告白 03
「睡眠姦とはうまい表現じゃのう!はははっ」
師匠は笑ってるがエレムミーネは、睡眠姦、睡眠姦、とつぶやきながら白目をむいている。
「わ、笑いごとじゃないでしょ、勝手に自分の子供を作られてた福太郎の気持ちがわからないの!!」
そう言われて皆さんの視線が俺のほうへと集まる。
「俺か?」
わからん、正直いってわからんのだ
だって全然覚えがないのに自分の血をひく自分より年上の娘がいた、という有り得ない状況、非現実すぎて
「俺の気持ちとか、俺が1番わからないんだが?」
いまさらどうしろというのか?
「福太郎!しっかりしなさいな!!」
「そういわれてもな」
「ショックじゃないの!!」
そりゃショックさ、子作りというメインイベントが記憶にないんだから、今度は意識がある時にお願いします、と口に出さなかった事を褒めてほしいもんだよ。
「ピノさん・・・ごめんなさいですわ」
フーナがピノに謝った
「ううっ、あ、あなたが謝ることじゃないでしょ!フーナはなにも悪くないのよ!」
しょぼんとするフーナを見てピノが慌てる、最初からピノはフーナに甘いところがあるな
またシーンとする食卓
そんな空気に耐えられなかったのか
「あ、あほーーーーっ!アホアホ!!みんなアホばっかりだよ!フーナ以外はみんな馬鹿たれよーーー!!!!うわ〜〜〜〜ん!!」
ピノが飛んでいく
「どこいくんだピノ!」
「パチンコよ!!あほたれーー!!!」
パリーンと窓を割って外に飛んでいったピノ
「やれやれ、蚊が入ってくるじゃろうが」
そう言いながら復元魔法で割れた窓を直す師匠。
「あの福太郎様、フーナとお姉さまのことなのですが許してもらえませんか」
スターニャがそう言ってくるが、そもそも俺は怒ってもいないし、混乱もしていないのだ
「福太郎・・・」
上目遣いでもじもじと俺を見てくるエレムミーネ
「まあ、なんだ、えーと、悪かったな、知らなかったとはいえフーナの子育てとか手伝わなくて」
我ながら何を言ってるのか?でも仕方ないだろ、こんな時に気の利いたことなど俺には言えないよ、心はまだ童貞なのだから
「そ、それはわたしが勝手に作って産んだことだし、福太郎は悪くないわ」
聞きかたによっては女に最低なことを言わせている男みたいなことを言うエレムミーネ
「そうですよフーナは城の人達が面倒をみてくれてましたから、お姉さまは楽をしてましたよ」
「思い出すのう、わしが夜泣きをするフーナをあやしてやった時に、イビキをかきながら呑気に寝ているエレムミーネの姿をな」
「わ、わたしだって疲れてたんですよ」
ワイワイと昔話をするみんなを見てると、なるほど家族なんだと納得する。
「さてと、俺はちょっと行ってきます」
相棒をほっておけないからな
「わたくしも行きますわ」
フーナも立ち上がる
「ピノさんとちゃんとお話しをしたいんです」
良い子じゃないか、俺の娘は
「わしらは今日はもう会わんほうがいいじゃろ、今の大妖精殿の機嫌を治せるのは福太郎とフーナだけじゃろうからな」
師匠は着いてこようとするエレムミーネとスターニャにそう言った。
「・・・テレサさまの言うとおりね、フーナお願いね、わたしのこと悪く言ってもいいから」
「分かりましたわ、お母さまのことはボロクソに言っておきますから安心してくださいまし」
いや、ボロクソとまでは言ってないんだけど、と焦っているエレムミーネを見てフーナはクスッと笑うと
「行きましょう、ピノさんの所に」
「そうだな行くか」
玄関で靴を履き外へ出ると少し日が傾くのが早くなってきたのを感じた、もうすぐ秋だな。
「それでお父さま、これからどこに行くんですの」
「駅前のパチンコ屋だ」
これから娘と駅前のパチンコ屋に行くことになった俺、娘と一緒に行ったらいけない場所の代表格なんじゃないのか?
「ほんとアホだよな〜」
「どうかしましたかお父さま?」
自然とお父さま呼ばわりされていることといい、状況の変化に少しついていけそうに無くなりそうになるんだが、まあ、とりあえずは娘とパチンコ屋さんに歩いていくのであった。




