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ゲーム 02




それは異世界人が姫路へと移住してから間もないころの話。


「やっぱりパチンコは最高ね、ハンドルを捻るだけでこんなに楽しいんだから」


「ピノっちは流石だねえ、世の真理をわかってる」


そんな会話をしながら今日も2人で貸し切り状態なパチンコ店で2人の玉の音だけが響いていた。


「しかし残念なことに本官はとうぶんパチンコを打つ時間が減ってしまうんだよ」


「な、どういうことよ!」


「異世界人が来たからね、人が増えたら治安も悪くなるもの、警察官としてパトロールとかの時間が増えるのだよ」


「警察官・・・、あ、ああ、そういう設定だったわね、忘れてたわ、どうみてもフリーターのパチンカスにしか見えないから・・・」


「いちおう警官の制服を着ているんだが、見えない?」


その制服を着てパチンコを打つことに罪の意識はないのだろうか?ピノはふとそう思ったが


「サボったらいいじゃん」


「まあそうなんだけどね、ピノっちは姫様が怒ったらどれだけ怖いのか知らないから言えるんだよ、とっ、キタ!!」


先バレの音がイトオの台から聞こえる、


「それ激アツじゃない?セリフが金色だし!」


しかし結局外して今日のパチンコは終了したのだ。



そして次の日の昼、福太郎が昼寝をしている間にピノはパチンコを打ちに来ていた。


ジャラ、ジャラ


客はピノ1人だ、1人分の玉を打つ音が静かな店内に響く


「なんか、あれね・・・」


気が乗らなくなったピノは打つのを止めようとした


ウイイーーン


パチンコ店の自動ドアが開く音がする


「うお、なんだこの店?」


「お店?かなー」


「この機械ってなんだろう」


エルフの若者が3人入ってきた


「これはパチンコよ」


「あっ、ピノさんこんにちはです、今日は勇者様は?」


「福太郎なら寝てるわ」


そうなんですか、若者達と会話しながら残りの玉を打っていると、それを見ていた1人が


「これ、僕達もできますか?」


「できるわよ、横に座りなさいな」


ピノは自分の横の台にその若者を座らせた、残りの2人は後ろで立って観ている


「まずはお金をそこに入れなさい、千円でいいわ、それでその貸し出しのボタンを押しなさい」


若者が千円を台に入れボタンを押すと上皿に玉がジャラジャラと出てくる、おお~~っとエルフの若者達は声を上げた。


「次はハンドルを持って、そうそれよ、こうやって捻ると玉が出るから、左のこの辺を狙いなさい、そうそこよ」


若者が玉を打ち出すとその玉がヘソへ入る


「なんか動いてるぞ!」


液晶を見て騒ぐエルフの若者


「数字が動いてるでしょ、それが横かナナメに同じ数字が揃うと当たりよ」


「はあ・・・」


若者は余り分かってないようだ、


(まあ、エルフ達には難しかったかもね、パチンコというハイエンドな遊びを理解するのは・・)


千円打ったらすぐやめるでしょ、そう思いながら自分の残り玉を消化させていく。


ビギナーズラックという言葉をピノは知らなかった



ブヒューーーン!!!!


大きな音と共にエルフの若者の台のバイブが激しく震える。


「えっ?なに?なに?」


「すげえ音なったぞお前!」


「あんた激アツよそれ!!」


エルフの若者の台に四人の目がくぎ付けになる、ピコーン、ガガガガガッ、ブルブルブルブル、さっきまで静かだった台が嘘のように暴れる!


「どうなってるんだこれ!」


「慌てないで、もうすぐだから、今よ!レバーを引きなさい!!」


液晶にレバーを引けと大きく出てくる、エルフの若者はレバーを引いた!


ドヒオーーーーーン!


大きな音と共に役物が派手に動きまわる

呆然とするエルフの若者にピノは


「おめでとう、やるじゃない」


と笑いながら右打ちを教えてやる


「す、すげえ・・」


右打ちを始めた若者はジャラジャラと大量に出てくる銀の玉を見て興奮している。


「その玉は1つ4円で交換してくれるからね、今1000発ほど出したから4千円ほどになるわよ」


「これが4千円になるんですか?」


後ろで観ていた若者が驚く


「そうよ、しかもまだ終わっていないわ、さあ右打ちを続けなさいな」


それからピノは若者達に親切に教えてやる、若者のその台は大当たりを連発して最終的には5万発を超えた。


「こんなになるなんて!」


換金すると二十万円をこえた、千円が二十万円に化けた瞬間である。


「これがパチンコよ、まあまた来なさいな」


「絶対に来ます!」



コレが始まりだった

次の日、若者達はやって来た、人数が増えて5人だった。


「そうねえ、始めてなら甘デジかな」


ピノは彼らを甘デジに連れていく、昨日の台は大当たり確率が1/399の確率だったが今日のは1/99である、当たりやすいのだ。


「うわーこれどうすんの」


「当たった、当たった!」


「今のが外れるのか、えっ、なんか当たってる?」


「お前も当たってんの?クソ俺だけかよ」


「可愛いなー、この子」


思ってたよりも盛り上がった。

そして次の日からは更に人が増える、友人、兄弟、親、恋人、知り合いなど人が人を呼んだ。


そしていつの間にかパチンコはエルフの最大の娯楽になっていったのである。



「すごいじゃないかピノっち!まさかこんな光景が見られるなんて本官は思わなかったよ!」


「あんたが仕事をしてたから、あたしも少し仕事をしてやったのよ」



2人は眩しそうに満員御礼状態のホールを見て笑いあうのであった。



めでたし、めでたし。







全然めでたくなんてねえよ!


何してんの?エルフなんてノンビリして刺激の少い生き方をしてきた人種にパチンコを教えるなんてさ!!


「いやあ、あの時を思い出すと胸が熱くなるねえ」


「歴史を作っちゃったかしらあたし」


楽しそうに語りあうパチンカスとバカ妖精


俺はホールをまた見渡した、この異常な光景を見て頭が痛くなってくる。


「フーナ、頼むからエレムミーネにはパチンコをさせないでくれよ」


「わかってますわ、お母さまは絶対にのめり込みますわ、危ないですわ・・・」



これはもうどうしようもない、なるようにしかならないな、とりあえずは比較的に話がわかる博士やトワにこのことで話をしないと駄目だろう。


ピコーン、バキューンなど派手な音と軽快な音楽がホールに熱気をもたらしている、その日も店は閉店まで騒がしかった。


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