? 似たような会話を最近したような覚えが」


「気のせいだ」


 あの二人を誘ったときのことを思い出す。なんか妙にニヤニヤしながら断ってくれた。すごく怪しかった。もしかしたら用事ってこのお祭りに関することなんじゃ……


「サエちゃんもサユカちゃんも浴衣で来るんだって。脱がすのが楽しみ」


「なぜ脱がす」


「浴衣ってそれが楽しいんじゃないの? トメ兄も我慢できなくなったら私の脱がしてもいいよ」


「僕を犯罪者にする気か!?」


「えー。よいではないかよいではないか! おやめくだされおだいかーん! ってやりたいのに……」


「……あー、それなら後でやってやるよ」


 正直言おう。


 それはぶっちゃけやってみたい。


「あ、二人ともー! こっちこっち!」


 お、サエちゃんとサユカちゃんがきた。


「こんばんは、カカちゃん、トメお兄さん」


「こんばっ、カカすけ。と、トメさん!」


「こんばんは、二人とも浴衣可愛いねー」


「サエちゃん、サユカちゃん。脱がしていい?」


 いきなりそれかい。


「うん、あとで部屋でねー」


「し、仕方ないわね……優しくしてよ?」


 よいではないかお代官の話は事前にしているらしい……けど、ここだけ聞くとめっちゃアブナイ会話に聞こえるな……


「じゃ、行こうかー」


「うん、お祭り怪人楽しみだね」


「いつ現れるんですか?」


「カカすけ、用意したんでしょ?」


 ……あれ、なんでそんなのが現れること前提なのですか?


「やだなー、用意してないよ」


 カカはけらけら笑いながら、


「まだ」


 おっそろしいことを口にした。




「射的だ。一番手、カカいきます!」


「おー、頑張れー」


 屋台のおっさんから銃を受け取り、いそいそと弾を詰め込む。


「サエちゃん、どれがほしい?」


「あのクマのぬいぐるみがいいなー。寝る前にキスして抱いて布団に入るの」


「わかった。とってサエちゃんにあげるね。ところでどれがほしくない?」


「あのゲルンガーって感じの人形が気持ち悪いなー」


 あー、あれか。何かのキャラクターかは知らないが、程よく皮膚が溶けてるあたりがこの上もなくゲルンガーだ。


「わかった。とってサユカちゃんにあげるね」


「イヤガラセかっ!?」


「いくよ……必殺、ライフルブーメラン!」


「って銃を投げるなあああああ!!」


「痛っ!?」


「屋台のおじさんに……!」


「む、狙いが外れた……じゃあこの景品はトメ兄に」


「いらねぇよこんなおっさん!」


「ちゃんと寝るときにキスして抱いて布団に入るんだよ?」


「……ぽ。やだトメお兄さんたら、それナイス」


「じゃ、じゃあこのおじさんの代わりにわたしを、そのっ」


「おー!! サユカンがんばれー!」




 なんて感じに、一つの店を見るだけでこの大騒ぎ。


 色んな出店を冷やかしながら、楽しく僕ら四人はお祭りを堪能していた。


 いた、んだけど。




「む? はぐれた」


「トメお兄さんとサユカちゃんいないねー」





「……あれ、あいつらどこいった」


「二人きり、ですね」





 こんな感じにはぐれてしまった。


「……ちゃんす?」


 その内、二人の人間がこのセリフを呟いたことを、僕は知らなかった。


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