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マザー




「なんたることだ!誇り高きエルフが盗みとは!」


エルフの元国王シュレッター3世が吠えた。


「まあねー、遅かれ早かれこういうことが起こると思ってたわよ、モグモグ」


エレムミーネがカレーを食べながら言う


「犯罪を犯してしまったからには日本の、この世界の法律で裁かれるのですよね、当たり前ですけれども、モグモグ」


フーナは焼きそばを食べている。


エルフが強盗未遂をしたと聞いて姫路警察署に飛んできた元王族の3人、俺達がここの社員食堂で食事をしているところにやって来て一緒にご飯を食べている。


「ああ〜、どうなんのかしら、死刑とかはないよね・・」


ピノがアワアワとテーブルの上で狼狽えている


「未遂だからな、懲役が何年かだろうよ」


「懲役って、牢屋に入れられちゃうの?かわいそうじゃん!」


「仕方ないだろ、法律ではそうなってんだから」


「裁判とかは?」


そりゃー裁判とかあるだろうよ



「福ちゃん、裁判なんて時代遅れなものは無いから」


俺の隣でコーヒーを飲んでいた婦人警官(パチンカス)がそんなことを言い出した


「裁判なしでどうやって刑罰をきめるんだよ」


「刑罰は『マザー』が決める、人間が決めるよりも早くて正確で公平なんだよ」


「マザー?」


「人類救済ネットワークの主軸となる存在だよ、詳しくはWwikiで調べるといいさ」


説明するのが面倒なんだろな


ちなみに俺は後々マザーと深く関わることになるのだが、それはもっと未来の話になる・・・


「まあ、もうすぐ彼等の刑罰は決まるさ、おっと、言ってる端から呼び出しだよ、行こうか」


俺達はエルフの若者がいる取調室に向かった。




「お前達とんでもない事をしでかしたな・・」


3人組を見たシュレッター三世は憤慨する。


「国王様申し訳ありません・・」


「もう二度としません」


「許してください!」


「私はもう王ではない、ただの市民だ、お前達といっしょのな、ただこの一件はこれからのエルフ達にとって重要なことだ、お前達がどのような刑罰を受けるか、悪い意味で見本になるであろう、だからできれば厳しく罰してもらいたいものだと思っている」


シュレッター3世の言葉に肩を落とす3人組、他のエルフ達の為に見せしめになって欲しいということだ。


「あんた達がパチンコを打つのにお金を盗もうとするなんて考えたこともないわ、こんな事になるなんて思ってもなかったの、この件はあたしにも少しだけ問題がある、だから、」


ピノは寂しそうな表情で続ける


「もし死刑になったらちゃんと良い場所にお墓を作ってあげるから安心しなさいな」


し、死刑!死刑とかあるんですか!

とビビる若者達


「大丈夫よ、苦しまずに死ねるらしいから」


いやだ、死にたくない!

泣き出すエルフ3人組


「驚かすなよな、コンビニの強盗未遂で死刑にしていたらきりがないわ」





〘そのとおりだ、死刑ではないから安心しろ〙


聞いたことが無い声がした、それと同時に取調室の空気が張り詰めて緊張感が増す。


「マザーだ」


婦人警官(パチンカス)が呟く


〘エルフの若者よ、お前達に罰を与える〙


取調室にマザーの声が響く、スピーカーからか?いや違うな、どこから聞こえてくるんだ?

男とも女とも思えない不思議な声

この声には逆らえないという気持ちになる。



〘まずは懲役3ヶ月〙


懲役3ヶ月?3年じゃなくて?


〘そして支給金を半分に減らす、月々四万円だ〙


あ、これは痛いかも


〘ただし、アルバイトは認める、お金が欲しいのならば真面目に働け、以上だ〙



アマ〜〜イ、めちゃくちゃ甘くね?


「お前達聞こえたな?」


シュレッター3世がエルフ3人組に問う


「聞こえました!」


「もう二度と犯罪はやりません!」


「心を入れ替えます!」


3人組はホッとしたような顔をしている


「良かったわね極刑じゃなくてさ」


「ちょっと甘い気もしますが、まあ良かったですわね」




〘ただし、〙


まだ続きがあった


〘2回目はないと思う事だ、次にまた罪を犯せばこの星から追放する、永遠にだ〙


地球から追放?


「どこへ追放なんだ?」


俺は聞いてみる



〘地獄だ〙


シーンとする一同


〘許すのは一度だけ、夢夢忘れるな〙


そして部屋の中の緊張感が無くなった。


「地獄か、何処なんだろうな碌でもない場所なのは間違いないだろうな」


「あんた達、地獄行きは嫌でしょ、もう悪さをしたらだめだかんね!あの声はマジよ!次はマジで地獄に送られるわよ!」


ピノが3人組に言い聞かす

ガタガタと震えながら3人組は二度としませんと叫んでいた。


「で、福ちゃん、マザーはどうだったかな?」


「只者じゃないな、声に神気がのっていたからな」


「マザーはAIの進化の行き着いた先に生まれた産物だからね、人間さんが奇跡的に作り出した神とも言えるかもしれないかな」


「マザー、か」


こうしてエルフ族の最初の犯罪者の裁きが終わった。 





そしてパチンコに規制がかかった。

全てのパチンコ台のレートが1玉四円から1玉一円に下がったのだ、そう1パチの誕生である。


「物足りないけど仕方ないかな」


「パチンコが廃止されるよりはいいじゃん、物足りないけど・・」


1円パチンコになったことで投資する金額は四分の一になる、ローリスク、ローリターン、少い金額で長く遊べるとあってけっこうエルフ達は喜んでいた。


いや潰せよパチンコ屋、とパチンコに余り興味の無い人間は思うかもしれない、だけど必要としている人間もいるのである。


理解はできないが・・・


そして消費者金融が誕生するのも時間の問題かもしれない。




読んでくださりありがとうございます。

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