カカの天下100「百回記念特別編」
「こんにちわ、香加です!」
「留です!」
「二人揃ってカカ天です!」
二人揃ってのはずなのに香加の名前しか入ってないコンビ名はいかがなものかと思いつつ、始まりました記念すべき百回目。
「今回はちょこっとだけ特別編です」
「どんな風に特別かというと、要はぶっちゃけトークで行こうというわけ」
「百回目ともなればそれなりに登場人物も増えてきたしね。だからここら辺で各登場人物を改めて紹介してみようと思います。ぶっちゃけた視点で!」
香加はもっとパーッと派手なことをしたがってたけど『基本を忘れてはいけない』ということでこのような流れとなりました。
「でさ、ぶっちゃけた視点ってなに、留兄」
「ん、例えば……まず作品のタイトルにもなっている物語の中心人物、カカを紹介します!」
「ん、基本だね」
「えー、彼女を一言で表すと、変です!」
「妹パンチ!」
「ぐはぁ!! ……な、なにする」
「誰が変だって?」
「だから、カカだよ。なんで怒ってるんだ。おまえは香加だろ?」
「……それ、同じじゃ」
「違う! 何が違うと聞かれれば黙らざるを得ないが違うのです! なぜなら百回記念でわりとなんでもあり状態で細かいことは気にしてはいけないからっ!」
「……むぅ」
大人の事情ですんなり香加は黙ってくれた。よしよし。
「はいはい、紹介続けますよ。えー、タイトルにある通り、物語は基本的にはカカを中心に回っていきます。さっきも言いましたが変なので、変な思考と行動で周りを振り回します」
「でも、そこがとても可愛いです」
「毎日腕立て伏せをかかさないので腕っぷしも強く、我も強いので傍若無人という言葉がぴったりな子です」
「そんなカカに踏まれたいという人が続出で困っております」
「……さっきから何を口出してんの」
「紹介してあげてんじゃん。私じゃないんでしょ? じゃあこれは自画自賛じゃないよ」
「……それも、そうか。えー、あと、親友のサエちゃんのことが大好きです」
「最終回では結婚します」
「法律上、無理だろ」
「じゃあ最終回で法律を変えます」
「……マジデ?」
「じゃあ次はカカの兄、トメの紹介です!」
「……ま、いいや。えーと、彼はですね――」
「ツッコミです。以上!」
「短っ! 一応トメって主人公だろ!?」
「主人公はカカでしょ」
「いや、トメ視点の話のほうが多くないか?」
「でもタイトルはカカの名前入ってるし」
むぅ……たしかにタイトルに名前入ってるのは大きいなぁ……
「留兄が納得したところで、次の紹介」
「まじっ? まじで僕――じゃなかったトメの紹介これで終わり!?」
「次はお姉だね。本名はカツコ。でもその名前で呼ぶ人はあんまりいません」
「終わりなのね……とほほ。まぁ慣れてるからいいや」
「トメは姉と呼びます。カカはトメと同じ呼び方だったり、おねぇと呼んだり、気分で変えてるね」
「まぁ、間違っても『お姉ちゃん』とかいうイメージじゃないからなぁ」
「シュー君なんかお姉様って呼んでるしね。えーと、紹介文には」
ぺらり、と香加はどこから入手したのかわからないレポート用紙を取り出す。
「基本的に正体不明、なんでもあり、って書いてある」
「それ、紹介なのか?」
「そうとしか言い様がないんじゃない?」
言われてみればそうだけど……
「じゃあインタビューしてみましょう。おーいお姉」
そう、今回は登場キャラ全員にインタビューしてしまおうという企画もあるのだっ!
