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ダムガン 05



「おっかえり〜〜!」


「おー、ただいま」


テストの後、工房に帰ってきた俺を元気一杯で出迎えてくれるピノ。


「お疲れさま、とりあえずこれでも飲んで一息つきたまえ」


そう言いながら博士は俺にドリンクを渡してきた。

のどが渇いていたのでゴクゴクと飲む。

オロ○ミンCの味がする。

俺好みの味だ。


「美味いですねコレ」


「私が特別に配合したドリンクだからね、疲労回復にとてもキクだろう」


「飲んでいいやつですかコレ?」


まあ俺は毒物とかに耐性があるから平気か。

工房の外壁にもたれかかりながらドリンクを飲む、

俺の視線の先には夕日に照らされながらガワラ立ちをきめているダムガンの姿がある。

とてもとてもカッコイイ。

右肩に少し焦げ後があるのも良いアクセントになっている。


「ダムガンかっこいいね〜」


俺の横で何か飲みながら浮いているピノも見惚れているほどにダムガンは格好よかった。


「君達は本当にダムガンが好きだね、まあ私も嫌いではないがね、アレにはロマンがある」


博士は空中に映されたスクリーンでテスト後のダムガンの状態を確認している。


「形にこだわらなければ もっと色々やれるのだがね、たとえば、、」


「こだわるところはロマンだよ〜、博士」


そう言いながらピノは博士にウィンクをする。


「・・・そうだったね、ふふ、ロマンか、私もダムガンは好きさピノくん」


博士はスクリーンを閉じながら笑った。

そして


「さて、今日はここまでだな、ご苦労さまだったね二人共、タクシーはそこに呼んであるから帰ってゆっくり休んでくれたまえ」


「あ〜楽しかった福太郎、今日の晩御飯はなんにしようか」


「寿司だな、海に行ったからか魚が食いたい」


「スシ!あたしスシ好きだよ〜!!」


ワイワイ言いながら帰っていく俺たちに博士が


「福太郎くん、帰る前にひとつ聞いていいかい?」


俺は立ち止まり博士のほうを見る。

博士は背後から夕日を受けながら俺に


「超高次元体とは戦えそうかね?」


そう問いかけてくる博士の表情は俺からは夕日で影になって見えなかった。

そんな博士に俺は


「勝てますよ」


そう言いながらタクシーに乗るのだった。





タクシーで帰っていく2人を見送りながら私は呟く。


「勝てますよ、か」


彼はそう言ったがこのダムガンでは超高次元体に歯がたたないのは解りきっていた。

たった3日で200億人ちかくいた人類を文明ごと根こそぎ滅亡させた存在にロボットで勝てる訳がないのだ普通なら。

そう、普通ならだ。


彼等は普通ではないのだ。


一度、彼に魔法を見せてもらったことがある、攻撃魔法を見せてもらったが、たしかに素晴らしい攻撃力、戦闘力だった。

しかし現在の科学力で作り出された兵器があればそのような攻撃魔法など必要ないのだ。

いや破壊力だけでいえば現在兵器のほうが上だろう。

その感想を聞いた彼は気を悪くする様子もなく


「1番丈夫で硬い金属ってここにありますか?」


と聞いてきたので

私は工房の中を見渡し ある金属を紹介する。


「この金属は《MARS合金》といってね、火星で採掘される鉱石で作られた世界一、軽くて硬い金属だよ」


人類が作り出した最高の金属、紙のように軽いその金属は 地球にあるどんな鉱石よりも硬い。

そのうえ加工もしやすいという夢のような金属だ。


「ちょっと使っていいですか?」


「好きにしたまえ、倉庫いっぱいあるからね、増えるいっぽうで減らないほどだよ」


月から運ばれてきているが使う量より運ばれてくる量のほうが多いぐらいだ。


「じゃあコレを使いますね」


そして彼は1枚のMARS合金を壁に立てかけた。

大きさはベニヤ板ぐらい、暑さは8cm。

それに彼は指で穴を開けていく。

穴を開けていくのだ。


ズブ、ズブ、ズブ、、、


まるで豆腐に穴を開けるかのように人差し指でMARS合金に次から次へと穴を開けたのだ。

たしかにMARS合金は加工しやすい、だがそれは特殊な方法を使ってのことで厚さ8cmもあるMARS合金に穴をあけるにはレーザビームですら時間がかかる代物なのだ。

最後に彼は指でズブブとMARS合金を綺麗に切断した。


「そ、それも魔法かい?凄いね」


ドン引きする私に彼は


「俺の師匠がいうには魔法に不可能はないといってましたよ」


不可能はない?それはどうだろう、異世界では魔法を使える者がたくさんいたはず、それなのに魔王とやらに苦しめられていたのだろ?


「個人の才覚にもよる、とも言ってましたが」


彼は笑いながらそう言う。


「才覚か、酷い話だ。しかしまあ福太郎くん、君は才覚があり、不可能を可能にできる魔法の使い手ということになるのかね」


「そうらしいです 勇者なので」


地球の科学力だけでは超高次元体には勝てない、

ならそれ以外の要素があればもしかしたら。

だいたい超高次元体という存在自体が訳のわからないものなのだ。

そして魔法とやらも私には訳がわからないものだ。


面白くなりそうだ。



その時感じた気持ちを思いだし私は1人笑う。

そしてダムガンを見上げ


「君を最高に仕上げよう、戦いは近い」


ああ、本当に楽しくなってきたよ。

本当に・・・



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