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さあ帰ろう 05



送還の儀まであと5日になった俺は

獣人の国の首都へと来ていた。

この国には一緒に冒険をした仲間がいるから

帰る前に会いに来たのだが・・


「本当にいいのかー、この世界に自分の血を残しとかにゃいでー」


「お姉さんたちなら君の子供産んでやってもいいんだぞー」


今俺は酒場で二人の獣人女子に絡まれていた。


「男ならさー、かいしょうぐらい見せてみろよなー、

あんだけ女だらけの環境で生きてたのに、1人も抱いてなかったなんてにゃー、信じられにゃいわー」


猫人のタマコにそう言われると


「ねえ、もしかしてアレ?

その、アレ?

機能しないの?アレが。

恥ずかしがらずに相談して?お姉さん達が聞いてあげるからね」


犬人のワンコが笑いながら肩をさすってくる。


「あんたら、女子として恥ずかしくないの?

昼間から下ネタばっかでさー、

いやだいやだ、さかりのついた犬猫はー。」


ピノがキャハっと2人を煽る。


「うっさいにゃーこのメスガキ妖精。

なに福太郎のマスコットキャラ的なポジションについてんのよー、さっさと森に帰れにゃ」


「ピノっちはさー

このまま福太郎くんの故郷、日本だっけ?

についていく気なのかな?

それはお姉さん許せないかなー」


「そ、そんな訳ないでしょ!

なにわけわからない事いってんのかしらーーっ」


大量の汗をかきなから否定するピノ。


ワーワー盛り上がる女子トーク。

さっきから俺は一言も話さずチビチビと酒を呑みながら話を聞いている。


「ティアーナやエレムミーネとか。

あの二人は手をだしてくださいって待ってたようなものでしょーが、

にゃんでやっちゃわないのかにゃー」


「そこまで日本に帰りたいの?お姫様2人をほっといてまで?

お姉さんがいうのもなんだけどね、もったいなさすぎるよー」


「だーかーらー

やめなさいってこんな話!

福太郎のテンションが下がりまくってるでしょーが、悩んだの!福太郎なりに悩んで選んだ選択なの!

30歳で女性経験ないのもいい加減なことしたくないって福太郎の誠実さがでてていいでしょ!!」


「「マジで?」」


なんてこと言うのこのクソ妖精


「いや!あるから!!

女性経験あるからね!!!」


ピノが余計なこと言いやがるので全力で否定しておく


すると哀れみの目でタマコとワンコが


「そっかー、童貞だったんかにゃー

前からそうなんじゃないかって思ってたんだけど、

知りたくなかったにゃ・・・」


「こらタマコ、笑っちゃだめよ!

そうだ、卒業しましょうね、うん、

今晩はお姉さん達2人にぜーんぶ任せるといいのよ?

子づくりしたら全部解決だわ。」


「ふ、福太郎!!

女性経験あるとか嘘でしょ!!

いつ、どこで!誰と!!

言いなさい!本当だったら許さないわよあたしは!!」


あーもうこいつらはー、

ますますうるさくなる女共に辟易するのだが

冒険してたころは毎日こんな感じだったから慣れたものだ


(ありがとう。

お前達のおかげでこの世界でも腐らず俺はがんばれたんだよ。)


本当に感謝してるから言いたいことは言わせといてやろう、うん、最後だからね。


ざわざわ、


『マジかよ、魔王を倒した勇者が童貞とか』


『お前聞いてこいよ、童貞ですか?って』


『えーっ、顔は良いのにどっか問題あるんじゃ』


『不能だったのか、魔王を倒した代償なのか・・』


周りが騒がしい、

不能ちゃうわ!


うん、店を変えよう。

そうしよう・・・




(いたたたたっ、ちょっと悪ノリしすぎたにゃー)


福太郎にゲンコツをもらった。

だってね久しぶりだったから楽しすぎたんだにゃ。


お茶でも飲んで酔いをさますことになり喫茶店に移動することになったウチ達。

先頭を歩く福太郎の背中を見ながら思い出す。


ウチら猫又族は獣人の中でも特別なチカラをもつ。

だからみんな殺された、魔族や悪魔共に。

里ごと・・・


それからウチは生き残るために猫族と偽って目立たず生きて死んでゆくつもりだった、

10年前福太郎と出会うまではそのつもりだった。

でも勇者の能力を初めて見たとき使えると思ったんだ

魔王への復讐にね。

ウチは福太郎を利用したんだにゃ、家族や友達の仇討ちのために・・・

でも、楽しかった、本当に楽しかったよ

みんなで冒険をするうちにバカなこと言ったりして

作り笑いじゃなくて本当に笑えるようになって

楽しかったんだよ

魔王も倒してくれて

仇討ちもできて

本当にありがとうにゃ。

あと、童貞って聞いて嬉しかったよ。

大好きだにゃ。



(あいたたた、悪ノリしすぎましたね)


タマコと並んで福太郎のうしろを歩きます。

10年前でしたね、この二人の仲間になったのは。

福太郎に初めてあったとき、さも偶然な成り行きを装いましたが、本当は違います。

お姉さんの使命は勇者の監視。

犬神の一族としてのお仕事でした。

最初は面倒だから早く死んでほしいって思ってたんですよね、過去の自分を殴ってやりたいです。

でも一緒にいるうちについついチカラを貸してあげちゃったりして。

そしていつのまにか好きになってました。

単純ですねお姉さんも。

あなたが帰ったあとは犬神の巫女として生きていくことになります、処女じゃないと巫女はつとまらないので君に貰ってほしかったんだけど、

いいでしょう操は君の為にとっておきましょう。

ふふっ我ながら重い女です。


ピノ、福太郎のこと頼みましたよ。

どうせついて行くんでしょう。

許しましょうあなたは本当の意味で孤独なのだから。


うまくやりなさいよ。













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