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やってくる者たち 06



結局、匂いに負けて全員が飯物を頼むはめになってしまった、エレムミーネはハンバーグステーキを食べたあとクリームパフェまで頼んで平らげてる。


このまま食事会で解散、なんてことはなく、本題にはいったのは腹がいっぱいに膨れたあとだった。


「もうさ、難しい話しは無しにしてさ、あんた達は帰ってくんない?」


ピノが面倒くさそうに言う


「そうできればどれだけ楽なんだか」


エレムミーネが紅茶を飲みながら言う

これはそうとう厄介な話のようだ


「ふむ、なるべく簡単に話そうかのう」


師匠が話を進めるようだ


「まず最初に、現在、おぬしにとっては百年後のわしらの世界は、人間族、獣人族、ドワーフ族はほとんど絶滅しておる」


「・・・・」


「運良く生き延びたのはエルフ族一万人、そしてこれらも今のままでは近い未来に滅びるのは確定しておる」


俺とピノは顔を見合わせる


コーヒーを飲みながら会話を聞いてる博士が興味深そうな目線を送ってきた。


「ウソでしょ?なんでそんなことになってんのさ、

ハッ!もしかして超高次元体が出たの!?」


ピノが言うと


「超高次元体?なんじゃそれは」


「地球人を滅ぼした化け物の名称です、師匠」


「化け物・・いや、そういうのではないな、わしらの世界を滅ぼす原因となったのは人災じゃ」


「人災?」


いろんなことが頭にうかぶ、人災、もしかして戦争か?


「うむ、お前がこの世界に帰った後、、、」








異世界アストランタンの陸地は巨大な一つの大陸と無数の島々のみである。

その大陸はラー大陸と呼ばれており、そこには4つの国が存在していた。

大陸の西半分が魔国、

そして残りの東半分を人間、獣人、ドワーフの3つの種族が3等分にしてそれぞれ国を名のっていた。


エルフの国はその東、海を挟んだ島国だった。


「魔国で見つかった太陽石の鉱床はとても大きくてな、試しに採掘したら太陽石が山のように出よった」


太陽石は永遠に使える電池、バッテリーのような存在で、

太陽石を利用して作られた道具は〚陽具〛と呼ばれていた。


「知ってのとおり太陽石は貴重じゃ、わしらの住んでおる東の大陸ではほとんど採れない代物、それが西の魔国に大量に埋まっていたんじゃから、そりゃあ大騒ぎよ」


くくっ、と笑いながら緑茶を飲む師匠、おっこれは美味いなとお褒めの言葉。


「でね、太陽石の鉱床は魔国の中心地点にあったでしょ、

そこの採掘権を各国で分けることにしたのよ」


「3等分じゃ、人間、獣人、ドワーフの国で3等分にして採掘を始めたんじゃ」


「エルフの国はどうしたのさ?」


ピノが聞くと


「うちにはホタル石があったし、なにより遠かったのよ採掘地点がねー」


「この姫さんが面倒くさくなりそうだからエルフの国は採掘権いりませんと言ってな、まあこれが正解じゃったんだがの」


「占いでおもいっきり大凶でたからね、あっコレ駄目なヤツってねー」


占いといって笑ってはイケない、エルフの国の本気の占いはヤバいくらい当たる。


「いちおう他の国にも忠告はしたのよ、人間の貴族共に鼻で笑われたけどね」


「王族は?」


王族のティアーナ達がエレムミーネの忠告を無視するとは思えないんだが・・・


「えーっと、その、ちょっとね、、、」


なんだ?エレムミーネの目が泳いでるぞ


「エレ、お前なんかおかしいぞ」


俺がエレをじーーっと見つめると、エレは明後日の方を見て目を合わさない。


「こやつとティアーナは大喧嘩しておってな、ろくに話しもしておらんのよ」


「大喧嘩?あんたらが?」


ピノが驚いてる、ティアーナとエレムミーネは種族は違うが一緒に旅をした親友同士だ、とても仲が良かったはず。


「今はこやつらのことはおいといて、話を進ませるぞ」


大喧嘩の理由は気にはなるけど、今はまだいいか


「太陽石のおかげで人々の暮らしは圧倒的に変わった、文明が進化したといってもいいぐらいにな」


太陽石で作られた陽具は人々を照らし夜の暗闇から解放された、馬がいなくても速く移動でき、便利な陽具は人の生き方を変える。


「とてつもない早さで変わっていく町の風景は見ていて恐ろしいほどじゃったよ、まあこの街ほどではないがの」


緑茶を飲み終えた師匠は近くに座っていた博士に、今度はコレを飲みたいんじゃがと触っていたタブレットのメニューを指差してる


「でもね太陽石が採掘されはじめて三十年ぐらいしてから出てくる太陽石の量が減ってきたのよ」


それから年々、太陽石の採掘量は減っていった


「太陽石の枯渇、恐れていたことがおこり始めたのじゃ」


もはや太陽石がなければ人々の暮らしは成り立たない。

そこまで人間、獣人、ドワーフの国は太陽石に依存していた。


「魔王のいない西の大陸は、三カ国で分けられてたの、獣人も人間もドワーフもそれぞれにあてられた領土で新しい太陽石の鉱床を必死で探してたわ」


ちなみにエルフは魔国の土地なんていらないと断ったらしい


そして採掘を始めてから五十年経って、いよいよ太陽石は枯渇寸前になる。


「太陽石が採れないとなってからの三国の慌てようといったらもう、わしらエルフから見たら笑い話じゃがな」


新しいエネルギーを使うことも考えられた、しかし元々は魔法ありきの世界、基本となる科学の知識のなさが太陽石という便利な資源に頼る事になったのだ。



「そんなある日、人間の探検家が新しい太陽石の鉱床を見つけたんじゃ」



ほう、このまま太陽石が採れなくなり戦争でもおきるのかと思ったんだがな



「見つかった場所は獣人族の領土だったけどね」



ああ、これはきな臭くなってきたな


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