「あれ、お姉が控え室にいないよ? 代わりにこんな紙が」
「えーと、なになに? 『おらこんなつえぇヤツ初めてみた。いっちょヤってみっか!』って……つまり」
「えー、姉はどっかのつえぇヤツとヤってくるそうなので不在です。姉ファンの方、申し訳ありません」
「速めにヤったら帰ってくるかも……ちなみにこのヤを漢字にするとどんな字なのかはご想像にお任せします」
「じゃ、次。姉娘、別名タマ」
「えーと、紹介文には……姉がどこからか拾ってきた子供。山小屋で友達になった人に託されたと姉は言っていたがなんとなく嘘くさい。あと、カカの天敵って書いてあるけど」
「や、そんなことないよ。カカはタマのこと、結構好きよ?」
「だよね。なんだかんだで仲良くなってたし。じゃタマちゃんにインタビューしてみましょう」
「うぃあー!」
現れたタマちゃんは元気に吼えた。そのタマちゃんへ、にこやかな表情で歩みよった香加は、
「やっほー、タマちゃん。元気?」
「べんきー」
指差されながらそう言われて爆発した。
「だ、誰が便器だって……?」
「カカはげー。笑える子はいねぇがぁー」
「それはナマハゲのことだ誰がハゲだ!?」
「つかったあとのべんきー」
「レベルアップさせて言い直すな!!」
ピン、ポン、パーン。
見苦しいことになってますのでしばらくお待ちください。
「はぁ……はぁ……」
「ゲストはタマちゃんでしたー。ありがとうございましたー」
「疲れた……だるぃ、もうやる気ない」
疲れ果てた香加はソファーに寝そべってぐったりしている。やっぱりタマちゃんはカカの天敵なのかなぁ……や、この子は香加だけど。
「留兄、もう勝手にやって……」
「じゃあ、次はサエちゃんの紹介です」
「どんとこい!!」
おお、香加が一瞬でよみがえった。
「えーと、紹介文には……カカの親友。塞ぎこんでた自分を救ってくれたカカを大切に思っている。一緒に行動するうちに、純真な心は徐々にカカっぽくなっていく」
「ね、なんかカカが病原菌みたいに言うのやめない?」
「終いには黒幕になる、って書いてある……なんの黒幕だ?」
「んー、でもなんとなーく、わかるような気も……」
「じゃあサエちゃんに登場してもらいましょー」
どんどんぱふぱふー! と叫びながらサエちゃんを迎えいれる香加。
「お二人とも、こんにちわー」
「サエちゃん、好き……」
「マテヤコラ」
いきなり頬を赤らめてサエちゃんに抱きつく香加に兄パンチ。
「なんでいきなり告白しとるんじゃおどれは」
「だってさ。こんな何でもありの特別編じゃないかぎり、カカのねじ曲がった欲望が叶うなんて簡単にはないじゃん」
ねじ曲がった……さすが分身。よくわかってるな。しかし欲望とはまたストレートな表現だ。
「最終回で結ばれるんじゃなかったっけ」
「我慢できなくなった」
「……あそ」
「香加ちゃん、私も好き……」
「ああ、サエちゃん……!」
「はいはいはいはい! なんかチョメチョメな展開にならないうちに次行こう次!」
大人の事情パワーで控え室に引っ張られていくサエちゃん。
「ああ、サエちゃん……!」
「次の紹介はサユカちゃん!」
「ああ……愛しのサエちゃんの代わりにこんなのが」
「こんなの言うなっ!!」
紹介する前に怒鳴りながら登場したサユカちゃん。
「わかった……サユカちゃんで我慢する」
「なんで抱きつくっ!?」
「……おまえはそういう方向にしか行かんのか」
「どうせ変ですから」
あ、開き直った。
「まぁいいや……えー、サユカちゃんは――」
「え、ちょ、ちょっと助けてトメさむちゅ!!」
なんか音がしたけど置いておこう。
「いい気になってるカカに因縁をつけようと話しかけたのがきっかけで友達になる……でも実は同じクラスに友達ができず寂しかったので、隣のクラスなら友達ができるかも、と話しかけたのがきっかけ」
「うああああ!! ちょっとちょっと待っちゅむむが!!」
「素直じゃないのでいろいろと強がってはいるが弱点、というかツッコミ所は多し。今ではすっかりカカとサエのおもちゃ。えーと、あと、トメが好き」
「ああああああああああ!!!!」
ん。おおっ、香加の呪縛から逃れた!
いや、香加のあの顔から見るに……
「香加。満足いったか?」
「いった♪」
ちなみに僕は紹介文を読んでいたので、香加がサユカちゃんにナニをしていたのかは知りません。皆さんのご想像にお任せします。
「と、トメさん……あの、それで、どうなんですか?」
「ん? なにが」
「あの、私、トメさんが好きなんですけど……その、返事」
「そんなこと言われても僕は留だし」
トメじゃないし。
「あの、じゃあじゃあ、もし留さんだったらわたしに告白されたら、どう返事しますか?」
「内緒」
「なんでですかっ!?」
「そのほうがおもしろいから」
「と、留さんまでわたしをおもちゃにする気ですかっ」
「うん。がんばってトメを落としてね♪」
「う、うわあああああああああん!」
想い人のそっくりさん(?)に言われたのがなんかやるせなかったのか、サユカちゃんは叫びながらどこかへ去っていった。
「留兄、おぬしも悪よのう」
「おぬしほどではないわ。さて、次は……サカイさんだね」
「隣のぽわーっとしたお金持ちおねーさん、という設定だったけど……いつのまにか無職のネトゲ三昧のダメ人間に」
「でも最近生きがい取り戻したって言ってたけどね。僕は意味がよくわからなかったけど」
