そして終わる世界
無限に広がる大宇宙・・
この宇宙の中心付近に存在する惑星センテラは宇宙を支配する星団帝国の母星であった。
すべての知的生命体を従わせ、
すべての星を支配しているセンテラ人は
科学
文明
戦闘力
すべてにおいて他の生き物達の頂点である。
いや、だったというべきか・・・
「提督、すべての艦隊が配置につきました」
「うむ、超高次元体が予定の場所にはいるまで全艦戦闘態勢のまま待機だと伝えよ」
惑星セントラから一億km離れた防衛ラインに展開している宇宙戦艦は五百万を越える大艦隊である。
その大艦隊の旗艦は全長2000メートルを超える巨大戦艦だ。
そしてそのブリッジではこれから始まるであろう最終決戦を控えて乗員達が各艦隊にむけて忙しく指示をだしていた。
「提督は落ち着いておりますね、さすがです。
私は今の状況が怖くてたまらないというのに・・」
副官がそう言うと
「そう見えるかね?」
提督は目をつむり言葉を続ける
「最初に超高次元体が現れたのはこの宇宙の辺境に存在している地球だった、
そして地球人はたった3日で死滅した」
地球人を滅ぼした超高次元体は物凄い勢いでこの宇宙に存在する知的生命体を滅ぼしていった。
止めることはできなかった、
どんな兵器や策を使ってもキズもつけられない、
追い詰められて今日にいたる。
「地球人が居なくなった地球は今や大自然と動物達の楽園になっている、
それは地球に人間など居なくても良いという事実を教えてくれたのではないのか」
それと同じで
我々、知的生命体はこの宇宙に存在しなくても良いのではないのか・・
「提督は超高次元体は神の使いだとでも言いたいのですか」
「いやアレは神ではない絶対にな、
我々をただただ殺すだけの存在であるアレは侵略者ですらない、知的生命体を殲滅するのは奴等にとって何の意味があるのか、結局わからなかった」
「ゲームでしょうか、この宇宙の知的生命体をすべて滅ぼすゲームとか・・・」
「案外それが正解かもな」
超高次元体は知的生命体を見逃さない。
1人たりとも見逃してこなかった・・・
徹底的に殺してきた。
「残されたのは惑星センテラとこの五百万の艦隊のみ」
そして負けて知的生命体が滅びても、
この宇宙は何事もなかったかのように存在していく。
ただそれだけのこと
「だが滅ぼさせんよ、この宇宙の覇者である我らセンテラ人に時間を与えたことを後悔させてやるさ」
超高次元体は宇宙の辺境からこの宇宙の中心にくるまでに1000を超える文明を滅ぼしてきた。
だがそれは我々センテラ人にそれだけの時間を与えたということになる。
数え切れない生命が殺されてきた、その時間が我々の超高次元体に対する時間稼ぎなったのだ。
「我々が超高次元体に勝つことが、死んでいった他の知的生命体にとっての供養となるのだよ・・・」
そう思いたいのだ・・・
目の前に広がる大宇宙を見ながら提督は静かにその時がくるのを待つのであった




