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出会い 03



ひとつのお皿にデミグラスハンバーグ、スパゲッティ、オムライス、エビフライ、ポテトサラダ、プリン、そして旗などが並ぶ夢のようなメニュー、子供のみが食べることを許される究極の料理、それがお子様ランチである。


しかし8歳の女の子、輝空奈(てぃあな)はお子様ランチを見てなぜだか微妙な表情をしていた。


「どうしたの〜、お子様ランチ嫌いなのかな?」


これは輝空奈(てぃあな)の為にアンドロイドの新菜が注文したのだ


「わ〜い、すごーい、美味しそうー!」


お子様ランチ♪お子様ランチ♪私は子供、ワクワクだ〜♪


鼻歌を歌いながらスプーンを握りしめてお子様ランチを食べ始める輝空奈


「お子様ランチ・・・普通に美味そうなんですけど、じゅるり」


「そうねぇ、なんで子供限定品なのかしら?」


輝空奈がお子様ランチを食べるのを見て、ヨダレを垂らすピノにエレムミーネも同意する


この日、姫路駅前の飲食店で俺達は集まっていた、

三日前に目を覚ました幼女『輝空奈(てぃあな)』との顔合わせの為にだった。


「まあ、見ての通りだよ」


博士からはここに来るまでに詳しく話は聞いているので、その一言で何が言いたいのか分かる。


「元気そうでなによりですわ」


フーナは輝空奈を見て純粋に喜んでいた。


「不思議な事もあるもんじゃのう」


師匠は首を傾げている、

そうしてると


「あっ、きたきた」


エレムミーネの注文したステーキセット(松阪牛)六千円がやってきた。


「あんたはまた高いやつを頼んだのね、どこからそのお金がでてきてるのよ」


そういうピノの前には神戸牛のシャトーブリアン(二万円)が置かれている。


「どう見たってあなたの方が高いでしょうに」


「あたしはいいのよ、福太郎の相方なんだから」


どっちもどっちだ、昼前に食べるものじゃない。


「サンドイッチセットと焼きそばセットをお持ちしました」


フーナがサンドイッチで俺が焼きそばだ、エルフの店員さんが並べてくれる、ちなみに師匠は肉うどんを頼んでいた。


「わしは最近うどんやそばに嵌っておってな、和風というのか、出汁がな、奥の深い味わいがたまらんのよ」


箸を器用に使いズルズルとうどんを啜る師匠の姿はどんどん日本に染まっている感じがする、朝日あげにも嵌っているようだしな。


そんな俺達をジーーーっと輝空奈(てぃあな)が見ていた。


「どうしたのかな?輝空奈ちゃん」


松阪牛のステーキを食べてたエレムミーネが聞くと


「おばちゃんが食べてるお肉美味しそうだね」


「・・・」


エレムミーネは目をパチクリさせ周りを見渡してから


「エレムミーネお姉ちゃんですよ〜、輝空奈(てぃあな)ちゃん」


思いっきり優しく言ったが


「エレムミーネおばちゃん?」


輝空奈(てぃあな)は首をコテンと傾げながら答える。


目を点のようにさせて固まるエレムミーネは、生まれてこのかた『おばちゃん』などと呼ばれたことはないのだろう。


「ーーー!プーープププー」


笑いをこらえながらテーブルの上で腹を抱えて転げ回るピノを見てエレムミーネは死んだ魚の様な目になっていく。


「まあ、幼女から見たら大人は皆、オバサンとオッサンじゃろう、気にすることでもあるまい」


そうは言うが見た目が子供の師匠は、年齢不詳の化け物なのだがおばちゃんと呼ばれることはないだろうな。


「おば、おば!!ぷぷっーー」


とてもとても楽しそうなピノ、それを横目にしながら別に気にはしてないわという顔をエレムミーネはなんとかしていた。


そんなこんなで顔見せは終わり、俺、ピノ、エレムミーネ、フーナ、師匠、の5人はカプセルから出てきた幼女『輝空奈(てぃあな)』に名前を覚えてもらえた。



「それでは本題にはいりましょうか」


その場に居たアンドロイドの詩織が話し出す


「福太郎さん、輝空奈(てぃあな)はあなた達と一緒に暮らしてほしいと私達は考えています」


造られた存在であれ輝空奈は日本人であり、これからは姫路の街で普通に生活してほしいとアンドロイドさん達は決めたらしい。


「子供が生きるには家族が必要だからね、彼女の家族になってあげてほしいんだよ」


