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どうでもいい話 脱力エッセー  作者: カキヒト・シラズ


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世代論争について思うこと

初出:令和7年8月6日


 最近、氷河期世代がいかに割を食っているかを論じたユーチューブ動画を見た。

 諸悪の根源は、現在の高齢者、すなわち団塊の世代、しらけ世代、新人類世代、バブル世代が自分たち氷河期世代を不幸にしたといった内容になっている。

 氷河期世代は大学卒業後、大企業が新卒採用を控えたため、正社員として社会人をスタートできたのは一部のエリートだけ。残りは中小零細企業に勤めるか、非正規労働者となるか、実家にこもってニートになるかしかなかった。

 

 氷河期世代がなぜ就職に苦労したのか。

 彼らが大学新卒時、バブル崩壊で景気が悪化し、企業が新卒を控えたのは前述のとおりだが、新卒採用数を決定したのは企業の経営陣である。

 経営陣は世代的には団塊の世代やその上の戦中派かもしれない。あるいはしらけ世代の経営者もいたかもしれない。

 しかしながら、こうした世代のみんながみんな経営陣に出世できたわけではない。むしろ出世できたのは一部の少数のエリートだけだ。普通の人は上司の命令で動くだけで自分の意志で採用数を決定したわけではない。

 この他、評論家の堺屋太一氏はテレビ番組で、東京の土地バブルをはじめたのもバブルを崩壊させたのも、大蔵省(現・財務省)の官僚たちの責任だと唱えた。

 官僚に責任があるなら、彼らを指導する立場にある政治家にも責任があるといっていい。

 こうした官僚や政治家も年代的には戦中派や団塊の世代が多かったかもしれない。ただ彼らは平均的な人間でなく、少数の超エリートだ。

 戦中派や団塊の世代の多数派は、日本経済にバブルを起こしたり、バブルをやめたりする力はない。


 したがって、氷河期世代が怒りの矛先を向けるべきなのは、自分より年配の世代全般ではなく、社会のエリートたちであることは明白だろう。

 そもそも世代論自体がまゆつばものだ。世代が同じならみんな同じライフスタイルの人生を送っているのか。

 自分と同じ年齢でも自分よりはるかに裕福な人、自分よりはるかに出世した人、自分より恵まれた人生を送っている人を見つけるのは容易ではないか(と個人的に思います)。


1. 支配者層と一般大衆


 人間を二つに分類する場合、私なら支配者層と一般大衆の二つに分類する。

 社会インフラを考案し、その構築を決定できるのが支配者層。支配者層が強制した社会インフラをただ受け入れて生活するのが一般大衆。

 マスコミを操り、プロパガンダを発信するのが支配者層。マスコミからの情報を一方的に受け入れるしかないのが一般大衆。

 一般大衆のライフスタイルを設計するのが支配者層。支配者層が設計したライフスタイル通りに人生設計するのが一般大衆。

 さらに支配者層は一般大衆が知り得ない秘密情報を共有しているという特徴もある。

 厳密に言えば、支配者層も何段階か階層にわかれているが、秘密情報を持っているかどうかがポイントになるかもしれない。


 スマートフォンやAIの普及はあなたが決めたのか。それとも気がつくとあなたの周囲の世の中で普及していたのか。

 SDGsはあなたが考えたのか。それとも気がつくとマスコミが喧伝していたのか。

 受験勉強、就活、婚活、妊活、終活。これからも○活は増えてい行くと思うが、あなたはこれらの言葉のうちの一つでも自分で考案したものがあるだろうか。


 勘違いエリートという人種がいる。自分が一般大衆ではなく、エリート階層だと思い込んでいる人種だ。

 平均的な大衆より、学歴、社会的ステータス、年収も高く、資産も多い。だから自分は普通の人ではなく、エリートのはずだ。

 しかしながら、あなたが上記の支配者層の条件に全く当てはまってない場合、残念ながら私の分類ではあなたは一般大衆ということになる。


 支配者層は単純に考えれば政府とイコールだが、財界や宗教団体など、政府に影響を与える組織も広義の支配者層と考えていい。



2. 大衆分断する支配者層


 閑話休題。話を世代論争に戻そう。

 歴史作家でユーチューバーの加治将一氏によれば、政府は国民が自分たちに怒りの矛先が向けられないよう、意図的に大衆を分断しているという。

 その最たるものが世代論争だ。

 「若い世代が不幸なのは高齢者が悪いからだ」こうしたプロパガンダは、たとえば氷河期世代の年配世代へのうらみやひがみを集積したユーチューブ動画を生む。

 「日本人が不幸なのは中国人のせいだ」こうしたプロパガンダは日中戦争を誘発する危険な洗脳だ。

 NHKの紅白歌合戦は昔、男女の対決といった幼稚なプロパガンダをまき散らした番組だった。

 小学校低学年ぐらいだと男子と女子でけんかになるといったことがあるだろう。だが思春期から結婚適齢期までの間に、私たちは敵は異性でなくむしろ同性であることを理解するようになる。魅力的な同じ異性を自分の恋人にすべく、同性同士で取り合うことになるからだ。

 昔の紅白歌合戦は男女の対決による大衆分断という、小学校低学年程度の幼稚なプロパガンダ番組だったが、これはとりもなおさず、行政による国民の愚民化対策だったように思う。


 いすれにせよ。私たちはマスコミから流れる大衆分断を誘発するプロパガンダに意識的に注意すべきだろう。


       *********************


 新人類世代の私たちが若いころ、会社は終身雇用と年功序列が当然だった。

 電車に乗ったら若者は座ってはいけない。高齢者に席を譲るべき。こうした教育が徹底された。

 しかしながら、当時の若者たちは自分たちが割を食っているとは思わなかった。

 自分が高齢者になれば社会が優遇してくれる。それまで社畜生活を耐え続ければいい。

 またそのころ高齢者は十分な年金をもらっていた。

 会社退職後、遊んでも貯金が減らないことを悩んでいた老人までいた。

 新聞の社説には日本の老人の年金は高額で、大卒初任給と同じなのは日本だけといった記事があったのを覚えている。

 当時の若者は自分たちが老人になればそういう未来が待っていると予想していた。


 今の時代、頭のいい若者には日本がどう見えるだろうか。

 このまま日本に住んでいたら自分たちが高齢者になったら社会から虐待される。だから高齢者になる前に日本を脱出しないと大変なことになる。

 こういう考えの若者もいるのではないか。

 逆説的だが高齢者を大事にする社会を作ることが、若者にとっても安心した社会になるはずだと思う。

 

(つづく)


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