やってくる者たち 04
「ふーん、へーえー」
パタパタとピノは黒髪エルフのフーナの周りを飛びまわる
「なーんかね、初めましてって感じしないのよねー、フーナだっけ、あたしと会ったことない?」
「いいえ、わたくしはピノさんとは初対面ですわ」
うーん、そうかなー、とジロジロとフーナを観察するメスガキ妖精。
「たしかに、なんか会ったことあるような、知ってるような感じがするなー」
俺がそう言うと
「ほんーっとうにフーナは2人とは初対面だから、マジ、初めて会うんだからね」
エレムミーネが初対面を強調しているが、なんか焦ってないか?
「エレ、なんか隠してないか、、、あっ!」
シュ~~~ーー
たった今3人が出てきた光の穴が閉じて消えてしまった。
「穴が消えちゃったよ!!たいへんじゃん!
あんたたち向こうの世界に帰れないよ!?」
こっちとあっちを繋げるのはとても手間と時間がかかることを俺は知っている。
しかし3人は全然どうじた様子はなく。
「ああ、大丈夫じゃよ、愛弟子達が帰ってから100年の間に色々と変わったんじゃよ」
「向こう側に転移ポイントを設置してあるからゲートを繋げるのは簡単なのよ。
ああそうそう、こっちにもポイントを設置しなくちゃね」
転移ポイントとかってゲームにでてくるようなアレだよな、
現実世界でそれが使えるようになったわけだ。
「まあ帰れるならいいけどね、
それよりあんたたち何しにこっちの世界にきたのさ、
このタイミングで来るってことは、ただ会いに来ただけとかじゃないでしょうよ?」
おお、ピノがなかなかに鋭い質問をしたぞ、
メスガキだけど頭は悪くはないんだよこの妖精さん。
「ふむ、当然のごとくの話じゃよ」
「厄介事?」
「ああ、かなーりの厄介な話じゃな」
「帰って!!今すぐあんた達の世界に帰って!!
あたしらはこの世界でダラダラと毎日幸せに暮らしてんだから、厄介事はごめんなのー、塩、塩持ってきて福太郎!!」
「まあまあ、ピノちゃ〜ん、話だけでも聞いてもらえないかな〜~、ね」
「いーやーよー」
耳を塞ぎながらイヤイヤするピノ。
気持ちはわかるぞ、エレムミーネだけじゃなく、あの師匠までやってくるような事態だからな、
とんでもなくヤバい気配がする。
「福太郎さん、ピノさん、お話しだけでも聞いてください、お願いします」
深々と腰をおり、頭を下げる黒髪エルフのフーナ。
「う、ううっ」
それを見たピノは怯んでいる。
こいつ王族だろうと言いたいこと言って引かない奴なのにどうしたんだ?
「まあ、とりあえず話を聞かせてください」
「〜~っ!福太郎〜~~ぉ」
聞いたら巻き込まれるに決まってるでしょ、と言いたいようなピノの顔。
「ありがとうございます!!」
フーナが笑顔でお礼を言ってくる、
これは断れん。
エレの奴、フーナを連れてきた理由はこういうことか。
その時、俺達の後ろ側から声が聞こえた
「提案だが、話をするなら場所を変えたらどうかね福太郎くん」
振り向くとそこにはアンドロイドの博士(009)がいつの間にか立っていた。
「はじめまして異世界のエルフさん達、
私は2人の友達で、博士と呼ばれてる者です」
エルフ3人組に挨拶をする博士。
おや、師匠が?って表情したぞ。
もしかして博士達が人間じゃないことに気づいた?
「福太郎くん、長話になるんだろ?
こんなところではなくて、どこかゆっくりと座って話をしたほうがいいんじゃないかい?」
そうしましょう、
ということで俺達は場所を変えることにした。