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500年後の世界 02



「つまりこの世界は福太郎がいた世界から500年後の未来で、人間は滅んじゃってるってことね!!」


興奮しながら確認するピノ。


「そういうことになりますね」


認める010さん。


ないわー、これはないわー。

俺の予定では今頃なつかしい我が家に帰って玄関を開けて、ただいまーって言ったら母がおかえりーと返してきて懐かしさで涙ぐんでるはずだったのに。


「はあ〜、これは参ったな・・・」


これからどうするか・・・

とりあえずこの世界のことを聞いておくか、あと人類滅亡の真相とか、いや、一度家があったとこに行ってみるかな、500年たってるけど残ってる可能性も、とか考えてると



「あ〜〜!本当に人間さんや!人間さんと妖精さんがおるわ!!」


そんな声が聞こえてきた


「やっほー、こんちわー!!」


と手を振りながらニコニコと若い女性が歩いてくる。

例によって生命力とか感じないとこをみると彼女もアンドロイドだろう、でもなんか010さんとは見た目も感じも違うぞ、茶髪の元気な関西のお姉さんみたいな感じだな。しかも美人だぞ。


「おやおや、皆さんこんな暑いのに店の前で立ち話しなんかしとらんと店の中に入らなアカンアカン。」


とか言いながらさっさと店の中に入っていく関西弁を喋るアンドロイドさんの言うとおり。たしかに今は夏の1番暑い時期。

いまの俺は暑さとか寒さに耐性あるから気にならなかったから忘れてたよ。


「そうですね、話も長くなりそうですし入りましょう。」


010さんもそう言いながら店に入っていく。

俺達もついていく、この店には土産物が置いてある場所の隣に休憩するためのイスとテーブルが二組ほど置かれていた。


「うわぁー涼しい!なにこれメッチャ快適なんですけどー!」


冷房というものを知らなかった妖精さんが感激して飛び回る。


「好きなとこ座ってええよ、っていってもイスも4脚しかないけどなー」


店の奥から飲み物を持って出てきたお姉さんは俺達が座るのを見て


「トワちゃんもさ〜気をきかさなアカンよ〜」


と言いながら飲み物を置いてくれる


「わたしはここの店員ではありませんので」


「まあそうなんやけどな、女の子なんやからそういう気遣いとか〜やっぱいるやろ?」


「トワ?」


二人の会話を聞いていたピノが首をかしげる


「ああ、トワっていうのは010ちゃんの愛称や

ウチはMAN SR-077っていう型式なんやけど愛称があってナナ、077やからナナや〜」


「ほうほう、じゃあじゃあ、078だったらナハとかだったりして〜?」


「おっ、ピノちゃんはわかってるな〜、おるよ〜ナハちゃん、今度紹介したるな〜」


「やった〜!」


まあ、010とか呼びにくいなとか思ってたし、ナハとか絶対に沖縄風なアンドロイドだろ。そう思いながら目の前に置かれたコーラを飲む。


「いただきます、う、美味い!!!」


「大げさやなコーラぐらいで、にいちゃん、いや福太郎くんは〜」


「コーラとか15年ぶりなんで、うわー美味え!」


冷えたコーラすげえ美味いんだけど、異世界から帰ってきて初めての感動が冷えたコーラとか思ってもいなかったわ。


「それってそんなに美味しいの?」


オレンジジュースを飲んでいたピノがコーラに興味をもったようだ。


「ピノちゃんもコーラがよかったん?妖精さんにはフルーツ系がいいかなーって思たんやけど、福太郎くんもおかわりいるようやし、いれてきたるわ〜」


「わたしが行きましょう」


010、いやトワが立ち上がり店の奥へと行く。


「ほうほう、やっと女子力の大切さに気づいたんか」


そう言いながら笑っているナナさんを見ながら疑問に思ったことを聞く。


「俺達の名前とかもう知ってるんですね」


「ん、ああ〜、うん知っとるよ、ぜ〜んぶ聞いとったから」


「ふ〜ん、あなたずいぶん耳がいいのね」


「ちゃうよピノちゃん、耳やなくてココ」


ナナさんは自分の頭を指でつつきながら


「ウチらはね、みんな繋がってるんよ、だからあんたらが話した内容は全部リアルタイムでネットワークに流れとったんよ。

福太郎くんは苦労したんやね〜ほんまに。

姫路に帰ってこれてよかったね、おかえりなさい」


「え、はい、ただいまです」


母ではなくてアンドロイドさんがおかえりと言ってくれた、でもおかえりって言われて初めて日本に帰ってきた感じがしたよ。帰る場所とは500年ずれてるけどね。


「お待たせしました、どうぞ」


トワさんが店の奥からでてきて俺達のテーブルに飲み物やお菓子を置いてくれる。


「おお、お茶菓子も用意するとは、それやでトワちゃん!女子力爆あがりや〜」


「・・・さっきあなたがわたしに、お茶菓子とかあったらええんやない、と送ってきたでしょう」


ジト目でナナさんを見るトワ。


「あっちゃー、そういうことは正直に言わんでええのに〜アホやな〜」


「誰がアホですか、強制停止してあげますよ?」


そう言いながら自分のイスに座るトワ、

もしかして相性悪いのかこの2人。


「お菓子!食べていいのよね!!」


よだれを垂らしながらお菓子に近づくピノ。

かりんとう、饅頭、せんべい、ポテトチップス、あとはチョコレートもあるな。


「チョコがあるじゃん!チョコたーべよ!

ん、あれ、トワとナナは飲み物置いてないけど飲まないの?」


ピノがトワとナナさんのテーブルを見て言う。


「あ〜ウチらは飲食せんでも大丈夫なんや」


「アンドロイドですので」


「へ〜、たしかにゴーレムも食事とか必要なかったもんね〜、もぐもぐ、ウマァ!このチョコ、ウマァ!」


口や手をチョコでベトベトにしながら美味しそうに食べてるピノ。

飲食が必要ないとか、エネルギー源がなんなのか聞いてみたいな、ん、飲食が必要ない?


「ちょっと二人に聞きたいことがあるんだけどいいかな」


「なんでしょうか?」


「アンドロイドには飲食の必要がないんだよね、

でもこうやって食料品は存在している、人類が滅亡して誰がこの食料品を消費するんだ?」


「たしかに!福太郎の言うとおりだわー!もぐもぐ」


「おっ、いいとこに気づいたやん、実はな!」


これから説明を始めるためにゆっくり立ち上がるナナさんの横で


「我々は人類文化再生計画を行っているからです」


とトワが椅子に座ったまま淡々と答えた。



人類文化再生計画?


なんだそれ?



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