序章
10月上旬
今日はダムガンWで日本から西へと飛行テストという名の散歩をしている
今からサハラ砂漠の上空へとはいるところだ
「なんて広大な砂漠なんでしょう、地球の自然はスケールが違いますわ!」
今、操縦しているのは俺ではなくてフーナだ、俺は横にある補助シートに座っている。
「ここは有名な砂漠だから、もう少し速度をおとして見学するのもいいかもな」
俺は完全に観光気分で乗っていた
「地球って無駄に広いよねー、人口百億人以上いたっていうのも納得だわ」
ピノが俺の肩の上でポッキーを食べながら言った
「ひゃ、百億人、す、すごいですわね」
まあ今ではどこを見渡しても人の痕跡すら見当たらないんだけどな
『フーナ君、ダムガンの操縦感覚は大丈夫かね?』
モニター越しに博士が聞いてくる
「絶好調ですわ、わたくしの思いどおりに飛んでくれています」
『いいなぁ〜フーナだけ、わたしも行きたかったのに〜』
「あんたは大人しくダムガンのプラモデルでも作ってなさい」
「すまないな大人は2人しか乗れないんだよ」
『福太郎は大人じゃないでしょ?』
姫路で留守番をしているエレムミーネがずっと画面越しに話しかけてきてうるさいのだが、通信を切ると泣くのでやめておく。
『わしも行きたかったんじゃがな』
師匠はZダムガンの変形機構がイマイチらしくて改修中でお留守番だ。
少しするとフーナがダムガンWを停止させた。
「綺麗ですわ」
砂漠に沈んでいく太陽
カシュー
俺はコクピットの扉を開けた
砂漠の乾いた空気が入ってくる
「こういうのは自分の目で見ないとな」
「そうですわね」
「そうよね、生で見ないとねー」
モニター越しではなくて自分の目で見るサハラ砂漠の夕焼けの美しさは想像を超えていた、真っ赤に燃える太陽は砂漠をオレンジ色に染め上げていく、それは最高の夕日だった。
「とても綺麗ですわ、わたくしはこの光景を一生忘れません」
「サハラ砂漠まで来た甲斐があったな」
「でも、これずっと見てたら目が焼けちゃうわよ」
「目ではなくて心に焼き付けておきますわ」
俺たちは立ち上がって美しいサハラ砂漠の夕焼けに見とれていた。
その時、
ゾワッ!!
何か、ものすごく嫌な『おぞけ』が背中を駆け上がる
とっさに俺は二人をコクピットの奥へと突き飛ばした、それと同時に
ドガガガガーーーーーーーー
ダムガンWに何かが降り注いだ
凄まじい衝撃と共に機体が激しく揺られる
キャアッ!!
コクピットの奥から2人の悲鳴が聞こえたが俺はそれを確認できない、なぜなら衝撃でコクピットの外へと吹き飛ばされていたからだ。
「!?」
上空から黒い光の糸がダムガンWに降り注ぎ、機体は砂漠へと激しく叩きつけられていた、俺は砂の上で受け身をとり立ち上がる。
『福太郎くん大丈夫かね?』
博士が通信を入れてきた
「ええ、俺は平気です、2人は?」
砂漠の上で煙を上げているダムガンW
俺からは500メートルほど離れている。
『2人は無傷だ、だがダムガンWは大破して動けんよ』
「敵は?超高次元体は・・・」
俺は空を見上げたがソレらしいものはいない
『超高次元体は確認できていない、だが何者かの攻撃であることは間違いない、テレサ君が予備の機体でそちらへ飛ぶが1時間ほどかかる計算だ、それまで』
バシュッッッッッッッッッッーーーーー
黒い光の糸が生身の俺に向かって飛んできた
「なんて数だ!!」
四方八方から飛んでくる糸をかわしながら無限倉庫から武器を取り出す、プシュと小さな音と共にビームソードを両手に装備した、ビームの刃に魔力を纏わせると虹色に輝く。
バシ、バシ、バシ、バシ、バシシ
交わしきれない糸を弾き返す、スターウォ◯ズのようだなと思いながら、博士達と一緒に作った新しいビームソードの性能に満足する、コレでなければこの糸は弾き返せなかっただろう。
『福太郎、西よ!夕日の方角に敵!!』
ピノの通信を聞きその方向を見る
居た
夕日を背に黒い人の形をした何かがいる
「こいつか・・・」
俺がそれに気づいたからか、あれほど激しかった攻撃が止む
『全長3メートルほど、ダムガンにソレのデータはありませんわ』
やれやれ新しい敵ってわけか・・・
ユラユラと黒い人の形をしたソレの周りの空間が揺らいでいる、時空が歪んでいるのか?
〚■■■■、‡‰・∥⇔〛
何かが頭の中に響いてきたが、すぐに防御機能が働き脳を守ってくれた、すると
〔な、、る。、ほど、、な〕
ソレの真っ黒な顔に白い口の様なものが現れると、言葉を発した
〔こ、、ろ、、されたくナけれヴァ、、オトナシクしろ〕
「・・・大人しくしたら逃がしてくれるのかい?」
そいつの白い口が三日月のようになり笑う
〔コロさない、、下等セいぶつ、実験たいにつかうダケ〕
「敵、確定でいいんだな」
それを聞いたそいつはゆっくりと両手を横に広げると、ゆっくりと両手を前で合わせた、柏手のように
パシン
瞬間、俺は黒い空間に食われた。




