原作レイプとクリエイティブ・コモンズ
初出:令和6年2月15日
さて、「セクシー田中さん」問題で今ネットでは原作レイプ問題がちょっとしたブームになっているようだ。
かくいう小生も連作エッセー「C:富士山を探せ!」で「セクシー田中さん」問題を取り上げたが、読んでくれた方はいるだろうか。
もともと原作レイプとは、漫画やアニメが実写映画化された際、原作ファンが映画を観て原作と違うので不満を覚えることを指した。
ところが最近では原作者自身が映画を観て原作との相違に不満を抱くのも広義の原作レイプと呼ぶようだ。
だがひるがえってプロ作家たちの自作の原作レイプに関する悩みは、われわれアマチュア作家から見れば、「車を買うなら品川ナンバーの外車じゃないと嫌だ」という金持ちのこだわり同様、贅沢な悩みに思えないだろうか。
もしあなたが「なろう」に投稿した原作小説がテレビドラマ化されるという話がテレビ局から届いたら、あなたはどう反応するだろうか。
原作レイプが嫌で断る人もいるだろうか。
小生だったら、1円でも原作料がもらえるならテレビドラマ化は快諾するだろう。
いや、たとえ原作料がゼロ円でも構わない。金銭的報酬がなくとも自作小説がテレビドラマ化するのは作者にとり名誉なことである。自分の名前がテレビドラマのOPかEDにクレジットされるのだ。
さらに言えばドラマ化する際、原作レイプもOKという条件も飲むと思う。
テレビドラマだけでなく、映画化、アニメ化、コミカライズなどどのメディアの場合も同様だ。
ところでクリエイティブ・コモンズという著作権に関する国際的制度がある。
著者がクリエイティブ・コモンズに同意した小説は、第三者が著作料を払わず、書籍化、映画化、アニメ化、コミカライズできるという制度だ。
厳密にはクリエイティブ・コモンズの番号で複数の種類にがあり、ライセンスの内容も異なるが、大まかに言えばこのような制度である。
ところで原作レイプOKとするクリエイティブ・コモンズの番号はなかったと思うが、もともとクリエイティブ・コモンズは工業製品におけるオープンソース(GPLライセンス)の芸術作品バージョンだと思う。
オープンソースはオリジナルの設計を自由に改良していい。同様にオリジナル作品を自由に変えていい著作権のライセンスも必要だろうし、これをフォローするクリエイティブ・コモンズの番号も必要だろう。
以上、クリエイティブ・コモンズ論になってしまったが、要は原作レイプされて構わないから自作の小説をテレビドラマ化、映画化、アニメ化、コミカライズしてほしいというのが小生の願望である。
まずは出版社に書籍化された原稿でないと話にならない。「なろう」にただ発表しただけではだめ。
これがメディア業界の常識かもしれないが。
(つづく)




