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さようなら異世界 07




「福やん、おかえり〜」


ゲートのある大広場に帰って来た俺をアンドロイドのナナが出迎えてくれる、あれ?先に日本に帰ってたんじゃないの?


「向こうの準備が整ったから報告に来たんや、それよりも」


ナナが俺を抱きしめた


「うん、うん、うちの胸で癒してあげるな〜」


そんなことを言うナナを博士がポカンと殴る

もしかして、


「見てました?」


「いや、心配でね、悪気があったんじゃないんだ」


打ち上げた衛星で俺達を観てたんだろう

恥ずかしいけどそれを悟られないように


「別にかまいませんよ」


「いや、ほんとうにすまない」


博士が申し訳なさそうに謝る

ナナはピノに説教をされていた



「まだ3時間も経ってないが姫路の準備が終わったんでね、移住を開始することにしたんだよ、私達と一緒に帰ろう福太郎くん」


博士の言葉に俺はうなずく


「おまたせ、わたし達も一緒にいくから」


そう言いながらやって来たのは、エレムミーネ、フーナ、ワンコ、タマコの四人だった


「わたしは地球側のゲートの調子を見てなくちゃいけないから1番最初に行くことになったのよ、テレサ様達はこっちのゲートを監視する必要があるから最後だけどね」


「うちらもエレのおかげで最初に行けるにゃー」


「待たなくていいのはありがたいわねえ」


大広場に沢山の人達が集まっていた、エルフの役人達が人々を整理していく端から行列ができる


「時間がないんです、早く行きましょう福太郎さん」


フーナの言う通りこんなに大勢の人達が待っているんだからもたもたしてはいられない、俺達は沢山の人達に見られながらゲートをくぐった


ゲートをくぐり大手前公園に帰ってくると懐かしい地元の匂いがする、やっぱり姫路はいい、ホッとしていると


「フワァー、やっぱり故郷はいいわぁ〜、落ち着くわ〜」


「何言ってるにゃ?おみゃーの故郷じゃないにゃろ」


こいつ頭大丈夫か?とタマコはピノを見る

まあピノはもう日本の戸籍を取得しているからな



大手前公園には大きなテントや沢山の椅子、そしてアンドロイドさん達が大勢待っていた、ゲートの側で待っていたスーツを着た男性のアンドロイドさんがタマコとワンコに1番と2番の数字が書かれた札を渡す


「コレはなんだにゃ?」


「受付の番号札です、番号を呼ばれたら向こうのカウンターに行ってください」


大きなテントの下には市役所並の設備が用意されてる


『1番の番号札の方ー』『2番の番号札の方ー』


「おっ、呼ばれてるぞ」


「行ってくるにゃー」


「お姉さんも行ってくるわね」


タマコとワンコはアンドロイドの役員さんに案内されていく


「あんた達は行かなくていいの?」


「わたし達はこっちに居た時に戸籍は貰ってるのよ」


エレムミーネとフーナはもう戸籍を持っているらしい

そうやってるとエルフの人達が次々とゲートをくぐって姫路にやって来る、来た人達は番号札を貰って待機所の椅子に座っていく


「福太郎ー、いいのもらったにゃ〜」


「お姉さんももらったわよー」


5分ほどでタマコとワンコが帰ってきた

2人は手にクレジットカードぐらいの大きさのカードを持っていた


「見てるにゃ、ここを押すと、ほりゃ」


タマコのカードからフィギュアサイズのタマコの身体が浮かび上がった、ホログラムだ


「こうやって指でグルグルすると動くにゃー」


嬉しそうに自分のホログラムをいじくり回すタマコ


「こんなのを作るって知ってたら、お姉さんもっとオシャレしてきたのにねー」


そう言いながらもグルグル自分のホログラムをいじりまくるワンコ


「ああ〜、田舎者さん達〜、そんなもので浮かれてたら地球じゃ生きていけないわよ」


ピノが『地球の技術はね、あんた達の住んでた世界とは格が違うんだからね』などとマウントをとってた


「うざいにゃ」「うざいわねぇ」


女共がキャイキャイやってる間も向こうの世界から人はやって来る、姫路の街並みを見て驚く人も多い


「大変そうだな」


「そんなことはないさ」


姫路にやって来た異世界人を見ながら博士は


「衣食住さえあれば人はどこでも生きていける、その点で言えば我々のサポートは完璧さ」


博士が言うには月から続々とアンドロイドさん達が姫路にやってきてるらしい、異世界人のサポートという名目でだ


「彼等もすぐに慣れるだろう、日本という国は大昔から世界で断トツに住みやすい国だからね、問題は超高次元体ぐらいさ」


「ブラックホールの卵はどんな感じですか?」


「アレがあの状態で存在しているのが訳が解らないんだよ、監視はしてるがアレが本来のブラックホールになるかどうかは解らんのだ、だが一瞬だ・・・」


ブラックホールになれば一瞬で吸い込まれる、認識する間もないだろうね


「だから急がないといけないのか」


「そういうことさ、それよりも私達には早急にやらなければいけないことがある、新しいダムガンの製作だよ、これだけ人が増えたんだ超高次元体が見逃してくれるはずもない」


「ということはZ計画で?それともZZ?悩みますね」


「ちょっと待ってよ!超高次元体ってビーム兵器無効だったからさー、格闘タイプがいいんじゃないの?」


話を聞いていたピノが言ってきた、たしかに飛び道具は通用しなかったな、隣でタマコとワンコが、何の話をしてるんだ?って顔をしてる


「あんた達にもいずれ教えてあげるわ、この世界で生きていくならダムガンは必須科目だから、エルフ達にも普及させなきゃいけないし、忙しくなりそうね、ノンビリできないじゃないの、もう!」


「なにを1人で盛り上がっているにゃ?」


「ダムガン?それよりお姉さんトイレ行きたいのだけど」


「ああトイレかい?向こうにあるよ、案内しよう」


少し離れた場所に沢山の仮設トイレが並んでいた、その周りにもアンドロイドさんが立っている、ああ、たしかに使い方とか教えないといけないわな、全自動型AI搭載トイレは座るだけでいいんだけど異世界人には衝撃的だろう


ワンコ達がトイレに行くのを見送る


仮設トイレには日本語で大きくトイレと書かれた看板がある、なんと、すでにタマコ達、異世界から来た人間は日本語を読み書きできるようになっている、小さなカプセルを一粒飲むだけで日本語をマスターできるのだ。

カプセルにはいっているナノマシンが脳に作用するらしい



「とんでもない技術だな・・・」



この世界の科学力は凄まじい、異世界とはまったく違うのだ、昭和生まれの俺ですら圧倒されたから明治時代並の異世界から来た彼等がどう変わっていくのか楽しみではある


もうサイコロは投げられたのだ


これから先、どうなるのかは俺には予想できないけど



「この選択は間違ってない・・・」



あっ勇者様だ、と小さな子供エルフが手を振ってくれた、俺もその子に手を振り返す、この星にまた人類が住み着いていく、それは新しい歴史の始まりなのだから


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