全ての王 02
[次は我に行かせてもらえませぬか]
[いや、行くのは我だ]
[わたくしがいきましょう]
[お前達では役にたよりないわ、わしが行こう]
[僕がいきますよ]
我が、わしが、ぼくが、あたしが、私が、王よ、王よ、王よ、王よ、王よ
我の愛する民が中位次元44190610へ飛びたいと申し出てくる、同胞が1人消滅させられたと知った民達がここへと帰ってきたのだ、目的は皆同じだろう
この上位次元で未だに存在し続ける我の愛する10億の民達が地球へと行きたがっている
【中位次元44190..いや、地球には朕が行こう】
我がそう伝えると10億の民達が一斉に震える
[なんと!王が自ら]
[あのような下等次元帯に王が!]
[いけません!王よ、あのような場所、穢らわしい]
おやめになってくださいと騒ぐ民たちに我は伝える
【我らが同胞が消滅したのはいつ以来か、もはや遥か昔の事で思いだせぬ、なぜなら我等にとって時の流れなどあってないものだからな】
我らは知っている、我らは滅んだ存在、とっくの昔に宇宙ごと消え去った種族、しかし、まだこうして存在しているのは何故なのか、思いだせぬのだ、我らがこうして上位次元帯にいまだ存在し続けている理由を
【朕が1人でいこう、お前たちは自分達の役割を全うせよ】
なりませぬ王よ、
また騒ぎだす民たちを言い聞かせるとしよう
【朕のいうことが理解できぬのか?】
ズズズと我の姿が赤く染まる
お許しを王よ
王よ怒りを鎮めてくだされ
王よ、王よ、
【解ったのなら早ういけ】
それを聞き瞬時に自分達の担当している次元帯に転移していく民達、愛おしい民達
民達が居なくなると宇宙は星1つ無い暗闇に戻る
何も無いこの故郷を捨てられぬ我ら
この次元帯に拘る必要などないのに
【我も行くか・・】
この場所を離れるのはいつ以来だろう、
それすら思いだせぬ・・・
上位高異次元生命体ならば答えを出してくれるのだろうか?
そのような僅かな奇跡にすがろうとする自分が上位次元の存在だとは・・・
つまらぬ、つまらぬ存在だな・・・我は




