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さあ帰ろう 02



魔王をたおしてひと月後

俺はまだこっちの世界の王城にいた。



「福太郎、福太郎、

次はコレ、このスーツを着てみて!」


そう言いながら派手な紫色のスーツを俺に着せようとしてくる白銀の長い髪の若い美女


「これを俺に着ろと?

紫なうえに金の刺繍付きで目立つ事このうえないとおもうんだけど」


「1番目立って当然でしょう。

あなたは魔王を倒し魔界からこの世界を切り離した正真正銘の救世主、主役なのだから!」


スーツを俺に押しつけながらせまってくる。

近いよ顔が、胸も

ああ、周りのメイドさんや護衛の人達の目が気になるんだ


「そうは言いますがねティアーナ殿下

たしかに魔王をたおしたのは俺ですが、

魔界関係の大きな仕事は仲間や師匠達がほとんどやってくれたんですよ」


魔王を倒しても魔界からの干渉を切り離さなければこの世界に平和なんてこなかった。

そういう難しいことは周りのスゴイ人達が担当してくれたんだよ。

俺は魔王を倒すという簡単な仕事を受け持っただけ。


簡単?

ギリギリで簡単・・・


「福太郎、あなたはわたくしのことを殿下など呼ばなくていいのです、ティーと親しく呼んでください。

少し前まではティーと呼んでくれてたでょう!」


頬をふくらませてそう言ってくる。

すると


「ああーそれは無理無理ーー無理なんだよ。

ティアーナ殿下さまさまーーー」


どこからか聞こえてきた女の子の声


その正体は妖精。


この世界でたった1人生き残ったフェアリー。

そいつは天井からクルクルと飛び降りてくると俺の肩の上で着地、同時に腕を組みドヤ顔で仁王立ち。

こいつシャンデリアの上で昼寝してたな。


「あらリカちゃん

さっきから姿が見えないから

ハエトリグモにでも食べられたのかと心配してあげてたのよ?」


人差し指を頬に当て首を傾げながらそう言うティアーナ、当然心配などしていない。


「あたしの名前はピノ!、リカちゃんじゃないから!

それともボケちゃったの?人の名前もおぼえられないほど。

20才という若さで?

かっわいそうなティアーナ殿下。

王国の第1王女で将来史上初の女帝になるといわれている才女。

あたしたちにとっては雲の上の御方がボケたのー?

大事よ、王国の一大事よ、きゃはは。」


手のひらを口もとにあてて意地悪そうに笑う妖精。


「メスガキ妖精さん、あたしにとってあなたの名前など興味もない、どーでもいいことなのですよ。

眼中にないということに気がついてくださいませんか?」


冷ややかに笑うティアーナ殿下、

この二人は出会ったときからこの調子だ。

それでも10年以上の付き合いをしている。

ちなみになぜリカちゃんかというと

ピノは出会ったころ、全然心をひらいてくんなくて会話すらしてくれなかったんだよ。

名前も教えてくれなかったから

見た目がリカちゃん人形とおなじくらいのサイズだったんで俺がリカちゃんって呼びはじめたんだ。


「ひどい、傷ついちゃったよー

えーんえーん、福太郎なぐさめてーん」


俺の頭に抱きついてウソ泣きを始めるピノ。

あーだこーだと続くどうでもいい言い合い。

誰かとめてくんない?

メイドさん達を横目で見ると彼女達もなーんかコソコソと談笑してるし。


あーもう自分の部屋に帰って昼寝してもいいっすか?

今日も祝勝会っていうパーティーがあるし。

あれ疲れるんですわ。


ああ、はやく日本に帰りたいな・・・









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