博士からは昨夜の電話でその事も俺は聞いていた


「もちろん何も問題ありませんわ」


フーナが誰よりも早く答える、それを見て輝空奈は微笑み


「フーナお姉ちゃん、一緒にケーキ食べようよ」


「ケーキ、いいですわよ、いっぱい食べますわよ!」


そう言いながらキャッキャとメニューを見るフーナと輝空奈を見たエレムミーネは、フーナはお姉ちゃんわたしはおばちゃん、とブツブツ言っている。


「決まりだね〜、フーナちゃんとこで住むのかな?」


まあ生活するならしっかりしているフーナやスターニャの居る家が最適であろう。


「お兄ちゃんは?福太郎お兄ちゃんも一緒なんだよね?」


輝空奈が俺をキラキラした目で見てきた


「いや、まあ、俺とピノはフーナ達とは一緒に住んでいないんだよ」


「えーー、てぃあなは福太郎お兄ちゃんと一緒がいい!」


「輝空奈は福太郎くんと一緒にいたいのかい?」


「うん!」


おーっとなんか面倒な・・


「それは素晴らしい考えですわ!」


フーナが喜ぶ


「お父さま輝空奈ちゃんもそう言っておられますし、いい機会ですわ一緒に住みましょう!」


こうなる


「お父さま?」


輝空奈が『?』と頭をコテンとさせる


「福太郎お兄ちゃんはわたくしフーナのお父さまなんですのよ輝空奈(てぃあな)ちゃん」


とても複雑な話になってくるであろう、幼女に聞かせてもいいものか分からない話題になりそうだが


「ああ、そういう・・・」


輝空奈は一言だけそう言うとまた微妙な顔をした、俺は輝空奈のその表情に何か引っかかるものを感じたが


「そうねぇ、そろそろ福太郎もわたしの家に帰ってくる頃合いかしらね」


エレムミーネがそう言うと


「帰るもなにも、福太郎はあんたらの家に住んでないでしょうが!勘違いしてんじゃないわよ!」


ピノがエレムミーネにくってかかる


「大丈夫よ部屋は沢山あるから、あなたにも部屋をあげるわよ大妖精さん、それとも庭の木の上でいいのかしら?」


「この、睡眠姦がーー」


「ブーーーーーッ」


2人の会話を聞いていた輝空奈が食べていたケーキを吹き出した


「輝空奈ちゃん大丈夫ですの!?」


輝空奈の口周りを拭いてあげるフーナ

そんな輝空奈は小さな声で睡眠姦、睡眠姦と笑いをこらえていた


「?」


そんな輝空奈を不思議そうに見る俺達の表情を感じたのか彼女はコホンと表情を整えて


「福太郎お兄ちゃん、てぃあなと一緒に居て」


そんな言葉を可愛いらしく言ってくる


「さてどうするんじゃ愛弟子よ」


ニヤニヤしながら緑茶を飲んでいる師匠に言われる、じーっと皆の目が俺に集中した。


正直に言うと俺は今の気ままな生活を気に入っているのだ、それとは別にこのままいつまでもホテル暮らしもどうかとは思っていたりもする


「どうすんのよ福太郎」


ピノがジト目で俺を見てきた


「お父さま」


フーナが期待のこもった目で見てくる


「そうだな・・・」


俺は前々から考えてはいたことを口にする


「そろそろ家を建てるか」


「へ?」


エレムミーネが変な声を出した、こいつの中では一緒に暮らすのは決定していたらしい


「前から考えていたんだ、俺の家を建てるぞ」


「あっ、それ良いわね!」


ピノが喜んだ


「お家を建てるの、てぃあなのお家?」


「そうだな、輝空奈も一緒に暮らす家だよ」


「お城よお城!こいつらより大っきな屋敷を建てるわよ!」


わーいお城だー!とかワイワイ言い出した俺達を見てエレムミーネとフーナは呆然としていた


「まあそれでも構わんじゃろ」


師匠は栗ようかんを食べながら言うと


「うむ、そういうことならさっそく建築担当者に連絡しておこう」


「良かったね〜輝空奈ちゃんのお家が建つよ〜」


「最高の家にしないと、そうですね私達の技術の全てを結集した最高の住宅を建てましょう」


アンドロイドさん達はすぐに行動を開始してくれる


男なら城を持ちたいものだ


でも住むなら普通の家でいいよ


周りから耐久度とかシェルターとかシステムがどうとか聞こえてくるが普通の家でいいんだよ


ということで家を建てることにしたのだった。





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