そして始まる 02
「君達エルフの人体の構造を調べた結果
地球人の遺伝子との相性に問題が無いと解った」
ああ、そういえば医療施設を見学してたときに身体検査みたいな事やったな。
「地球人とエルフの間に産まれてくる子供が地球人寄りになるのもすでに実証されているからね」
うん?そんなことまで解るとは未来の医療すげえな、
俺は博士の話しを聞きながら、しかしその言葉の違和感には気づかなかった。
「そ、そうなのよねー、わ、私達エルフは福太郎と相性抜群なんだから、ほら!100年経っても親友親友、大親友、愛してる〜!」
エレムミーネがテンション高めに俺の腕に抱きついてきた、なんかお前、汗が凄いけど暑いならくっつくなよな。
「はい、相性が良いのは解ってますわ、
ほーんとにわたくしの身をもってわかってますわ」
フーナがエレムミーネをジト目で見ながら言った、
わたくしの身で、ってどういう意味だろう?
「福太郎と1番相性が良いのはあたしだけど〜!」
ピノがエレムミーネの頭をペシペシ叩きながら言う
「相性が良いのはいいことだ、これで福太郎君の血は残せるからね、地球人の遺伝子は受け継がせていける」
「俺の血を残す?ええ!そういう事?!」
俺はやっと意味がわかった
地球にエルフを移住させる理由が
「まあそういう事じゃ愛弟子よ、今残っているエルフは女性のほうが多い、選びたいほうだいじゃ、嬉しかろう?」
その中にわしも入ってやろうか?と師匠が笑う。
地球人の遺伝子を、俺の血を残すためにエルフの地球への移住が決定してしまった。
「そんな理由でいいのか?なんていうか・・」
「良いも悪いも移住せねばエルフは滅びる、地球人の血も絶えるのじゃ、安心せい、愛弟子に好意を持つエルフも沢山おるようじゃし」
「移住してくる人々には、日本の法律や伝統には従ってもらうがいいかね?」
博士がエルフ達に言うと
「それは当然です、私達は移住者、この世界にとって他所者なんだから、その土地のルールは絶対に守らせます」
エレムミーネが真剣な表情で答えた。
「それではさっそく行動じゃ、大型のゲートを開くのに準備が必要じゃからのう」
師匠がそう言いながら立ち上がる
「場所は姫路城の前の大きな公園がいいんじゃないかしら」
エレムミーネも立つ
「移住者の住居などはどうしましょうか」
フーナも続く
「住居などはこちらで用意しよう、すでに作業は開始しているからね」
と博士が大型のドローンタクシーを呼ぶ
「せっかく福太郎と2人でのんびり暮らしてたのに、騒がしくなりそうだわ、はぁ」
ピノが溜息をつきながら言うが、そんなに嫌そうには見えないな。
ふいに、とんっ、と博士が俺の背中を軽く叩いて
「忙しくなりそうだが、ぼーっと生きるよりマシだろ?」
と言う博士の顔は少し笑っていた。




