日常 03
場所は港の大きな埋め立て地
「ぐふふふ、た、大漁ですなぁ〜」
夕方、異世界からゲートを通って帰ってくる運搬車両を見て、ヨダレでも垂らさんばかりに喜んでいる教授。
「これはまた、今日も大盛りじゃのう」
ゲートを開けた師匠が感心する。
「AIもコツを掴んだようだからね」
異世界アストランタンと姫路とのゲートはまだ繋げられる状態で、朝と夕方に短時間だけゲートを起動させて行来している、目的は異世界の資源集めだ。
「うほおーっ、心臓石を満載して帰ってきたよ!」
無人で動いている運搬車両の荷台には心臓石が山盛りで積まれていた、それを見てピノが興奮してる、異世界で心臓石があんなにあったら立派な城が建つぞ。
「それだけ海の魔物の死体が多いってことだろ」
「そのとおりだよ、山ほど海の魔物の死骸があるからね、心臓石をひらいたい放題さ、無いのは時間だけだよ」
「アストランタンの半分は消えちゃったからねぇ」
「ああ、残りの半分もいつ消滅してもおかしくはない状態さ、人はもうアストランタンには行けない」
無人の機械達が異世界の資源を集めてきてくれる、酸素すらろくに無いアストランタンではもう人間は活動できないからロボット達が代わりに仕事をしてくれているのだ。
そしてそれはアストランタンが消えるその時まで続く
「これで最後だな」
約半時間ほどで運搬作業は終わった。
「フーナのことか?もちろん全部知っておるぞ」
もぐもぐと炒飯を食べながら師匠が答えてくれた、俺達は餃子の王将で晩御飯を食べている。
「教えてもらうことは・・・」
「フーナのことはエレムミーネが愛弟子に言うのが道理じゃからな、あやつの口から聞け」
「聞くつもりなんだけどさ、逃げちゃうのよ、あの娘」
「バカじゃのう、そんなに大袈裟なことでもなかろうに、まあ、じゃが、あやつにとっては違うのじゃろうな、うん、美味いのう」
師匠は味噌ラーメンのスープを飲み、餃子を頬張り、さらに炒飯を一口、それをスープで流し込む、気持ちのいいほどの食べっぷりである。
「沢山食べても大きくなりませんよ師匠」
「腹は大きくなるじゃろ?」
「太るの間違いじゃないの?」
3人で食事を終えると師匠は、もうひと仕事してくるわい、とタクシーで博士のところへ行ってしまった。
日が暮れたので俺達はホテルへと帰ろうと思ったら
「もう帰っちゃうの?1日の始まりはこれからなのにさ」
俺達の前に1人のアンドロイドさんが立っていた
「?」
始めて見るアンドロイドさんだ、何故か女子高生の制服のようなものを着ている、ギャルっぽいな
「始めましてだねえ、お初どす、うちは『新菜』っていうんだけど会ったことある?ないよね、そうだよね、よろしくね〜」
そう言いながら握手をしてくる
「なになに〜、ホテルに帰っちゃうの?それってうちのこと誘ってる〜、いいよ〜、ホテル行っちゃおう〜」
いきなり現れてホテルに付いてこようとする女子高生アンドロイドさん
「ちょい待ちなさいな!あんたなんで初対面でそんなに馴れ馴れしいのよ、それになんでホテルに着いてくるつもりなのよ!」
「あー、生ピノだ〜、お初どす〜、新菜です、ピノちゃんはかわいいね〜、ちょっと摘んでもいいかな〜?」
「摘むって、あんたちょっと頭の回路おかしくない?!」
ピノが新菜と会話にならない会話をしてる
「あたし達はもうホテルで休むんだから、用があるなら明日にしなさいよね」
「ええ〜、遺伝子もらうなら〜夜のほうがいいっしょ?」
そう言いながら右手でソーセージを握るような仕草をして上下に動かす新菜。
「い、遺伝子?その手の動きやめなさい!へ、変態アンドロイド!!」
するとガ~ンというようなショックを受ける新菜
「うちはビッチじゃないのに〜〜」
「いや、ビッチとは言ってないけど」
「じゃあ、福太郎っちの遺伝子くれる?」
また右手をソーセージにする新菜
「やめなさい」
「ウキャキャキャーーーッ」
いきなり新菜が奇声と共に身体を硬直させて倒れ込む
よく見ると新菜の後ろにもう一人制服を着たアンドロイドさんが立っていた、右手にはスタンガンのようなものを握っていらっしゃる
「始めまして福太郎さん、私はMAN-QX-002 詩織です、こっちのはMAN-QX-001 新菜といいます」
この詩織というアンドロイドさんは黒髪ロングの清楚系アンドロイドさんなのだが、さっきから倒れ込んでいる新菜を足でゲシゲシと軽く蹴っている
「福太郎さんとピノさんには初対面なのに大変失礼なことをしました、ということでこの新菜は廃棄処分してもよろしいでしょうか?」
ニッコリと恐ろしいことをいう詩織
「いや、そこまでされるほどのことはされてないから」
「う、うん、ちょっと冗談を言ってたのよねえ、廃棄処分とかやめてあげて、ね?」
「お優しいのですね、わかりました廃棄処分は止めておきます、起きなさい新菜ちゃん、帰りますよ」
そう言ってまた軽く蹴る詩織、やめてあげて可哀想になっちゃうから
「ううっ、酷いよ詩織ちゃん、スタンガンの電圧が狂ってるよ・・・」
「しぶといですね、流石最新式です」
ヨロヨロと立ち上がる新菜、大丈夫なのか?
それでは日を改めて会いに来ます、と2人は去っていった
「ねえ福太郎、アンドロイドさん達ってさー」
「言わなくてもわかる」
また変な個性を持ったのが接触してきた、何度も思うがどういうプログラムで作られているのか?
「こんど博士に聞いてみるか」
「それがいいと思うわー」
とりあえず帰って寝よう
俺達は住み慣れた駅前のホテルに帰っていくのであった。




