そして始まる 04
このタイミングで現れるのか!!
エレムミーネは空に浮かぶ巨大な青い人型を見て驚愕する。
「アレが超高次元体・・・」
フーナが超高次元体を見て震えている、あの子の眼は特別だから自分とは違った見え方をしているのかもしれない
それよりもダムガンといったか、こっちの世界に来てピノに観せられたアニメーションとかいう映像作品に出てきた巨大人型兵器、『今度実物を見せてあげるから』と笑いながらピノが言ってたけれどこんな形で見ることになるとは
「けど、アレに勝てるの?」
超高次元体めがけて飛び上がっていくダムガンを見ながら疑問が出てくる、まず大きさが違いすぎる、
この世界には『アリと象みたいだ』という言葉があるらしいが、ダムガンと超高次元体ではアリとドラゴンと言っていいだろう
「超高次元体ですが、アレは次元が違いますわ、わたくし達の存在する次元より遥かに上位の存在、この次元帯にあんなモノが存在できるわけないのです」
眼を見開きながら話すフーナに聞く
「勝てると思う?」
「か?勝つ?アレに・・・?アリがドラゴンに挑んで勝つほうが現実味がありますわ」
例え方もわたしに似てるわこの娘は、
わたしは少しニヤけてしまう
「まあ、見てなさいな、勇者福太郎の戦いをね」
どのみち今見ている現実は地球に住むなら覚悟しなければならない現実だ、私達の故郷はもうすぐ無くなる。
そして移住先はこの地球しかない、
だから、
「勝つところを見せてよ福太郎、私達の未来がかかってるんだからね」
そう言った私を見てフーナが正気かコイツ、みたいな目で見てきた、そんな目で見ないでよ興奮するじゃない。
「特等席で観戦させてもらうわよ福太郎・・」
キーーーーーン
いっきに高度五千メートルまで上昇した俺は、ダムガンに装備している武器で攻撃する。
右手のビーム兵器、左手のスーパーレールガンを最大出力でぶっ放した。
しかし最大出力で放ったビームは超高次元体が纏う虹色の膜によって無効にされてしまう。
シュワーーーーワーーー
攻撃した俺にむかって超高次元体から無数の破壊の糸が放たれた。
「避けて避けて福太郎!」
右、左、上へと下へと、ダムガンを操作しながら高速で避けていく、サーカスと言ってもいい、
糸を避けまくる俺を見た超高次元体はついにダムガンをメインターゲットとして認識する、
クソ!地上へ向けていた糸までこっちに向けてきた!
何百という糸がダムガンへと飛んでくる。
ポイっと両手の武器を捨てて、新たにダムガンの左腕に無限倉庫から取り出した巨大な盾を装備させる。
「師匠、お願いします!」
「まかせろ愛弟子よ!」
師匠が魔力を解放する、その魔力はダムガンの装備している盾へと流れていくと盾は虹色の膜を纏った。
ドドドドド、、、ド
避けきれなかった破壊の糸を盾が防いでくれる。
今装着している盾は表面に異世界製の素材を使い魔力の膜を纏わせられるように改良した地球と異世界のハイブリッド製の盾だ。
「3分じゃ、3分で終わらせろ愛弟子よ!」
師匠が手元の魔力水晶を握りしめながら、3分しか保たないと言ってきた。
「了解、突っ込みますよ」
ダムガンの右手に無限倉庫から取り出した巨大な日本刀を握らせ俺の魔力を流し込む
15メートルある刃は魔黒竜の心臓石を折り込んで作られた特別製だ、この時のために博士と作っていた。
超高次元体から放たれる無数の糸を無茶苦茶な動きで避けながら最高速で超高次元体へとつっこむ、
「効いてくれよ!!」
右手の黒い刃が俺の魔力を込めると虹色に染まる。
超高次元体の胸元まで飛び込んだ俺は、虹色の刃でおもいっきり斬りつけた。
そして切り裂いた!
超高次元体の無敵の膜をダムガンの刃は切り裂き本体の青い身体まで切り裂いた!!
「福太郎、後ろ!!」
刀を振り抜いたダムガンへと糸が飛んでくる、
ドガガ!!
盾で防ぐが反動は消せず派手に飛ばされていく
「愛弟子!左腕が盾ごとふきとんだぞ!」
不味い、
俺はパワーペダルを踏み込み超高次元体の糸から逃げまくる。
「福太郎、あれじゃ倒せないよ・・」
モニターに映されている超高次元体の胸元、そこには俺がつけた傷がある、30メートルほどの浅い刀傷、全長千メートルの化け物にとっては擦り傷以下のダメージ。
あの無敵の虹色の膜を切り裂いて本体に傷をつける事は出来た、でも、どうやって倒す?
どうみてもダメージを与えたようには見えない。
「弱点でもあればいいんじゃがのう・・
たとえばあの3つの目とか・・いや自殺行為じゃな」
顔面になど飛び込めるわけがない、
1番攻撃の薄い胸元でさえこの有様なのだ。
それに弱点への攻撃は一撃で決めなければいけない、
弱点が目だと確定してるなら捨て身でいけるが、他が弱点だったらそこで終わりなのだ、
残機なんてない、一か八かの闘いはできない。
そもそもアレに弱点なんてあるのか?
その時、
「ちょっと!様子が変だよアイツ!」
ピノが超高次元体を指差した
「なんじゃ、あやつ?」
いつの間にかあれほど激しかった攻撃は止んでいた。
あの数百の破壊の糸は消えていたのだ。
攻撃を止めた超高次元体は、俺がつけた切り傷を見つめると自分の指先でその傷をなぞりだした、そしてゆっくりと顔をあげて、俺達のほうをその3つの大きな目で見る。
「なに、あの表情?」
そう表情だ、ヤツの青い顔に表情があるのだ、
その表情はまるで
「なんか信じられんもんでも見たような顔をしとるのう」
攻撃を止めた超高次元体はじーーっと俺達を凝視している。
言葉が通じるのなら
どうしましたか?
と聞いてみたくなるほどだった。
まあ、ひと休憩できるからいいか・・・
などと思っていたら
にぃ
っと、超高次元体が口を三日月型にして笑った、
アイツ口があったのか
不気味な様子に超高次元体と対峙したまま動けずにいると
『福太郎、福太郎、聞こえる?』
通信機からエレムミーネの声が聞こえてきた。
『フーナが何か見つけたみたい、もしかしたらそいつの弱点かもよ』




