表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうでもいい話 脱力エッセー  作者: カキヒト・シラズ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/88

エレクトロニクス右翼 VS IT左翼① SHマイコンは右翼

初出:令和6年3月17日


 小生は全共闘世代より10年下だが、80年代末の学生時代、その名残は残っていたような気がする。

 あらゆる物事を右翼か左翼かに分類し、右翼的なものはまちがい、左翼的なものは正しいと主張する学生がよくいた。

 彼らはそれこそ漫画を読んでも、スポーツ新聞の記事を読んでも、右翼的か左翼的かに分類する。

 また彼らはこの世のあらゆる思想は右翼か左翼の二通りしかないと考えているようなのだ。


************


 さて、シリーズ「エレクトロニクス右翼 VS IT左翼」と題してPC、IT、半導体業界における右翼的なるものと左翼的なるものの両方について論じてみたいと思う。

 今回は右翼である。


 現在のルネサス社はもともと日立製作所と三菱電機のマイコン事業部が合併してできた。

 ルネサス社が誕生する前の日立製作所の半導体事業部は、小生に言わせればエレクトロニクス右翼だった。

 右翼とはもともと愛国主義、民族主義を指す。

 いかなる工業製品も外国人でなく日本人自らが設計開発する、という”右翼思想”が日立の長所だった。

 最先端のハイテク分野ほど自国で設計開発するのは難しい。しかし日立はそれに果敢に挑戦した。

 たとえばSHマイコンというRISCマイコンがある。これはアーキテクチャ自身が同社のオリジナルである。

 これに対し、NECはVRシリーズというRISCマイコンをSHマイコンの対抗馬としてラインナップした。これは米国ミップステクノロジーズ社のアーキテクチャを搭載したものだ。

 90年代、日本の半導体メーカーは人件費の安さからアジアに工場を移転した。NECの広報発表では、製造はアジアに、アーキテクチャの設計は米国に任せ、最終製品として日本製のVRシリーズを開発したとのこと。アーキテクチャの設計が日本製でなく、米国製なのはそれが適材適所だという説明だが、これが当時の日本の半導体業界の標準的思想だったと思う。

 アーキテクチャまで日本民族が設計開発するという日立の思想は標準より”右寄り”だった。


 SHマイコンが誕生したバブル時代、ちょうど国産OSトロンが東京大学で開発された。

 今日、PCと言えばOSはマイクロソフト社のウインドウズ、CPUはインテル社のCORE プロセッサーファミリーを思い浮かべる。

 スマホではOSがアンドロイドかiPhoneのアイOS、CPUはARM系だろう。

 ところが当時、OSはトロン、CPUはSHマイコンというオール国産の情報端末を通産省(現在の経済産業省)は企んでいたのではないか。

 これこそ究極のエレクトロニクス右翼といっていい。


 現在、ルネサス社で生産されているSHマイコンは実質、生産中止に近い状態のようだ。

 かつて世界シェアの半分を占めていた日本の半導体業界だが、現在の凋落ぶりは目も当てられないありさまだ。

 もう一度、日の丸半導体を復活させるには極右のエレクトロニクス右翼イデオロギーが必須だろう。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