告白 01
姫路城の西側にある住宅街にエレムミーネ達の家があった
「これは立派な・・」
「いい家をもらったわねー」
庭付き2階建ての大きい家は、反社会的な人の親分とかが住んでそうなぐらい立派な建物だった。
「こんな家が無料で貰えるなんて、ローン組んで必死にお金を払っていた昔の日本人に謝ってほしいな」
「苦労してたのね、昔の日本人は・・・」
そんな事を言いながら、これまた立派な門に付いてあるインターホンのボタンを押した。
『あっ来たのね、カギ開いてるから入ってきて』
高そうな扉を開け玄関に入る、これまた反社会・・・広くて豪華な玄関だ
「いらっしゃいませ福太郎様、ピノさん」
出迎えてくれたのはスターニャである
「すまない、ちょっと遅れた」
「お土産選びに夢中になっちゃってねー」
俺は持っていた紙袋をスターニャに渡す
「ありがとうございます、これはー」
「朝日あげ、だ」
「朝日あげ、ですか?」
「美味しいよ」
ピノの美味しいという言葉で食べ物だと悟ったスターニャは、あとで皆んなで食べますね、と笑った。
そしてスターニャにダイニングルームへと案内される。
「凄いな、金持ちの家の食堂じゃないか」
「ほんとにタダで貰ったのこの家?甘くないって言ってたけどアレって嘘もいいとこよ」
いやはや異世界から来た移住者にこんなのをポンポンやるなんてアンドロイドさんの感覚が益々わからなくなる。
「いらっしゃい2人とも、いま料理を運んでるから好きなところに座ってて」
「皆さんお飲み物は何にいたしましょうか?」
エレムミーネとフーナがテーブルに料理を並べていた
「愛弟子よ、こっちに座るといい」
「師匠も来てたんですか」
椅子に座ってタブレットを弄っていた師匠が俺を横に座らせた。
「うむ、呼ばれたからのう、なにやらありそうな気配がするしな」
「なにがあるんですかねー」
「わからん」
師匠はニヤリと笑うとワシはビールにしてくれ、とフーナに言う、じゃあ俺はウーロン茶で、ピノはオレンジジュースを頼んだ。
そして始まったお食事会、テーブルの上には豪華な料理
「これ全部冷凍食品なのか?」
「そうよ、わたしが食べてきた冷凍食品の数々の中でも美味しかったのを厳選して温めたのよ」
「手抜きじゃん」
「手料理よりも美味しいんだから仕方ないじゃない」
たしかにすげえ美味いんだなコレが、微かな記憶にある昭和の冷凍食品とは比べ物にならない気がする。
「唐揚げがねー、ゴクゴク、プハァー、美味しいのよ〜」
唐揚げをビールで流し込むエレムミーネを見てなにか違和感が・・・なんだろ?
「福太郎様、お姉さまを見てなにか気づきませんか?」
そんな俺にスターニャーが問うてきた
うーん、俺はエレムミーネをジーーッと見てみた。
「やだ、そんなに見つめないで」
と顔を赤くしてモジモジするエレムミーネ
「よ〜く見てください福太郎様」
そして、俺は気づく
「まさか・・・!」
「あ、あたしも気づいちゃったかも!ププーーッ」
「えっ、な、なによ、なに笑ってるのよメスガキ妖精ー」
これは言っていいものなのか?
「いいんです、福太郎様の口から伝えてやってください」
「り、輪郭が」
「エレ、あんた太ったのよ!まさかこんな近くにいる友達が、ぶ、豚〜〜に〜〜豚エルフに〜〜ぷひゃーーひゃひゃ」
腹を抱えて笑い転げるメスガキ妖精さん
「ウソよ!太ってなんかないわ!エルフが太るなんて!」
「いや、まだそこまでじゃないから・・」
「いえ福太郎さん、お姉さまは朝昼晩の3食冷凍食品が美味しいからとバカ食いして、ビールが美味しいとカバみたいに飲みまくり、寝る前にコンビニスイーツを食べて、特に最近はお餅とアンコにはまってるんですよ!そして更にはハンバーガーにピザまで!」
「嘆かわしいの〜、かっての世界三大美女がこうなっては終わりじゃわい」
「ふ、太ってないわよねフーナ!」
「いえ、前々からふんわりとはしてきたな、と、で、でもまだ手遅れではありませんわ」
「そんな、馬鹿な・・・」
顔を青ざめたエレムミーネは持っていた箸をおとす。
「た、体重計にでも乗ってきたら〜〜プププ」
キッとピノを睨みつけてどこかに行ってしまったエレムミーネはすぐにギャーーーっと悲鳴をあげる。
「何キロだったか聞いてみよっか?」
「やめとけ、ダイエットには妖精の素揚げがいいとか言われるぞ」
「あたしは漢方薬の材料じゃないし」
俺達に何か重要なことを話す前に要らないダメージをうけてたエレムミーネ、はたしてどうなるのだろうか?




