そして終わる世界 02
超高次元体は知的生命体が存在する場所に現れる。
惑星センテラから60億km離れた位置に存在する戦闘惑星A、ここには囮となる高速艦が配置されていた。
「現れたらすぐ逃げる、現れたらすぐ逃げる」
この高速艦の航海長は震えながらブツブツと同じ言葉を繰り返す。
この高速艦には船員が30名ほど、自分達が超高次元体をおびき寄せるエサだと皆知っていて志願したのだ。
「おちつけ」
艦長は震えている航海長の肩に手を置く
「勇気ある船員諸君、予測だともうすぐヤツは現れるはずだ」
艦長はブリッジを見渡しながら語りかける
「我々は訓練どおりやればいい、そうすれば生きて帰れるのだからな」
そう言いながら空中に浮かぶ物凄い数のモニターを見つめる。
超高次元体はレーダー類では探知できない、
目視のみでしか認識できないのだ。
この宙域に配置されているとてつもない数の監視カメラで姿をとらえるしか発見できない。
ビービービービービーツ
警報音とともに数万もあるモニターの1つが大きく拡大された。
「超高次元体、出現!!
場所は!すぐそこーー!!!」
モニターに映しだされた青い巨大な人型の化け物。
戦闘惑星Aのすぐそこ、この艦から距離1万m
なんの前触れもなく現れた。
「ワープ!!ワープしろ!!!」
超高次元体が現れたら母星へとワープして逃げる、
それが任務だ
瞬時にワープへと移るが、それよりもはやく超高次元体から放たれた光の糸が艦を貫いた。
『超高次元体出現!!!戦闘惑星Aです!!!』
防衛ラインに配置されている大艦隊のモニターに大きく映し出される青い化け物。3体!!
「決戦の時はきた!全艦隊攻撃準備!資源惑星ボラーまで前進するぞ!!!」
提督は声をあげて命令する。
資源惑星ボラーこそが最終防衛ライン。
超高次元体は発見するのが困難なのだ、
奴等は気配もなく現れる
もしもこの艦隊の真っ只中に出現されたら損害は計り知れなかっただろう、
だが超高次元体は知的生命体を見逃さない、
徹底的に殺してきた。
その習性を利用して、人を乗せた高速艦を1000箇所に配置した、どれか1箇所にでもひっかかれば奴等を観測できる。
「副官、高速艦はちゃんと避難できたかね」
「999艦はワープで母星に帰還しましたが、戦闘惑星Aに配置されていた1艦は帰還してません、消失しました・・」
「そうか、彼等の犠牲は無駄にしてはならんな」
提督は拳を握りしめる
囮をつかってまで捉えたのだ、
こんなことをした自分を大声で罵りたい衝動を抑えながら提督は命令する。
「先制攻撃をしかける、ワープミサイル発射、超新星爆発ミサイルを全弾撃ち込んでやれ!!」
五百万を超える艦隊から数千万発のミサイルが発射される、
ミサイルは物凄い速度とともに目標へとワープして消えていった。
数分後、ミサイルたちは黒い宇宙を白い光で染め上げた。