「実は過去にいろいろあったらしいけど、あんまり明らかになってないね。そこも聞いてみようか。じゃ、どうぞー」
「……あれ、また置手紙が。『相手が手強いのでカツコさんのサポートをしてきます』って」
「なんだよサポートって」
「わかんないけど……なんかさ、この二人だけどっかで派手な特別編やってる気がしない?」
「……かも、な」
「きっと髪の毛を金色にしてカメハメハしてるんだよ」
「さ、いないとなれば次行こう次」
そういう話題はアブナイからね。
「えーっと。じゃあタケダ君いってみよっか」
「タケダ。通称、節穴名無し。またの名をタケダニ」
「……不憫な」
「カカにとってはダニも同然。じゃあ嫌だけど呼んでみよう。節穴! 名無しー! タケダニー! ダニなので見えませんね。インタビュー不能。さ、次」
「あれ、さっきまでいたのにっ!? どこいった、というかどこにやった香加!? なんかソファーにこびりついた赤い液体とかあるんだけど!!」
「雨漏りでしょ」
「赤い雨漏りってなんだよどこの怪談だようわほんとに天井から血が滴ってるよそこにいるのかタケダニ!」
「さすがダニ、いつでもどこでも現れる。そんな天井に殺虫剤攻撃」
「あ……トドメさしたかな。なんかびくんって音が」
「いいからいいから。次はシュー君です。警官でありお姉の舎弟。基本的に強気な人には絶対服従のダメ警官」
「……そんなのが警官か。やってけてるのかなぁ」
「凶悪そうな事件は全部お姉に助けてもらってる、って書いてあるよ」
「とことんダメだなぁ。んじゃ呼んでみよう。どうぞシュー君」
「あ、はい。どうも」
おどおどしながら入ってくるシュー君。実に頼りない。
「じゃあ、姉との出会いエピソードでも語ってもらおうか」
「え、あ、はい」
なぜ、という疑問すら感じず素直に頷くとは……筋金いりの弱気だなぁ。
「僕とお姉さまは同じ小学校だったんですよ。そこで僕はいじめられていたのですが」
「ほう、それを助けたのが姉ってことか」
「カカとサエちゃんの出会いみたいだね」
「いや、いじめていたのはお姉様でして」
「は!?」
「それで、その、なんだかいじめられているうちに僕も楽しくなってきまして」
「……いじめられるのが?」
「はい」
わぁーお、としか言いようがない。
「ああ、そう、ですか……ありがとう、ございました」
シュー君退出。
「……私、シューいじめるの控えよう。なんかちょっと怖かった。何が怖いのかよくわかんないけど怖かった」
「うん、本能には従ったほうがいいぞ……えっと、このくらいで主要人物おしまいかな」
「そうだね……あれ、お姉とサカイさんだ」
閉めるか、と思ったところで、先ほどすっぽかした姉とサカイさんが登場した。
「や、遅れて悪いねっ!」
「どもどもー」
「まったく、どこ行ってたんだあんたら」
「いやー、ドロボウと遭遇してさ、これが意外と強くて」
「そのドロボウどうした?」
「沈めましたー」
ほやほやーと言うサカイさん。どこに沈んだか……は、聞かないことにしよう。
「お姉ってたまにそうやって何かの犯人捕まえたりするっていうけど、そんなによく遭うもんなの、事件とか」
「テレビの探偵さんに比べたら些細な遭遇率だよ」
そりゃ行く先々で必ず死人が出る人達には敵わないだろうさ。
事件は犯人が起こしてるんじゃない、探偵が起こしてるんだ! とは誰の言葉だったか。
「ま、せっかく来てくれたんだからインタビューするね。サカイさんの過去について」
シュバッ!
「……あれ、消えたっ?」
「聞かれたくないことだったのかな……」
「むぅ。僕としては一番気になってることだったのに……」
「じゃ、代わりにあたしがおもしろい話したげるよ。高校生のとき、動物園から逃げてきた虎にメンチきって勝ったときの話でいい?」
「睨むだけで勝ったのか。それはそれで興味あるが、今回の紹介っていうコンセプトには合わないな」
「なによー。服従させた虎に乗って散歩したらテレビにも映ったんだぞー」
「あ……そういやはるか昔ニュースでそんなの見かけたような……」
「香加、話に乗るな。キリなくなるから。姉ももう喋るな」
「むぅー!」
「さて、長々と紹介してきましたが……これで100回に渡ってきたカカ天を振り返ることができたかな?」
「なんというか、全員登場させていつも通り好き勝手やっただけな感じがするけど」
「出てるのが僕らだしねぇ。仕方ないんじゃないかな。どんな場面でも僕らってマイペースだし」
「それが売りだしね」
「自分で言ってたら世話ないな。さて、じゃあこの辺にしておこうか。次回からはいつも通りのカカ天をお送りいたします」
「ばいばーい、またねー」
控え室(?)にて
「ね、留兄。こんな感じにぶっちゃけトークもたまにすると面白いんじゃないかな」
「んー、じゃ、たまにするか? ラジオカカ天、みたいな感じで」
「読んでる人の反応見てから決めればいいんじゃない?」
「そだね。まだまだ続くからなんでも書いてけばいいんじゃないかとは思うけど……」
「どうせ作者の気まぐれと思いつきで書かれてるしね」
「僕らが考えても仕方ないか」
「じゃあ、とりあえずラジオ的な挨拶考えようか」
「んー、どんなんだろ。おはようをおカカーっていうとか?」
「こんばんわーをこカカーとか、こんばんカーカとか、そんなノリ?」
「それ浮かんだらまたやるかもね。というわけで大募集してみるか」
「……意見くれる人いるかな」
「さぁ?」