さようなら異世界 02
ゲートを通り抜けるとそこはエルフの王城にある庭園だった、美しく手入れされた庭園の向こう側には立派なお城が見える。
「ここ知ってる、何度か来たことあるよ」
ピノが言う通り俺も何度か訪れたことがあるのでこの庭園はしっている。それにしても
「こんなに簡単に来れるとは・・・」
あの大仰な送還の儀式はなんだったのか?
こっちの世界では百年の時が経ってるのだからいろいろと進歩したんだろうが余りにも簡単すぎる。
「まずは陛下に報告からと思っとったが、向こうから来てくれたようじゃな」
師匠が言う方向を見ると、王城から多数の人らしきものがこっちに飛んでくるのが見えた
「陛下自らこちらに飛んできてますわ」
フーナが驚いている、まあ普通は王様が飛んで来るなんてありえないわな
シュタッ
と俺達の側に着地したのはエルフの王、シュレッター3世、本名は長いので省略だ
「よくぞ帰ってきてくれた!待っていたぞ!」
シュレッター3世はこちらに駆け寄りながら話を続ける
「勇者福太郎よ100年ぶりだな、来てくれて嬉しいが余り時間がない、ゆっくりと話をする余裕さえないのだ」
「ずいぶん焦っとるようじゃが、なにかあったんかえ?」
師匠が落ち着けと諭しながら聞く
「海の水が完全に無くなった、消えてしまったのだ!」
この星の面積の80%は海なのだ、その海水の量はどれ程になるのか計算するのも馬鹿らしい
「海が、そんなことが・・本当ですかお父様」
「本当ですよお姉様、一晩のうちに海は無くなりました」
そう言ってくるのは王様と一緒に飛んできたエルフ第二王女スターニャだ
「きっと例の黒い球体の仕業なんでしょうが、危なくて近寄ることができません・・・」
「テレサよ、事は急を要する」
「分かっておる、地球の方々よいじゃろうか?」
師匠がそう言うとアンドロイドのナナ、トワ、パチンカスの3人が王様の前に出てくる。
「始めまして異世界の王様、私どもは地球側の代表としてやってまいりました、私はイトオ、こちらはナナとトワと申します」
「うむ、我はエルフの王をやっておるシュレッター3世という、会えて嬉しく思う」
「こちらこそお会いできて光栄です」
パチンカスが真面目に話を!?
「どうやら時間もなさそうじゃし、場所を変えて話さんか?」
「なら向こうにテラスがある、スターニャ、お茶の用意をさせよ」
「かしこまりました」
どうやら向こうはすぐに話し合いをするらしい
さて俺はどうしようか、そう思っていたら背中をツンツンされた、教授だ
「ふ、福ちゃん、預けていたもの出して欲しいんだけど、エヘヘ」
「わたしのも頼むよ」
「了解」
ここに来る前に博士や教授から預かっていた荷物を無限倉庫から取り出す、けっこうな量だった。
「まずは衛星だな、姉さん頼む」
「ぐふふ、楽しみだな〜、お前達行ってらっしゃ~い」
銀色のバレーボールぐらいの球体が八個ほど空へと上がっていく
「大気は地球と余り変わらないな、ね、姉さん?」
教授のほうを見ると自動車ぐらいの大きさのドローンに乗り込んでいた。
「く、黒い球体とやらが気になる、じ、直に見てみたい、ふへへへ」
そう言ってドローンに乗って上昇していく
「まったく、姉さんはまったく!」
びゅーんと飛んでいくドローンを見て博士が怒っている
「すまない福太郎くん、姉さんを追えないか、1人で行動させたらロクでもないことになりそうだ」
「面白そう、追っかけよう福太郎!」
ピノが俺の肩に乗ってきた
「了解」
俺はすぐに教授が向かった方向へと飛ぶのであった
まあ俺も黒い球体は気になっていたからちょうどいい。
俺は生身でも本気を出せばダムガン並の速度で飛べるのだか、そこまでスピードを出さずとも教授には追いついた、教授のドローンの横に並ぶとドローンは速度を落としキャノピーを開けて
「の、乗って福ちゃん、一緒に異世界の空で、さ、散歩しよう」
そう言ってきたので遠慮なく教授の隣のシートに座る
「で、デートだね福ちゃん、ふへへ」
「いや、あたしもいるし」
なぜかわからないけど俺は異世界の空をドライブすることになった




