500年後の世界 01
「今から200年前に地球人類はこの宇宙から一人残らず消滅しました、あなたはそれでも自分が人間だとおっしゃられますか?」
はい人間です、と答えたらこれだよ。
200年前に人類滅亡?
ということはここは未来の姫路か?
だとすればたぶん西暦2200年だろう。
・・・・なに言ってんの?
「俺は本当に人間だし、地球人で姫路市民だよ。それに人類滅亡?とかいうけど、君とか」
俺は周りを見渡して
「さっきから離れたところに集まってきてる人達とか、滅亡してるようには見えないんだけどな」
そう、俺達が話しをしている土産物屋の少し離れた周りに人がちらほら集まりだしてるんだよ。
どうやら俺を警戒してるみたいだな。
警戒されてるけど敵意はなさそう。
「ねえ福太郎、ちょっとこの娘おかしいわよ。」
ピノが俺の耳元でそんなことを言う
うむ、俺も気づいてたよ。
「ああ、ちょっと頭がおかし・・」
「そうじゃなくて!!」
ピノは目の前の女性を指差しながら
「あなた人間じゃないわね!わたしにはわかるわ!」
うん俺も気づいてたよ、最初から違和感があったんだよ、だってこいつらは生物特有の気配がしない。
「ハイ、私達は人間ではありません」
目の前の女性はそれを認めると
「わたしは人型アンドロイド、MAN-ZX-010 です。」
アンドロイドときたか
「あんどろいどって?」
「人型のゴーレムみたいなもんだよ」
ピノに教えてやると
「ゴーレム?マジで?嘘でしよ?」
そう言いながらZX-010の周りをフワフワと飛びながら観察しだした。
「どっからどうみても人間なんですけど!でも魔力とか生命力とか全然感じないからそうなんでしょうねー、なんか表情が薄いし感情とかなさそう、あ〜010ちゃんだっけ?ねえ笑ってみてよ」
笑ってみてよとか言っちゃうメスガキ妖精さん。アンドロイドの010さんはそれに答えて
「ハイ」
と言いながらニカッと口だけで笑ってみせた。
無表情で口だけ笑っている。
「こわっ!!」
「失礼なやっちゃなお前は!すいませんね010さん」
俺はピノをつかんでこっちに寄せる。
「・・・気にしていません、次はあなたのことを、まずは名前、生年月日などを教えてください」
「わかりました(生年月日も?)」
では自己紹介します
「俺は福田 福太郎14歳
西暦1985年07月31日姫路生まれ。」
俺が名前と誕生日を言うと
パッ、パッ、パッと空中に無数の画面が浮かび上がった、その画面には写真とか文字とかがくっきりと映し出されている。
すげえ、アニメとかで出てくるやつだ。
「こちらをご覧ください」
空中に浮かぶ画面を010が指で弾くと俺の目の前にす~っと流れてきて止まる。
写しだされてるのは新聞の記事の一部。
【1999年08月07日土曜日
兵庫県姫路市で行方不明の福田 福太郎くん(14歳)の捜索願いを家族が出してから早くも一週間が経った。
福田 福太郎くんは7月31日の正午に買い物に行くと家を出てからそのまま帰ってこず、家族が警察に通報した。福田 福太郎君が最後に寄ったのは模型ショップつばさ屋で、大人気アニメ起動騎士ダムガンの模型を買ったのが最後の目撃情報である。
福田 福太郎くんが買ったダムガンの模型が大手前公園で発見されたことにより姫路城の堀も捜索された。
しかし依然としてなんの手掛かりすらない状況に警察はなんらかの事件に巻き込まれた可能性もあるとみている。】
「あーっ、これ福太郎じゃん!」
ピノが記事の横にある俺の顔写真を指した
「この記事の人物があなたであるなら、時を超えてこの時代に現れた理由が知りたいのですが?」
010さんが俺の存在を証明しろと言ってきた
ああ、これは素直に話したほうがいいな
そしてここは本当に未来らしい。
「突拍子もない話になるんだけど、今から話すのは全て本当の話だから」
「聞きましょう」
「じつは・・・」
そして俺は010さんに全てを話した。
「異世界に召喚、15年かけて魔王討伐、そして送還の儀式でここに帰ってきたと、なるほど・・・」
010さんはアゴに手をあてて何かを考えている。
いや計算かな、たぶんあの頭の中は高性能のコンピューターがあるのだ、すごいさすが未来。
「ですが、ふむ、たしかに本物の妖精のようです」
ブツブツとピノを見ながら言ってる
「本物だよ〜、本物の妖精さんだよー、パタパタ」
そう言いながら010さんの周りを飛び回るピノ。
それを黙ってジーッと観測する010さん。
「それにしても帰って来たらまさか西暦2200年だったとはな、まったく魔王のやつめ」
転送される瞬間、一瞬だったが魔王の魔力を感じた。あの魔力のせいで儀式の計算が狂ったのだろう。
死んでまで邪魔するとはあのクソジジイめ・・
でも元の時間に戻っていたら俺も人類滅亡に巻き込まれてた可能性があったな、うーん。
「失礼ですが、今が西暦2200年だとなぜおもわれたのですか?」
おーっとそれを聞くかね、簡単なことだ。
「010さん、あなたはさっき人類が滅亡してから200年後だと言ったね、人類が滅亡したのは1999年だ、たぶん俺が召喚されてから数カ月の間に滅んだんだろうな。それから200年後だから2200年、正確には2199年かな」
「1999年に人類が滅んだというのはなぜでしょうか?」
「それはノストラダムスの大予言にきまっている!」
「のすとらだむすの大予言ってなにさ?」
「ピノは知らなくて当然だな、ノストラダムスさんはな大昔に預言書を書いていて、その中に書かれてたものが凄い当たったんだよ。」
「予知能力者ね!!」
「そうだ!なかでも有名なのは1999年に世界は滅亡するというものなんだよ!!」
「どうやって滅ぶって書いてたのさ!!」
「なんか、あー、そうだ大王だ、大王に滅ぼされるんだよ」
「大王!強そうね!!」
「でもないろんな説があったんだよ、核戦争とか隕石とか天変地異とかな、あの漫画、夢中で読んでたっけ、懐かしいな」
週刊少年マガゾンのアレが的中しちまったよ、そういえば、おそめの一歩は面白かったな、久々に読みたくなっちまったよ。
「1999年に滅んでいませんよ、ノストラダムスは外れました」
「な、なんだって!!」
そんなセリフが自然に口からでてきた
「嘘だろ、あれだけテレビや映画や本でやってたのにハズすとか!完全に1999年に滅ぶ流れだっただろ!!」
ありえないわー、どんな気持ちで人類は2000年をむかえたんだろう。とくにあの漫画を企画した人達とかは・・・
「人類が滅んだのは西暦2299年です、それから201年たった現在は西暦2500年です」
「のすとらだむすさん予言ハズしちゃったんだー」
「いやピノ、三百年ほどズレただけだ、そもそも三百年なんて宇宙にとっては・・・」
それよりいま、010さんはなんて言った?
「今って西暦2500年なの?」
「ハイ現在西暦2500年07月31日です」
まさかの五百年後の世界だった・・・