日常 02
同じ家で住もうと言ってきたエレムミーネ、もちろんピノが許すわけもない
「一緒に暮らすわけないでしょーが、さあ博士のとこ行きましょ福太郎」
「あなたが決めることではないでしょうピノ、福太郎が決めることなんだけど」
「あたしが決めたことは福太郎の意思なのよ!」
「いや違うけど?う〜んエレムミーネと一緒の家で暮らすか・・・」
「悩む必要ないでしょ福太郎!」
「そうよ悩む必要なんてないわよね?きっと楽しいわよ」
「いやらしい!!」
絶対にメリットとデメリットがある、メリットは可愛い女の子達とひとつ屋根の下で暮らせること、デメリットは自由が無くなること。
この際ひとつ気になっている事を聞いてみるか
「ずっと気になっている事があるんだが」
「なあに?」
「フーナの事だよ」
エレムミーネの目がフーナの名前が出たとたんに泳ぐ
「フーナはいったい何者なんだ?」
「・・・わたしの弟子よ」
「あんたの弟子っていうのは嘘じゃないよねー、でもさー、エルフって絶対王政でしょ、まあ、あんた達はそんなに厳しくないけどさー、それにしては近すぎるのよフーナとあんたら王族の距離がさ」
「仲がとても良いのよ」
「黒髪のエルフっていうのは偶然か?」
エルフで黒い髪はとても珍しい、ほとんど金髪、銀髪、ときどき黒髪も居ることには居るがすこし色が薄めなのだ、しかしフーナの髪は黒い、真っ黒なのだ。
「あんたさー、いや、あんた達さー、絶対なんか隠してるでしょ?」
「話してみろよ、ちゃんと聞いてやるから」
「あ・あうあ・~~」
俺とピノが問い詰めていくとエレムミーネは目をグルグルさせてうろたえる、そして
「いけない忘れてた!わたしお昼ごはん用意しなきゃだわ」
とか言いながらガタンと立ち上がる
「神戸牛のすき焼き風えきそばを食べたでしょーに」
「フーナとスターニャの分よ!あの子達きっとお腹空かせてるわ!!」
「料理できたっけあんた」
「レンちんよ!じゃあね福太郎、その話はまた今度ゆっくりとしましょう」
シュタっと手を挙げながらエレムミーネは立ち去っていった
「レンちん、って冷凍食品じゃんか、おいしいけどさ」
結局逃げたか、フーナの事情はエレの周りの奴らが知ってるようなので聞いたら教えてくれるのだろうが、前にフーナが俺と2人で話しをしたいと言ってたしな、そのうちにわかるだろう。
チン!
レンジでチンと三十秒
こんなに早くて簡単に美味しい料理が食べられるなんて、日本恐るべし・・・・
「外で食べてきたのにまだ食べるのですか?太りますよお姉さま」
「冷凍食品は別腹よ」
「それはデザートで使うセリフですわね」
家に帰ってきてからスターニャとわたしとフーナの三人で昼食を食べる、冷凍食品は良い!これさえあれば生きていける、冷凍食品は最強なのだ、あとカップ麺も最強。
「で、お姉さまは逃げ帰ってきたと」
「逃げてないわ、先送りにしただけよ」
「めちゃくちゃ逃げてますわね」
三人で冷凍食品を食べながら、さっきあった事を話す
「最初に失敗しましたね、再開して話す機会なんていくらでもあったハズです」
「『わたしがちゃんと話すから、みんなは何も言わないでね』なんて、わたくし達も口留めされたので黙っていたのですが、失敗しましたわ・・・」
「話すつもりだったの!でも移住の事とか超高次元体とかあったし、タイミングが合わなかっただけよ」
『はあ・・・』
フーナとスターニャは二人揃って溜息をついた
「もうわたくしが福太郎さんとお話をさせていただきますけど、よろしくって?」
「だ、駄目よ、あなたにそんな話をさせる訳にはいかないわ!」
「その通りですよフーナ、これはお姉さまが福太郎さまに言わないといけないことです」
スターニャがエレムミーネを睨みながら言った
「わかりましたわ、スターニャおばさま」
「スターニャさんでしょ?おばさまは付けないで、年寄くさいから」
「ごめんなさい」
「立場的におばさまでしょうに、スターニャおばさんでいいのよフーナ」
「わたしがおばさんなら、お姉さまもオバサンですけれど?」
「お二人とも今何歳でしたかしら?」
シーン
途端に黙る二人
フーナは思う、わたくしの周りにいる人達はみんな良い人ばかりだと、お祖父さんも叔母様もお母さんも、城にいた人達も、学生の頃の友達もみんなフーナに良くしてくれた、だから思うのだ
(早くお父様とも仲良くなりたい) と
そんなフーナを見てエレムミーネは
「今度この家に福太郎を呼んで食事会をしましょう、その時に全部話すから!」
「絶対ですよ、お姉さま・・」
「期待しなさい!」
自信満々に言うエレムミーネの頬に、タラーっと汗が一筋たれるのを見てフーナは、あまり期待できそうにもないですわね、という言葉が喉まで出かかったがなんとか言わずに飲み込んだのであった。




