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日常





真夏の暑さも大分落ち着き

秋の気配が微かにする9月の中頃

異世界から来た人達が姫路に住みだしてから1週間ほど経過していた、最初は戸惑っていた人達も日本の文化に慣れ始めたのはアンドロイドさんのサポートが大きかったからだろう。


「なんか皆んな馴染んできたな」


「服装も変わったよね〜」


商店街をピノと歩いていると、ブラブラと商店街を歩くエルフ達を見る、けっこう違和感が無く日本の街に溶け込む外国人のようだ。


それよりも、


「ピノ先輩、おはようございます!」


「こんにちはです、ピノ先輩!」


「最近調子良いって聞きますよ!ピノ先輩」


「ピノ先輩は神」


こんなふうに時々ピノに声をかけてくる人達がいるのが気になる


「なに?先輩って」


「あ〜、あいつらが勝手にあたしのこと先輩って呼んでるのよ、でもわかるわ〜、だってあたしって日本マスターじゃん、もうこの国のお偉いさんのような〜、そんな感じ」


意味が分からないが


「ピノお前、なにかやってる?」


「うーん、あいつらってド田舎者じゃん、こんな都会に来て何をすればいいのか分からないでしょ、だから少し楽しく過ごせるようにアドバイスしてやってんのよ〜」


「なんで上から目線なのお前」


「けっこう感謝されてんのよあたし」


「で、どんなアドバイスしてんの?」


「日本での遊び方よ、ゲームとか教えてあげてんの」


「ほう、ゲームか、確かにゲームとかあっちには無いからなー」


俺もファミコンで始めて遊んだ時の衝撃は凄まじいものだったからな、テレビすら無い世界から来た者にとってゲームのカルチャーショックはどれほどのものか見てみたいものだ


「俺もみんながゲームしている所を見たいな」


「そう?別にいいけど」


この時、もっとちゃんとゲームについて聞いておけばよかったと後悔することになろうとは、この時は思ってなかった・・・・



さて、姫路には駅そばという名物がある

俺は駅そばが大好きなので今日も食べるのだが


「お前それ4千円するやつだろ?」


「そうよ、凄く美味しいのよ、わたしハマっちゃった」


駅そばといえば天ぷらだろうに、エレムミーネは躊躇することなく神戸牛すき焼き風駅そばを頼みやがった。

俺とピノはワンコインの天ぷら駅そばなのに隣で高いやつを1人で食らうとは、


「あたしらがフニャフニャの天ぷら食べてるのに、あんたは1人で神戸牛とか頭おかしいの?」


「別に普通よ」


俺達が先にこの店で天ぷら駅そばを食べてたら、後から来たエレムミーネが神戸牛駅そばを注文したのがピノは気に入らないらしい


「月に八万円しか入ってこないクセに、駅そば一杯4千円なんて、あ〜あ、やっぱりお姫様には庶民の暮らしなんて難しかったのかしらね〜」


「福太郎、肉1枚あげるね」


皮肉を言うピノを無視して俺の丼に神戸牛を1枚入れてくるエレムミーネ、あたしにもよこしなさいよ!と言うピノにネギをプレゼント。


「ところでさ、福太郎ってまだホテル暮らしなんでしょ、そろそろちゃんとした住処を手に入れる気ないの?」


「ホテルは便利なんだよ、駅前だから」


「だよね、駅前ちょー便利」


俺とピノは未だに駅前のホテルで暮している、当然アンドロイドさんから、福太郎さんには豪邸を建てて差し上げられますが、なんて言われてはいるけど気がのらないのだ。


「わたしって今、フーナとスターニャで3人暮らししてるんだけどね、家が大きいのよ、部屋とか余っちゃってさー」


「へー、部屋余ってるんだったら父親(エルフの元王様)にでもあげたらいいだろ?」


「あー駄目駄目、お父様は良い仲の女性が居てね、その人と暮らし始めたのよ」


エルフの王様は地球に来てから一般市民として生活を始めた、姫路では貴族制度は廃止されている。


「師匠とか居るだろ?」


「テレサ様はなんか博士や教授達と住み込みで色々やってるからね、今のところ家とか興味ないみたいなのよ」


姫路に来てから師匠は博士達と研究とかやってるようなんだよ、日本の科学に興味津々な師匠と異世界の素材や魔法に興味津々な博士達の相性はバツグンらしい。


「新型ダムガンを観に行ったら絶対居るからな師匠、今日もコレ食ったら行くし」


「今日は飛行テストだよね!楽しみすぎる!」


「あー、ダムガンか・・・」


エレムミーネにはあまりダムガンの良さが伝わっていないみたいだ


「ダムガンの良さが分からないなんて可哀想な子」


「いや、ちゃんと観てるわよ、ファーストからね、ダムガンはカッコイイとは思うけど内容が暗いのよ、戦争やってるからだろうけど、うーん、ていうかなんでダムガンに乗ってるのがみんな少年なの?」


「福太郎だってダムガン乗ってるけど少年じゃんか」


「見た目はね、中身オッサンでしょ」


見た目は中学生、中身は30歳、でもね君達、30歳はまだオッサンじゃないと思うよ、たぶん


「そろそろ大人に戻りなさいな福太郎、いつまで少年のままなの?」


「なんか聞き方によっては酷い言われ方なんだけど」


「いいじゃんこのままで、オッサンにはいつでもなれるでしょーが」


そんな他愛のない話をしながら駅そばを食べ終わる


「さてと博士とこ行くか」


「あ、ちょっと待って!」


エレムミーネが呼び止めてきた

そしてなんだかモジモジしながら


「あのね福太郎、提案があるのよ」


「なんだ?」


「ほら、わたしの家って部屋が余ってるでしょ」


「らしいな」


俺は水を飲みながら話を聞く


「だからね、部屋が余ってるのよ」


「物置部屋にでもしたら?」


「物置は別に買うわよ、わからない?」


何が言いたいんだこいつは、ふと横を見るとピノが白けた目でエレムミーネを見てるな、するとエレムミーネが顔を少し赤くしながら、



「ねえ福太郎、まだ家が決まってないなら、わたし達と一緒に暮らさない?」



とか言ってきた。




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