運営局様からのダメ出し体験
初出:令和6年2月12日
過去に三回ほど「小説家になろう」運営局様からダメ出しの通知が届いたことがある。
このうち二つは18禁描写が発見されたため、ミッドナイトノベルズへの移転を余儀なくされた。
一つはSF小説、もう一つは時代小説。どちらも長編小説だ。
どこの箇所が問題なのかの指摘はなく、運営局様曰く「自分で探せ」とのこと。
SF小説を最初から読んでいくと、ベットシーンが出てくる。ただし主人公の人間の男性とアンドロイドの女性の「絡み」だ。
全身スケルトンのマネキン人形のボディーをしたアンドロイドで抜ける読者などいるものか。そう反論したくもなったが、とりあえずミッドナイトへコピペした。
時代小説の方はかなり前に書いた小説なので詳しい内容は忘れていたが、一か所だけ「絡み」がある。投稿前から実はヤバいと思っていた。
女が男の逸物をつかむ描写は覚えていたが、それだけでアウトはないだろう。そう思い、読み返してみると、つかんだ後、くわえていた。これは完全にアウトだ。
三つ目のダメ出しは18禁描写関係ではない。拙作「Kの冒涜」にまつわる書き直しの話だ。
実はこの作品の一つの章が、すべて「K」の文字だけを羅列したものになっている。
これを運営局様は規約違反とダメ出しを小生に通達。仕方なくカタカナで文章化したところ、今度はOKになった。
英文学に詳しい人ならローレンス・スターンの「トリストラム・シャンディ」をご存じだろう。
長編小説の途中で、一つの章がすべて真っ黒なページで構成される「ブラックページ」や、大理石模様のページで構成される「マーブルページ」が出てくる。
現代日本文学では福永武彦の長編小説「死の島」がある。
「死の島」ではクライマックスシーンに「内部M」という章があるが、これは白紙のページが数ページ続くというもの。
ネタバレになるが、この長編小説を最初から読めば、全編のクライマックスシーンが白紙になる必然性が理解できる。
ちなみに「死の島」は小生の貧弱な読書体験の中ではオールタイムベストの傑作小説だ。
「トリストラム・シャンディ」や「死の島」でやっている文学的表現を自分も使いたかったのだ、と反論したい気持ちがある一方、無料でサイトを利用させてもらってるのだから、ここは素直に運営局様にしたがうのが筋かもしれぬ。
だがそれでも「Kの冒涜」は全編のクライマックスに「K」の文字だけを羅列したページを入れた方が面白い。小生は今でもそう確信している。
(つづく)
拙作「Kの冒涜」です。お読みでない方は是非、お読みください。
https://ncode.syosetu.com/n9707cu/