声劇用台本「傲慢とはなんと素晴らしいものか」
:ーー暗い舞台。長い沈黙…。
:ーー間。
私:「傲慢とは、なんと素晴らしいものか。そう思ってしまう瞬間が、誰にでもあると思う。自分は間違っていないって、疑わずにいられる時間。」
:ーー傲慢がゆっくり現れる。
傲慢:「それは自然なことだよ。人は不安になるから、苦しくなる。だから、確信が必要なんだ。」
私:「確信。」
傲慢:「自分が正しいという確信。それさえあれば、周りは静かになる。」
:ーー間。
:ーー理性が少し距離を取って立つ。
理性:「実際、傲慢は役に立つ。迷いが減る。決断が早くなる。社会では、それが評価されることも多い。」
私:「じゃあ、悪いものじゃない?」
理性:「一概には言えない。ただし、使い続ければ副作用も出る。」
傲慢:「副作用?大げさだな。」
:ーー間。
:ーー良心の小さな声が聞こえる
良心:「でも……人の話を聞かなくなったこと…ない?」
私:「……あるかもしれない。」
傲慢:「聞く必要がなかっただけだ。」
良心:「そうやって切り捨てた声の中に、本当は必要な言葉があったかもしれない。」
:ーー間。
私:「最近、誰も私に意見しなくなった。」
傲慢:「尊敬されているんだ。」
理性:「あるいは、距離を置かれている。」
私:「距離?」
理性:「「話しても変わらない」と思われた可能性はある。」
傲慢:「それでも結果は出ている。」
:ーー間。
良心:「結果が出ている間は、誰も何も言わない。」
私:「じゃあ、間違えたら?」
傲慢:「間違えなければいい。」
理性:「それが、危うい考えだ。」
:ーー間。
私:「傲慢とは、なんと素晴らしいものか。確かに、楽だった。強くなった気もした。」
私:「でも、誰かと同じ目線で話すことが、怖くなっていた。」
傲慢:「私を否定するのか。」
私:「否定はしない。ただ、全部任せるのをやめる。」
理性:「自信は必要だ。でも、疑う余地も必要だ。」
良心:「間違えられることは、人間である証拠だから。」
私:「(静かに)傲慢とは、なんと素晴らしいものか。…だからこそ、気づかないうちに飲み込まれないように。」




