やってくる者たち 02
俺は夏休みが好きだ。
朝から放送している再放送の夏休みアニメスペシャルを見てから昼寝をして夜遅くまでダラダラしてるのが好きだった。
そう思い出しながら
姫路駅の前にある水場のベンチに座ってガリガリ君(素晴らしいネームセンス)を食べてだらけていると
「今も同じことしてるじゃん」
と、同じくダラダラと高級アイスをドカ食いしているピノにツッコまれた。
「少年の頃の楽しかった思い出さ」
「今も少年じゃん」
見た目はね、中身はオッサンなんだよ・・・
どこからか聞こえてくるセミの鳴き声がまた子供の頃の夏の日々を思い出してくれるのだ。
「やあやあ少年達〜~、今日もダラダラと無駄な日々を過ごしてるねえ〜、関心関心」
煽り言葉と捉えられてもいいようなセリフとともにやってきたのはパチンカスの婦人警官、イトオ(110)だ。
「ダラダラできるのは子供の特権ですよ」
「嫌な特権だねえ〜~」
俺の横にどかっと座りながら
「暇ならパチンコいくかい?」
「行かない」
「なんで〜、パチンコ屋ってクーラーをガンガンに効かせてるからめっちゃ涼しいよ。まあその電気代は客の財布の中から出てたらしいけどねえ〜~」
なるほど養分というやつか
「あれ、新台はいるの来週の火曜日じゃなかったっけ?」
「おお〜、ピノっちは覚えてたのか〜」
「当然でしょ、新台エヴォ31!!
初日に打ちにいくわ!!!」
「一緒に開店前に並ぼうねえ〜」
いやいや、客なんて居ないだろ、何時に行っても回転数0回の台に座れるわ・・・
「エヴォ31が入ったらエヴォ30は撤去されるからねえ、
打ち納めに行くんだよ〜~」
「なんですって!あの神台が撤去されるの!!
他に撤去されるべきクソ台があるでしょうが!!
行くしかないわね打ちに!!!」
「さすがピノっち、わかってるねぇ〜」
なにこの会話?
「行くわよ福太郎、神台に敬意をもって万札を入れに行くわよ!!」
「レッツゴーだねえ、オラわくわくしてきたぞ〜~」
またパチンコかよ
週に一回はパチ屋に連れてかれてるんだけど?
打つ気マンマンの2人にパチンコ屋に連行されそうになる
「!!!」
なんだこれは!?
パチ屋に向けて歩きだした俺達の目の前、
なにもない空間に小さい光の渦巻きが現れた。
俺達はそれを避けるように後ろに飛ぶ
以外にもイトオの反応速度はかなり良かった。
「なんなのあの渦巻き」
いきなり現れた光の渦巻きは直径2メートルほどに広がった。
そしてそれは徐々に光の穴に変化していく。
「知らないエネルギーですね、この現象が次元に穴を開けてるのは分かりますが・・」
イトオの目が青く光っている、
たぶん他のアンドロイド達にこの現象をリアルタイムで送っているのだろう。
「これは何か出てきそうな雰囲気だな」
俺は無限倉庫から聖剣を取り出し構えた。
ピノもイトオも俺の後ろで光の穴を警戒している。
「福太郎、なにかでてくるわよ!」
出てきたのは手、
人間の腕がニュッとでてきた。
「どうやら無事につながったみたいね」
聞き覚えのある声とともに光の穴から出てきたのは
俺とピノのよく知っている
エルフのお姫様だった。




